映画『折鶴お千』の口コミ・レビュー

折鶴お千

[オリヅルオセン]
1935年上映時間:96分
平均点:7.38 / 10(Review 8人) (点数分布表示)
公開開始日(1935-01-20)
ドラマサイレントモノクロ映画小説の映画化
新規登録(2004-09-06)【--------】さん
タイトル情報更新(2020-05-19)【イニシャルK】さん
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監督溝口健二
キャスト山田五十鈴(女優)お千
夏川大二郎(男優)秦宗吉
羅門光三郎(男優)浮木
芝田新(男優)熊沢
鳥居正(男優)甘谷
藤井源市(男優)松田
北村純一(男優)盃の平四郎
滝沢静子(女優)お袖
中野英治(男優)教授
伊藤すゑ(女優)宗吉の祖母
原作泉鏡花「売食鴨南蛮」
脚本高島達之助
撮影三木稔〔撮影〕
配給松竹
美術小栗美二
西七郎(装置)
衣装小笹庄治郎
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【口コミ・感想】

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8.ネタバレ 不浄の金で、勉強させてはなるまいと、宗吉を励ますお千。
しかし、世間は厳しかった。
ついには、宗吉に旨いものを食べさせたいとお千も捕まる。
果たして、数年を経て、偉くなった宗吉の前に・・

泣ける話です。
どうにも厳しい世の中に吐き気がします。
トントさん [ビデオ(邦画)] 8点(2025-05-08 22:33:56)《新規》
7.溝口のお家芸の堕ちた女性もの。その点だけならば、テーマ性からみて、現代では見るに堪えないものになるが、この作品は良くって、良くって。
映像の力を感じる。格のちがいを感じる作品です。(でも、溝口の代表作はこれじゃない)特に、山田五十鈴さんが、きれいできれいで。作品も、サイレントとは思えない力強さで、飽きることなく最後まで見れます。
にけさん [映画館(邦画)] 8点(2018-12-21 13:24:29)
6.ネタバレ 溝口健二はこの作品の前に「瀧の白糸」という傑作を既に完成させていたが、本作はそれの焼き直し。
ただこれほど「死んだほうがマシじゃないか」と思えるラストはなかった。生き地獄とも言える。
まずファースト・シーン。
機関車がトラブルを起こして駅に立ち往生。
その駅から神社を見つめる一人の男。
一方カメラは横にスライドし、もう一人女性を映す。
その女性もじーっと同じ神社を眺めている。
実はこの二人は昔あの神社で出会った腐れ縁だった。
そこから主人公の目を通して過去が語られていく。
山田五十鈴が凄い若いし綺麗だ。
男は田舎から出て偉くなろうと頑張るが中々芽が出ず落ち込んでいた。
そこに走り込んできた一人の女。
これがこの二人の出会いだ。
女に拾われた男だが、そこの雇い主にこっぴどい扱いを受ける。
男は黙って耐え凌ぐが、やはり飢えには勝てない。
エスカレートする嫌がらせ、それを見て女は我慢に限界が来て雇い主にけしかける。
その時の山田五十鈴のカッコ良さと色っぽさ。
口に刃物を添えるところは色っぽいね。
まるで勧善懲悪ものの一場面を見るかのような胸のすくシーンだった。
ただそこは溝口。
簡単に女を幸せにする気はサラサラない、ある種性根が腐ってんじゃないかという展開にかならずする男だ。
いや、真面目だからこそあえて女性を与えるのが溝口。
小津とは違うパターンの天才。
女性を徹底的に描こうとする男の厳しさがそこにある。
ヒロインを追い詰める男どもは、ある意味溝口の分身なのかもな。
その山田五十鈴が良いねえ。
折り鶴を折って「いつか自分も自由に羽ばたきたい」と思いを込める。
ただ運命は彼女を追い詰める。
そんな時に愛した男に向って「魂をあげます」とその折り鶴をひと吹きやって思いを届けようとする儚さ。
いい女だなぁ・・・。
それがあんな事になるなんて・・・ひどい運命もあったもんじゃない。
我を失うほど狂い、幻を切り刻むお千。
まるで亡霊に刃を向け空を斬る様子は、伝説と化した傑作「狂恋の女師匠」や後の「雨月物語」に通じるものがある。
まあ、こういう幽霊描写よりも女の情念の方が遥かに怖いけどな。
そう正に「雨月」の京マチ子(亡霊な上に執念深いとか勘弁)!
溝口は本当に女に厳しい。男もほったらかしである意味一番厳しいかも。
溝口あんさんは鬼や(そんな事は原作者に言え)。
泉鏡花あああっ
すかあふえいすさん [DVD(邦画)] 9点(2014-12-11 05:48:18)
5.溝口映画祭で唯一観ることのできたサイレントもの。

この映画祭を通して山田五十鈴姉さんにはこのあと数度お見かけすることにはなるのであるが、ふと本作の発表年に目にやり「浪華悲歌」や「祇園の姉妹」よりも一年前の1935年となっていることに気づくと、これが彼女にとっての最若年の時代であったということになり、彼女の演技が既にかなりのレベルで完成されていたことに改めて驚かされる。生き生きした目と崩壊した目の差と言ったら…。

