5.ネタバレ 目で見せる。サイレントの特性は、常に映画の基本精神に成り立っているところです。チャップリンの映画は、そのほとんどが目で見て分る、おじいちゃんやお母さんや子供も、偉いさんもそうでない人も見たらわかる、姿勢を貫いています。この映画もそうです。自分の子供ではない。だけど捨て子といって放っとく訳にはいかない。自分の食事だけでも危ういのに、何とか助けようとする。まずしいながらも、2人で組んでのガラス売り。警察官との丁々発止。コミカルに描きながら、台詞はなくとも、たくましく育てている「愛」がこちらに伝わってきます。そう、貧しいという「苦しみ」を「生きる喜び」に変え、それを感じさせるたくましい精神を子供に教えているのです。「お前を愛してる」なんて言葉は交わしません。ただ、一緒にいたい。離れたくない。一途な気持ちだけが全て。実の親子よりも「愛」を感じること。その精神のなんと幸せなこと。チャップリンの、誰にでも「愛」で通じ合うものがあるというメッセージが強く伝わってきます。昔になりますが、12月24日に亡くなられて、TVの「月曜ロードショー」において、この映画を放映していました。故荻昌弘氏が解説を担当していたのですが、荻氏が泣きながらチャップリンの偉大さを、そしてこの作品の偉大さを伝えていました。自分も亡くなった哀しみと合わせて、この素晴らしい解説に涙が止まりませんでした。今でも「キッド」を見ると、そのことが思い出となって甦ります。 【映画小僧】さん 10点(2004-03-18 12:58:08) (良:2票) |
4.ネタバレ 偶然拾った子供をなかなか捨てられず困ってしまった放浪者、しかし子供が親に捨てられたと分かり、このまったく血のつながっていない子供の父になる決心をしたときの表情が素晴らしい。 【たけよし】さん [DVD(字幕)] 10点(2007-08-13 23:19:14) (良:1票) |
3.チャップリンの映画、特に長編物は全てDVD-BOXで集めたいと思い買いました。そのぐらい大好きなチャップリン映画の記念すべき長編映画第1作にあたるこの映画、正しくチャップリンならではの愛と優しさに満ち溢れた傑作中の傑作です。(最もチャップリン映画はどれも傑作ですけど)そんなこの映画、とにかく少ない字幕と動きだけで何もかも伝わってきます。チャップリンならではの優しさがにじみ出ている。それと、子役のジャッキー・クーガン、文句なしの可愛さです。とにかくチャップリンの良い面が全て出ている作品として文句なしの満点です。 【青観】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-06-12 09:19:32) (良:1票) |
《改行表示》 2.ネタバレ 文句なしの10点満点!のチャップリン映画です。30歳を過ぎたばかりのチャップリンが、最初の妻 (ミルドレッド・ハリス) との離婚訴訟絡みの差し押さえを逃れるため、当時全幅の信頼を寄せていたという日本人秘書・高野虎市さんらを伴って、ユタ州ソルトレイクシティへこっそり雲隠れ。安ホテルで、極秘作業として編集をやり遂げる…という難産の末に産まれた、まさに彼の愛情がたっぷり注がれたキッド (子供) そのもののよう。 素晴らしいのは、何と言っても孤児院の役人2人 (この2人と、その間に立っているチャップリンとの「伝言ゲーム」の短いギャグ、あのクライマックス直前ということもあって、一層笑えます) と警官を退けて、キッドを奪還して抱きしめるシーン。後年、チャップリンが自ら付けた音楽が、このシークエンスの緊迫感・感動をさらに引き出しているのは、さすがです。音楽を聞いただけでも、冒頭字幕の「一粒の涙」が思わずこぼれてしまいます。 |
1.サイレント時代のチャップリン作品は、どれをとっても素晴らしい。キートンがもはや「人間」を超越した”超現実世界”の住人なら、チャップリンはあくまでこの現実世界に生きる者たちの代弁者であり、そのハートをすくいとる「詩人」だ。中でも本作は、最も純粋で、最も美しいチャップリン映画のひとつでしょう。感動的なシーンは数えきれないけれど、ぼくは、母親と子どもが、お互いを親子だとは気づかないまま街角で出会い、ニッコリと微笑みあうところで、いつも涙ボロボロに…。チャップリンが出演していないこの短い場面は、彼の演出家としての類い稀な才能を実証するものだと思います。まったく、何と言う情感の豊かさ、そしてエドナ・パーヴィアンスの美しさだろう。 【やましんの巻】さん 10点(2003-11-19 15:37:19) (良:1票) |