4.《ネタバレ》 ロジャー・コーマン映画史上最大の製作費を使い、そしてコーマンAIP時代最後の監督作でもあります。実は飛行機マニアだったコーマンがアイルランドに『ブルー・マックス』で使用された複葉機のレプリカがあって、これを使って映画を撮ろうとユナイトに企画を持ちかけたそうですが、そこはいかにもコーマンらしいところ。コーマンは手を抜く映画のときはナレーションを多用しますが、本作では一切ナレーションを使わず、省略法みたいな映像のつなぎだけでストーリーを語っているところにも彼の本気度が判ると言うものです。テーマとなっている“階級の対立”にしても、プロットが似ている『ブルー・マックス』があくまでドイツ軍の中のお話しだけに終始しているのに、ドイツとイギリスの対比に話をグローバルに拡大してゆくところなぞ、なかなか気宇壮大です。複座機の後部席に実際に俳優を乗せて撮影された空撮シーンの迫力はなかなかのものです。それにしても日本の映画ジャーナリズムのコーマンに対する低評価・無関心ぶりは欧米では考えられないほどで、もっとリスペクトされてしかるべき偉人だと私は思うんですけど… 【S&S】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-09-06 23:56:00) (良:1票) |
3.今ではB級映画の帝王と呼ばれるロジャー・コーマン御大ですがその由来からは想像もできない凄まじい映画を作っちゃってます。実際の伝記を元にしながらも本物の戦闘機を飛ばして全編にわたって美しい映像を作り出し空中シーンでは手抜き一切なしに大迫力の戦闘と大空襲シーンは圧巻の一言。コーマンさん、やればめっちゃできるんやないですか(笑)この映画以前は彼独特の映画が多かったですが初めて壮大なスケールで描いた戦争映画なので意外性ではある意味貴重すぎる?んじゃないかなぁ。台詞を少なくし画でその映画を伝えるコーマンらしさが存分に発揮されてるかと思います。 【M・R・サイケデリコン】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-02-11 02:32:25) (良:1票) |
《改行表示》 2.WWIにおけるドイツ陸軍のエースのリヒトホーエンとそれに対抗したカナダ出身の英国陸軍のブラウンを中心にした物語で,それに後にナチドイツの空軍相となるゲーリンクも絡めての一応史実の沿った展開になっています。当初の貴族的なフェアプレイ精神が庶民出身のブラウンの参入により基地への奇襲とその報復,それにゲーリンクの殺人狂めいた無差別殺戮に変質するエピソードもありますが,フランスの田舎を背景にした複葉機の戦闘は上下感覚が無くなる様に思わせる撮影で一見の価値のある作りになっています。WWII当時のゲーリンクは太めになってとても戦闘機パイロットとは思えない体型たったようです。リヒトホーエンの従兄弟はスペイン戦争などでの指揮官でしたがWWIIの戦争中に病死しています。 【たいほう】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-09-16 00:58:17) (良:1票) |
1.この評をコーマン様に届けてくれっ! こっ、この映画は良いものだ~っ! …と叫びたくなるほどガンダムの元ネタがいっぱいでした(リヒトホーフェンの機って、赤く塗ったから3倍速くなったんじゃなくって、複葉機から三葉機に乗り換えたからだったんですなー…当たり前か)。泥沼にはまっていく第1次世界大戦。この時代を題材にすると、どうしても汚くて陰気な「塹壕戦」が舞台になりがち(『西部戦線異常なし』『突撃』)なんだけど、優雅にも見える空中戦を、本物の複葉機をジャンジャン壊しながら撮ったおかげで最後まで見応えいっぱいの作品になっていました。開戦当時は騎士道精神というかノンビリムードがあったのは間違いないんでしょう。休戦日になったクリスマス、ドイツ兵とイギリス兵が交歓会を開いてサッカーで戦ったという逸話もありますね。後で両軍の参謀本部が怒りまくって交歓会禁止の通達を出したらしいが…。骨太で荒っぽいシナリオながら、そんな「現場と大本営の温度差」がうまく出ていたと思います。低予算映画では神級の傑作を作るのに大金持たせちゃうと全然ダメって監督がけっこういます(あんたの事だよカーペンター)が、監督コーマンは器の大きな「どっちも採り」だった事が伺える貴重な映画です。 【エスねこ】さん [DVD(吹替)] 9点(2004-12-25 22:16:30) (良:1票) |