溝口の撮る女、そこには諸行無常の様が激しく刻みつけられている…。
keiさん [映画館(邦画)] 6点(2014-07-06 04:20:29)
4.サウンド解説版というヤツで、全編BGMが鳴り続けるのには閉口した。お千と宗さんが初めてヤクザものたちに歯向かうとこでなんでブランデンブルグ協奏曲の3番なのよ、この全然合わなさは見事と言うしかない。音楽を無視すれば、部屋の中でのいくつかの移動、向こうの部屋で演じられる芝居を隣りから捉えたりと、監督ならではのシーンはある。鏡花の男だから、いつもうつむき加減でクヨクヨするばかり、ご馳走が出てもその金の工面に思いを馳せず、情けない。明治の社会とはつまりこれだったという鏡花の皮肉か。生きる上での形而下的な部分をみな女に背負わせ、それを土台にして科学(医学)が進んでいく。しかし女はその医術では治せない病いになる、って。これはハッキリ“近代”の否定ですな。肉体の病気を扱う医術の向こうで、精神の破滅という犠牲があった、って。
なんのかんのさん [映画館(邦画)] 6点(2009-11-21 11:50:30)
3.ネタバレ お千が警察に捕まり宗吉と別れるシーン。「姉さんが魂をあげます」【胸から口で折り鶴を運びフッと飛ばす】「空より高くきっと出世をして下さい」サイレントなのに泣かせてくれます。スクリーンで観た時にビデオでは気付かなかったシーンがありました。最後に宗吉がお千に再会するシーンで、まずは宗吉の視線、お千は完全に精神崩壊しており表情にかつての優しい目はない。そして視線がお千へ移動し、また戻る、そうすると宗吉の姿が上半身を残し輪郭を闇にすることで境界がない。これはお千の視線で宗吉の「幻覚」でだと思うのですが、まさに幽幻。病室内の空間の中で、キャメラ移動のみで「現実」と「幻覚」を描写している。溝口さん凄いなあ、と思いました。
サーファローザさん [映画館(邦画)] 7点(2007-09-03 11:55:37)
2.ネタバレ 溝口健二の、現存する数少ないサイレント作品の一つ。
原作は泉鏡花。
主演は最後の大女優山田五十鈴。
そして舞台は、私の大好きな場所の一つでもある「神田明神」である。
これだけでも満足間違いナシの組み合わせ。
しかもラストの主人公ふたりの再会シーンは、『山椒大夫』の基礎となったと言われているだけに、なお更期待も高まった。

私がレンタルしてきたビデオテープは、活弁付きのもので、恥ずかしながら活弁付き映画を観るのは初めての経験。
再生を始めて、いきなり気張った女性の声と共に映像が流れ始め、かなりの違和感をおぼえる。
しかしそれも数分後には何ら気にならなくなり、むしろ分かりづらい活弁ナシのサイレントよりも心地よく感じた。

本作は、傑作『残菊物語』とも共通する、「女性が無償の愛を男に捧げる」というテーマを扱ったもの。
その女性役を山田五十鈴が演じるのだが、その鬼気迫る演技に脱帽。
その迫真の演技を見せた山田五十鈴も勿論すごいが、それを引き出した溝口の手腕はさすがの一言。

それと70年前の神田明神を見れたのも良かった。
前述した通り、大好きな場所なので何度となく訪れたことがあるのだが、本作で見た神田明神は全くそれとは異なっていた。

しかしそれよりも、当時の万世橋の辺りから神田明神が見れたという事実の方が、私にとって新鮮だった。
しかも万世橋の辺りに駅があったとは。
東京を舞台にする古き映画を観ると、こういう発見があるので楽しい。

最終的に主人公の女性は気を違えてしまう。
気を違えた理由は、自分を犠牲にしてまで守ってきた男性が遠い処に行ってしまったからというもの。
理由としては判らなくもないが、気を違えるという説得感には多少欠けるような気がした。
しかしながら、その男性が気を違えた女性と再会を果たす本作のラストシーンは、山田五十鈴が鬼気迫る演技を見せる名シーンであった。
本作が名作と謳われる理由は、このラストシーンに集約されているのではないだろうか。
再会のラストシーンを溝口に描かれたら、観ているこっちは従順にも圧倒されるより他はなし。

やはり溝口健二の映画は素晴らしかった。
にじばぶさん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-09-02 22:35:01)★《更新》★
1.ネタバレ 邦画サイレントを3本立て続けに観た中の1本。どれも面白かったのですが、これは格が違うという印象。格が違うという漠然とした印象をなぜ持ったのかがよくわからないのが疎ましいのですが、まずモノクロだからこそその違いがはっきりする夜のシーンの美しさ。これは他の同時代の作品を立て続けに見ていなければ気づかなかったかもしれない。そして回想で語る構成の斬新さと物語そのものが持つ質のせいかもしれませんが、さらにサウンド版ということで音楽の効果もあったのかもしれませんが、最後まで物語に没頭させる力は並々ならぬもの。『カリガリ博士』の日本公開によってこの作品もドイツ表現主義の影響を受けているということを先にチラシで読んでいて、『カリガリ博士』のような摩訶不思議な背景があるのかとドキドキしましたがさすがにそれはなかったと、ちょっとホッとしました。狂人となったヒロインの幻想シーンがその影響されたというところのシーンなのでしょうか。とにかく、今となっては古臭いお話を全く古臭く感じさせずに見せてしまう、これが溝口健二の溝口健二たるところでしょうか。
R&Aさん [映画館(邦画)] 8点(2007-04-16 11:24:21)
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【点数情報】

Review人数 8人
平均点数 7.38点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
6225.00%
7225.00%
8337.50%
9112.50%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review1人
2 ストーリー評価 7.50点 Review2人
3 鑑賞後の後味 7.00点 Review2人
4 音楽評価 10.00点 Review1人
5 感泣評価 6.50点 Review2人

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