5.《ネタバレ》 孤独とは人を好きになることではじめて感じられる感情だと思う。自ら人を求めない人間は孤独など感じるはずもない。誰かを求める気持ちがあるからこそ常に寂しいという感情を人は持ち合わせている。 そこでここに出てくる登場人物について考えてみると、事故で二度と歩けない体になった男は婚約者が不幸になるから自分の側から遠ざけたのではなく、自分が愛されなくなるかもしれないという恐怖に似た不安が一時そうさせたのだと思う。主役の婚約者の女性はそれが分からずに寂しい思いをする。 不倫というのが1つのポイントになっているが私は誰も憎めなかった。 登場人物の誰もが強く人を求めているけど結局、最後は誰も何も手に入らなかったというのが結末。 不倫される加害者の妻も、夫とよりを戻すということはしなかったし、不倫相手にふられる夫のほうは家族も恋人も失う。事故で動けなくなった男も結局最後は婚約者を手放した。 主役の女性は不倫相手も婚約している男もどちらも選ばなかった。 誰もが強く他人を求めているのだけどうまくいかない。 手に入らない。 しかし手に入らない人たちはいつも側にいる。 【花守湖】さん 9点(2004-12-12 13:20:20) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 私の中では、とても素直に泣けた物語です。突然襲い掛かった事故で半身不随になり、一生寝たきりの生活を余儀なくされ、自暴自棄になってしまった彼氏ヨアヒムに対し、精一杯の愛情を尽くす彼女セシリ。ヨアヒムの孤独も分かるけど、尽くしても尽くしても邪険にされてしまうセシリが寂しくてたまらなくなるのは、同じ女として痛い程感じる。(同じ思いをした事は無いけど。) 孤独感に苛まれている時にニルスのように優しく傍にいてくれる人がいたら、どんな人間だってそっちに傾きますよ。ただ、セシリのニルスに対する情は、「愛」ではなかったのかも。私的読解だけど、ヨアヒム・セシリ・ニルス・ニルスの妻・娘、全ての人間が孤独を味わって、他人の孤独を理解出来て、最後に微笑むことが出来たのだと思いました。それぞれの人が、今までとは違う未来に旅立つ為の「孤独」という試練だったのでは。だから邦題に「しあわせ」という言葉が付くのかな…。 |
3.すごく切ないですよね。ヨアヒム、セシリ、ニルスにその妻、そしてその娘。実に正直なストーリーであったと思います。そしてその一人一人の立場、その状況において もしも自分がその立場になってみたならって事を想定したならば、きっと自分だってあの通りになってしまってただろうな なんて思ってしまいます。特にヨアヒムがセシリを遠ざけてってしまった気持ちなんて痛い程によく分かりますし、自分がニルスであったとしたなら、それもそれできっと我を現実をも忘れてしまってああなってしまったのではないかと思います。そしてセシリにしてもそう・・。 そうね、例えるならこの関係というのはきっと食物連鎖のようなものなのではないでしょうか。末恐ろしいですね。現実に有りえそうな事だし かといってその世界に足を踏み入れてしまったならもうどうにも抜け出せそうになくなってしまうのだろうし 挙げ句の果てには本当に最愛のひとなんて失ってしまいそうだし、ほんとにもう 悲しい事だとは思うのですが、やはり自然と食って食われての世界になってしまうのではないでしょうか。ほんとにもう、これは人間の性なのです。それが私たちが生きている社会なのです。事実なのですから仕方がないのです。 そして、そんな人生上での厳しさやら絶望感やら虚しく行き違えてしまう愛情表現やらを、この作品では実に上手い事完璧に表してくれているのではないでしょか。あとはこの物語の成り行きについての良し悪しという判断は、全て私たちに任されているのです。そんな意味ではもっとたくさんの方のご意見が聞いてみたいな なんて思えてしまう作品である事しかりなのです。そんな意味もあって私はこの作品が大好きです。ひとりひとりの人物が語る際の間の取り方や、寄り過ぎではないかなとも思えてしまう顔のドアップやらその表情の撮り方や、とにかくこのカメラワークだって全て素敵に思えてしまったのです。大好きです。 【3737】さん 10点(2005-03-09 00:56:51) (良:1票) |
2.最低の気分になる映画。普通、車道側に下りてから恋人とキスするか? 急に飛び出してきたから轢いてしまったと言ったけど、あれが急な飛び出しなのか? だいたい前を見てなかったのに急な飛び出しかわかんないだろう? なんであの女が逮捕されなかったの? 事故の当日、笑ったり食事したりできるのか? 自分が轢いた男が首から下が動かなくなってるのに、もう一人子供つくろうとか言って夫とセックスできるか? 私なら自分を責めまくって食事も喉を通らなくて、激ヤセするよ。2人のところに行って、「私のできることならなんでもする。一生をかけて償う」と言うよ。おまけにあの女、娘を迎えにいくときに車を運転してたみたいだけど、なんでまた運転できるの? どんな法律なんだ? 免停は当然でしょ? あんなやつ、ムショにぶちこまれて、先輩の囚人からリンチでも受けなきゃ反省しないんじゃないの? おまけに自分が轢いた男の恋人が自分の夫を奪ったからって、人を責められる資格ないだろう? これから結婚するはずだったカップルの人生をめちゃくちゃにしといて、「自分の家庭を壊すな」なんて、どういう神経してるの? 私なら、「私の夫でもなんでも、あなたの欲しいものはなんでもあげます」と言うよ。「あなたの気が済むなら、罪滅ぼしに、自分を車で轢いてください。私の首でも背骨でも折ってください」と言うよ。事故の後もあいつらはなんで生活レベルを落とさずに暮らしてるわけ? ヨアヒムの入院費と賠償金は全部保険でまかなわれて、あいつらは全然お金を払わずに済んだわけ? 保険って便利だね。これって保険会社の宣伝映画? 【チョコレクター】さん 4点(2005-01-29 14:57:37) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 淋しい映画でした。父親が浮気したのは浮気相手の恋人を車ではねる原因をつくった自分のせいでだと思いつつ、それでも父親の浮気相手を責めてしまう娘。交通事故で寝たきり状態なってしまい、誰を責められる訳でもないのに、恋人や看護婦にあたってしまう男性。妻が起こした交通事故の被害者の恋人を慰めるうちに本気で恋してしまう浮気はできない(本気になってしまう)真面目一筋だった医者。恋人が寝たきりになり心を閉ざしてしまったときに孤独に耐えられずに医師に頼ってしまう女性。みんな自分を責めながらも、どうしようもない感情に翻弄されてしまいます。交通事故の責任おしつけなどのどろどろな映画にならずに、自分を責めてしまう人たちが苦しむやり場のないけれど、人生なんてそんなものなんだと思わせる映画です。生きていくことは他人を責めることは出来ないんだと、相手を自由にすることも恋愛なんだと思っている人たちの映画です。凍える街の雰囲気、音楽もよかったです。 【omut】さん 7点(2005-01-28 03:48:19) (良:1票) |