《改行表示》 9. テレビでオリジナルをやっていた後に見たので、どこをどう料理したのかというのが鮮明に見られた。オリジナル版の笑いの基底が、「日本人が、欧米人みたいにダンスをする」ということの距離感にあるので、そうした構造を取り払った後で、表面的に類似するエピソードをどのように位置づけているかが、リメイク版の最大の見所になるはずだった。しかしピーター・チェルソムは、その点で大きな冒険をしていない。同じエピソードががらっと意味を変えるというようなシーンはひとつも見られなかった。その代わり、日本とアメリカの文化の共通点を引っ張り出して、その共通点を基底にして、同じような意味を引き出せる部分を利用する、という作り方をしている。 オリジナルで渡辺えり子が演じたキャラのハリウッド版は、彼女の笑いを研究しつくしており、そっくりさんを見るのと同じような面白さがある。竹中直人の笑いの換骨奪胎ぶりもなかなかに楽しい。竹中の演じた会社の内と外のギャップを、「ユダヤ的orドイツ的生真面目さ VS. ラテン的情熱」の対照に上手に置き換えているのは見事。 ただし同じエピソードに同じような意味づけができそうなものをわざわざ変えている部分には納得のいかない部分もいくつかあった。その一番の点はジェニファー・ロペスの役づくり。第一に、彼女がはじめひたすら主人公に冷たくふるまうということは、後の展開のために絶対必要な線だったはず。また場末のダンススタジオで仕事をしている自分に対する納得のいかなさも、リチャード・ギア演じる主人公のダンスへの情熱から力をもらう、という後の展開のためにやはりなくてはならなかった。もしかしたら監督は、ジェニファーに、「表面的な普通さの下の葛藤」を表現させるという二重の演技を期待していたのかもしれないが、僕にはそれは見てとることができなかった。 またハリウッド版<渡辺えり子>についても、シングルマザーでダンス道楽のために全人生をかけているという人物像は、アメリカでもそれなりに説得力があるだろうに、彼女のサブストーリーは、メインとなるストーリーの陰で無視されている感があった。 そういう意味では、周防監督の<脇役の一人一人までの物語を同時に語りつつ、全体を構成していく>というポリフォニックなストーリー展開の妙をあらためて感じさせられた。 【小原一馬】さん [映画館(字幕)] 5点(2005-05-09 14:25:33) (良:2票) |
《改行表示》 8.邦画版と大きく違って感じられたのはやはりヒロイン。オリジナルの草刈民代の方が断然良かったです。プライドが高くてちょっと近づきがたい、でも心に何か傷を持っている寂しげな印象の感じが出せなければ、この映画はちょっと薄っぺらく感じてしまう。 動機はちょっと不純でも、「社交ダンス」に対する思いがどんどん深くなっていく感じも、邦画の方が上手だった。あとはたま子先生のあの優しい安心感とか。 全体的に無難にリメイクしたって感じかな。・・・ リチャード・ギアが赤いバラを持ってエスカレーターを昇って来るシーンはちょっとしびれましたけど。・・・ 【JEWEL】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-05-01 19:38:05) (良:2票) |
7.オリジナルに思い入れがある人ほど厳しい意見になるのかも知れないが,これほど忠実なリメイクはなかなかないと思うし,またそうだからこそ彼我の違いがこれほどクッキリと浮き上がって面白いのではないか。「中年男の悲哀」がオリジナルの基調音だというなら,「幸せの形って?」がリメイク版の基調音。いってみればマイナーコードの曲をメジャーコードでアレンジしたみたいなもんで,どちらも"Shall We Dance"という素材の魅力をそれぞれが違う形でうまく引き出していたのでは?と思う。少なくともどちらのアレンジが好きかなんて好みの問題を,映画のデキと混同して論じるのは何か違う気がする。私はオリジナルの草刈民代の演技のあまりの下手さに参ったクチ(そして役所・竹中に食傷気味)だったから,リメイク版のほうが安心して観られて楽しかった。S・サランドンは名演。ギアもぴったり。 【veryautumn】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-11-21 19:21:01) (良:1票) |
6.ここまでくると、脚本は“Screenplay”じゃなくて“English Adaptation”とクレジットして欲しい。その位のまんまリメイク。比較的ハリウッド・リメイク好きの私ですが、今回はオリジナルに軍配を上げたい。J.Loの心情や背景が大幅に削られた上、主人公の持つ漠然とした不満の解消が「夫婦仲」だけに矮小化されてしまっては、「人生の輝きを取り戻す」というこの物語の大きなテーマは表現できない。最後も全員がカップルになってめでたしめでたしって…、これじゃ単なるラヴ・コメディです。ダンス・シーンの、出来るだけカットを割らない流れる様なカメラ・ワークも珍しく日本の勝ち。期待のJ.Loも、優雅さや繊細さでは草刈民代に及ばない。決して出来は悪くないと思いますが、本作を観てオリジナルの評価が上がりました、6点献上。 【sayzin】さん [映画館(字幕)] 6点(2005-05-13 00:12:16) (良:1票) |
5.オリジナルの方は未見ですが、まあなんて大人のムード溢れる映画だろう!最後の方で一緒に来ていた私のお母さんが涙ぐんでいたのが忘れられません。サントラも抜群の出来なので必聴。 【シェリー・ジェリー】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-05-05 13:12:55) (良:1票) |
4.という訳で、前日オリジナル版“Shall We ダンス?”を見た後なので、さすがにここまで似ていると新鮮味にはかけましたが、随所にアメリカ版“Shall We Dance?”の良さがでていました。特に奥さんに一本のバラを持って職場に現れる所なんか、邦画では出来ない演出でしょう!しかし、竹中直人と同配役のキャラは圧倒的にオリジナル版の勝ちだと思います。 【みんてん】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-04-28 23:24:32) (良:1票) |
3.ラブ・コメディーとしては不完全燃焼。改めて、喜劇には強烈な名脇役が必須なのを痛感。海外でも笑いがとれるかは別にして、竹中直人・渡辺えり子は日本の宝ですね! 【つむじ風】さん [映画館(字幕)] 5点(2005-04-24 02:53:25) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 自分は(だいぶ前にはなるが)周防監督オリジナル作品を見ており、ストーリーの大方が分かっていたので、それほどの感動を期待してなかったが、「最高」との感想を持った。観客は少なかったが、終了後、ほとんどの人が立ち上がって拍手をしていた。 ストーリーはオリジナルとほとんど同じであるが、ルーティンワークに疲れたサラリーマン役のリチャー・ドギア、バレイのコーチ役のジェニファー・ロペスらが、役所広司、草刈民代らと違った味を出していることに加え、特にオリジナルでの役所広司の奥さん役を演じた原日出子(?)と、リチャード・ギアの奥さん役を演じたスーザン・サランドンの雰囲気がかなり異なっており、その結果、アメリカ版をまた新鮮に見ることができたのだと思う。リチャード・ギアがカッコ良すぎるという批判を聞く。確かに、オリジナルと比較すればそうだが、また別の作品として考えれば、ジェニファーやスーザンと絶妙の調和を築いているように感じた。 もちろんオリジナル版は大好きな映画の一つだが、アメリカ版もまた大好きな映画の一つになった。 ちなみに、渡辺えり子とLisa Ann Walter(?)はかなり近い味を出していた。 |
1.オリジナル版を見ていないので比較のしようもないけれど、なかなか楽しめた。中年になって人生に疲れてきたらまた見てみたい。 【HK】さん 8点(2004-12-07 08:04:34) (良:1票) |