7.とくにストーリーの破錠や穴を感じることなく鑑賞できました。タクシーを使うのは最後にタクシードライバーを殺し、全ての犯行現場に立ち寄ったタクシードライバーを犯人に仕立て上げる為だし、組織のアジト前でタクシーが包囲されなかったのも、現場の指揮が殺しの犯人を追う警察ではなく、組織をマークしていたFBIだからだし、アタッシュケースのすり替えだって、組織の人間ではなく、ヴィンセントの雇った第三者を通してと考えるのが妥当だろうし、、、まあ、完璧に穴が無いとは言いませんが、、。第一の殺しがマックスに見られるというのはヴィンセントのミスではなく、ヴィンセントが「人としての何かが根本的に欠けている」ことを象徴しているシーンだと思います。地球上に住む人間の中のたかだか一つや二つの命を消す、人を殺すことを重く受け止めていないからこそ平然と、隠すことを全く考えずに人を殺す。見られて都合が悪ければ殺しちゃえばいい。ターゲットを殺すのが仕事であるが、ターゲット以外を殺しちゃいけないなんて感情の余地が付け入る隙は全く無いということ。 それにしてもこの作品はコヨーテのシーンがあるのと無いのとでずいぶん印象が変わります。都会的であわただしい映像がその一瞬だけ神秘的な時間の空白を見せてくれます。ここで繰り広げられる殺し屋とタクシードライバーのドラマ自体さえもちっぽけに見えるほどのドラマを背負っているかのようにコヨーテがただ歩いてゆく。このシーンが出てきた瞬間、この映画を好きになりました。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-07-25 14:23:30) (良:5票) |
6.マイケル・マン監督の作品はその重厚さ故、観終わった後は息が詰まるほどの疲労感に襲われるので正直苦手としていた。だが、本作は気軽に観られるようなエンタメ重視の作品だった為、マイケル・マン初心者にもお薦めできる、入門編に最適なのではないだろうか。
タクシーの運転手が殺し屋を乗せてしまったことで事件に巻き込まれて行くという巻き込まれ型サスペンスアクションで、ストーリーも至って分かりやすい。 でも只の勧善懲悪ものにならないのはマイケル・マンならではの美学が炸裂しているからであろう。タクシー運転手を演じたジェイミー・フォックスと悪役を演じたトム・クルーズ。2人とも甲乙付けがたい存在感で魅力的だ。 この2人が終盤タクシー内で交わすやり取りが印象深い。「人間なら誰にも備わっている根本的な何かが欠けてる」「お前は夢を本気でやろうとしていない」という応酬は互いの人間性を炙りだしており、凄く心に響く。 それまで言いなりになっていたマックスが自らの意志で正義の為に女性を救いに行く場面はグッと来た。 一転ラストの追いかけっこは急にホラーな展開で、ハラハラドキドキ楽しめました。 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-11-21 21:06:35) (良:2票) |
5.この映画はファイト・クラブの銃撃版なんだと解釈しました。ケンカ映画の外見をとりながら実は生き方に説教たれるのがファイト・クラブでしたが、本作も同様にハードボイルドという外見をとっていますが主題はそこになく、流されるままに生きている主人公が殺し屋という強烈な存在と対峙し、人生観が一変するというのが本当のテーマだと思います。主人公を演じるのはエドワード・ノートンにジェイミー・フォックスという小市民の匂いを漂わせる演技派。そんな主人公と対峙し、人生を変えるかっこいい曲者を演じているのはブラッド・ピットにトム・クルーズという、圧倒的なカリスマ性に溢れた大スターです。やさしい顔立ちのトム・クルーズは殺気に欠け、殺し屋役には本来向かない俳優だとは思いますが、小市民の人生の前に立ちはだかる悪のカリスマを描くのに彼のスターオーラは不可欠なものであり、監督もそれを求めてあえてキャスティングしたのだと思います。そんなカリスマが人生の哲学を語りまくりますが、コラテラルの説教の方が現実的で身につまされる思いがしました。自分で開業したいと思いながらも決心のつかない主人公に対する強烈な説教。「開業したければいつでもできるはずだ。下らない人生を生きてる自分への言い訳で夢にすがってるだけだろ?このままでは下らないまま人生が終わるぞ」。この映画の真髄はまさにここにあったと思います。主人公だけではない、見ている私たちのほとんどが図星にならざるをえない強烈な説教。善良だが平凡なタクシードライバーが殺し屋に連れ回されるという話もすべては主人公の人生観を変える寓話としての状況設定に過ぎないと思うのですが、この説教を単なるセリフとして特に感じることもなく流してしまうと、映画の本質が見えないまま「ムチャクチャな話だったな」で終わると思います。マイケル・マンが監督したおかげでハードボイルドとしてはあまりに穴だらけすぎる脚本でも及第点の仕上がりになっていますが、その完成度のために人生観を変えられた男という主題がかえって見えづらくなっているので、良かったんだか悪かったんだかって感じです。「何か変なアクションだったな」という印象しかなかった方は、視点を変えてもう一度鑑賞されることをおすすめします。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-10-31 22:28:00) (良:2票) |
