6.とにかくすさまじいアクションに脱帽。 対人の格闘は前作よりさらに緻密になっていて、初期セガールを思わせる。 特に元同僚?を訪ねたシーンでは、技量の接近した相手との何でもありをかなりスリリングに表現。 刺殺、目つぶしをねらった攻防や小道具の使い方が上手すぎて手に汗握ります。
今作は前作のようなだんだんと明らかになる筋ではなく、目的に向かう筋なので、キャラ同士のやりとりが白熱化します。 スピーディな台詞回しが小気味良く、そういう部分の演出の巧さが光っています。
追い込まれてからのプロットも秀逸。ボーンと敵のパワーバランスの変化なども凄く上手く作られていて感心しきり。大満足でした。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-10-04 17:46:51) (良:2票) |
5.スターの出ているアクション大作でありながらキリっと締まった作風が気持ちの良いシリーズですが、私的には第1作を上回る出来と面白さだったと思います。普通のアクション大作にしようとする映画会社とケンカしてでも作品の完成度を保った前作の功労者ダグ・リーマンが製作に回り、ポール・グリーングラスという誰も知らない人物が監督に決まった時には「大丈夫か?」と不安になったのですが、結果としてこの監督はリーマン以上の手腕を見せ付けました。この人はジャーナリスト出身で作家を経て映画監督になったという変わった経歴の人物なのですが、そうした経歴のおかげか説得力ある語り口で複雑な話をまとめていくという腕前はそこいらのベテラン監督を軽く超えています。謎が明かされながらテンポよく進んでいくこの映画のストーリー展開は知的で大変心地よく、この完成度なら仮に目立ったアクションがなくても十分に楽しめるスパイ映画になっただろうと思います。また単なるインテリ監督に終わらず画面作りにもセンスを見せているのもさすがで、作品全体を通してクールにして緊張感溢れる映像と編集がなされています。ここぞという時のアクションもスパイならではのストイックさに溢れていて大変かっこよく、無闇に見せないからこそ盛り上がるという前作の良さを引き継ぎつつもそれを超えることに成功しています。それまでクールに淡々と進んでいた話とアクションが収束し、一気に爆発したかのようなクライマックスのしつこいカーチェイスには大興奮しましたとも。マトリックス・リローデッドやバッドボーイズ2がド派手カーチェイスの究極の進化形であるなら、この映画のカーチェイスはリアル路線の究極の進化形です。現実離れした銃撃や爆破などせず、いろんなものにぶつかって車をぼこぼこにへこませ、「街を猛スピードで走ること」の怖さをストレートに伝えるこの手のカーチェイスは、ブリットやフレンチ・コネクション以来久々に見ました。そんなわけでかなり大満足の作品でしたので、同監督が続投するシリーズ最終作にも期待しています。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-10-28 21:48:49) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 まず冒頭でマリー(フランカ・ポテンテ)が射殺されちゃうのにびっくり。 自分を狙っているのは誰なのか。ボーンに罪をなすりつけようとしているのは誰なのか。 前作より明らかにミステリー色とドラマ性が強い。そして展開が早い。アクションも速い。カーチェイスは凄い。 少年漫画のようなノリはナリを潜め、完全なる『映画』になっていますね。 カメラワークの臨場感も前作を凌いでいる気がします。 手ぶれ撮影が平気、むしろ結構好みな私にとっては、迫力が感じられてとても良かったです。 特にカーチェイスのリアル感は凄い。 今までのカーチェイスであれば、『ありえないでしょ』の神業連発で、なんだかんだ言って切り抜けちゃうのがセオリーっちゃあセオリー。 ところがこの作品は違います。ぶつかる。ぶつかる。 いや、そりゃ急に道路に飛び出したり、車線変更すれば、そりゃそーなるのが普通なんですが、映画ではそーならないのが普通なのに、あえてそれをやっちゃうっていうね。あれ?何を言っているのかよくわからなくなってきました。 個人的にはカーチェイスであんま熱くならないのです。車やレースに興味が無いっていうのもあるんですが。