4.これぞまさに「夜の映画」、よってこれをうなぎパイ映画と呼ぶことにいたしましょう。息を呑む美しさ、そして不気味さに溢れた夜景。その片隅で深海魚のようにうごめく二人。対極的立場にいるが故に奇妙な相似形を見せる、その彼ら二人のやりとりには、独特の映像とも相俟って、どこか現実感が希薄であります。しかし、いささかまとまりに欠ける(ロードムービーすら思わせる)と思われたその展開が、クライマックスに意外な収束を見せる、その見事さ。結局、この二人のキャラクターは、やはり社会の片隅で生きている我々一人一人が抱えている、二面性を象徴してるのかもしれない・・・なんちゃってな、うひょひょ。 【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-08-09 23:48:15) (良:2票) |
3.正義の味方役にそろそろ飽きてきたトム・クルーズが、気分転換に悪役してみました的な感じ。しかし、さすがに迫力ありますね。特に終盤あたり、ターミネーター2の超合金ターミネーターと見紛うような執着ぶりです。下品な作品のパターンなら、最後の最後にもう一度復活して客を驚かすところですが、それもなし。哀愁の漂う終わり方でした。いろいろ不自然なシーンもありますが、おおいに堪能できました。冒頭のJ・ステイサムは「友情出演」みたいなものですかね。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 8点(2015-10-24 06:39:59) (良:1票) |
2.コラテラルという言葉を英和辞書でひも解くと『二次的』『副次的』 とかいまいちピンと来ない言葉が出て来る。 こんな聞き慣れないタイトルつけたもんだから余計に考えちゃうじゃないの。 なんか他にないのかと思って詳しく調べてみたら『巻き添え』という言葉が出てきた。 なるほど~巻き添えねぇ・・・でもこれじゃあストレート過ぎるよねぇ。 2人の主人公の内の1人、タクシー運転手のマックス。 将来、独立して高級リムジンを購入し自分の顧客を得て金持ちになろうと 夢を見つづけて12年も経過してしまった所謂負け組の典型的な一例だ。 対してもう1人の主人公、トム君演じる殺し屋のヴィンセント (トム君にしては珍しい悪役でしかも実年齢より老けた役) は己の信念を貫き通し成功の為には手段を選ばない現実主義者であり 世に言う勝ち組のセオリーを体現している人物だ。 この負け組と勝ち組の象徴の様な2人がひょんな事から 一晩を共にしその結果その後の人生が『二次的』『副次的』に 変化するという事の暗喩として繋げているという訳なんですな。 プアな英語知識しか持ち合わせていない私の様な 一般的な日本人にとっては中々分かりづらいタイトルだったけど 邦題にアテてもこれ以外のタイトルはアテづらいというのが 全編を見通して納得しちゃいました。
いやぁそれにしても序盤に乗り合わせた女検事アニーとのプチロマンスが どんな風にストーリーに絡んでくるのかと思ったら 最後の最後で・・・まぁこれ以上は見てのお楽しみってやつですかね。
マイケル・マンって監督、前にも【ヒート】でデ・ニーロと パチーノの2大俳優を配したクライムアクション映画を撮ってたけど こういうタイマンを張った映画を創らせたら右に出る者はいないって感じですな。 久々に正統派クライム・サスペンスを堪能させて頂きました。 ・・てな訳で率直な評価として8点献上。 【sting★IGGY】さん [DVD(吹替)] 8点(2007-05-01 17:38:37) (良:1票) |
1.もう少し脚本を練った方が良かったかも。でもマイケル・マンの何ともいえない独特の重低感が効いた夜のロサンゼルスの映像と哀愁の漂ったトム・クルーズの演技に惚れました。それにジェイミー・フォックスのトム・クルーズとタメを張る様な演技が素晴らしい。今回初のトム・クルーズの悪役ぶりに本当に初なのかと疑いそうな存在感でした。あの白髪頭がもう渋くて渋くて格好良すぎ。しかもサングラス姿が似合いすぎる。トムが空港歩いてる姿と最初ドアを開けた時下向いてるんだが顔を上げた瞬間がたまらん。それと銃の使い方がいいね。チンピラを殺す所とか何回も観直してしまうぐらいトム・クルーズの銃の撃ち方が良かった。 ラストの追いかけっこは観ていて楽しかった。 |