私にとってカーチェイスって、どちらかというと退屈なシーン。であることが多い。 ところがところが。この作品ではもう目が離せません。 すべてのアクションが最高級のレベルで仕上がっていて、それでいて前作の雰囲気を少しも損なっていません。サスペンスアクションの最高級と言ってもいいくらいです。 恋愛要素が完全に排除されたのも、個人的な好みと合致しました。 トレッド・ストーン最後の生き残りとニッキーの使い方が、おいしいけど、ちょっと出番少なくてもったいない気がします。 そしてブライアン・コックス演じるアボット。唯一サプライズ演出をできたかもしれないのに、ステレオタイプの黒幕で悪いやつってのがばればれ。これじゃあダニーが殺されちゃうシーンだって全然驚けません。まさにダニーは無駄死にですね。 【たきたて】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-12-31 03:13:58) (良:1票) |
3.前作「ボーン・アイデンティティ」は、演技派のマット・デイモンがリアルなアクションシーンをこなし、ヨーロッパを舞台にしたスタイリッシュな映像が秀でたアクション映画だった。悪くない映画だったけど、スパイ映画としては“展開力”に今ひとつパンチがなくて、それほど印象が強い作品ではなかった。 なので、続けて製作された続編に対しても、興味は薄く、公開から6年が経過してようやく観た。ようやく観た理由は、ある雑誌の企画上のランキングで、このシリーズの続編2作品が揃ってランクインされていたからだ。
アクション映画において6年という年月は“劣化”を覚悟しなければならない期間だと思う。 しかし、今作にはそういった安直な劣化は微塵も感じなかった。むしろ作品の隅々までが洗練されていて、新しいと感じた。
主人公に対する追走劇が世界を股にかけて展開される様は、前作から引き継がれた魅力だが、その各国での各シーンがより研ぎすまされ、それぞれの場面が完成されている。 映画の展開によって変わっていく雰囲気が、各都市のシーンでマッチし、ロケーションそのものが主人公の心情を表しているかのようだった。 世界各国各都市での撮影を売りにしたアクション映画は多々あるが、各シーンにおいて、その都市で撮影を行う”意味”を持たせ、それを如実に表現する映画は少ない。
そういった映画作りに対するきめ細かさが、用意されたプロット以上にこの作品の面白味を高めていると思う。
すぐに続編が観たい。第三作目を一緒にレンタルしなかったことを悔やんだ。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-04-07 16:37:21) (良:1票) |
2.1作目よりも完成度は非常に高い。緊張感を尊重した淡々とした筋運びにしているにも関わらず、ボーンに「変装しない」という特徴を持たせることで適度に見せ場を作り出すことに成功している。1作目もハードボイルドな雰囲気ではあったのだが、娯楽要素を優先したためか、ご都合主義ばかりが目立つ中途半端なスパイ映画になってしまっていた。しかし、そんな1作目とは対照的に手堅い演出によって、本作はサスペンス映画としても一級品になっている。批判されているカメラワークのブレも、むしろドキュメンタリー・タッチを思わせるという意味では非常に好感が持てる。本作で気に入った展開はホテルから逃げるとき足を怪我し、走れなくなったボーンがロシアでキリルから逃げようとする一連の場面である。ラストではちょっとした爽快感があった。 【マイカルシネマ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-01 03:23:01) (良:1票) |
1.ボーンが走り,格闘し,知恵を絞って危機を脱したとしても彼の行き着く先は無い。作り手が意識しているのかどうかは知らないが,まるでそういう彼の開放されない心性が疾走し,ゆらめく様を映し出していくような映像,私はこれをとても哀しく感じた。また「ボーン・アイデンティティ」でも同じようなコメントをしたのだが,こういう映画は「地味」といわずに「粋」といおうじゃないか。車がクラッシュしても爆発せず,さあ泣け怒れといわんばかりの音楽もかからず,始終暗くダークな映像で,若いカワイコちゃんなど全く出てこない,そんなハリウッド映画が「粋」以外の何であろうか。 |