10.《ネタバレ》 「別れのワイン」もそうでしたが、ラリー・コーエン関連作だと彼が「脚本」を担当した品よりも「原案」を担当した品の方が、傑作が多い気がしますね。 根本となるアイディアを思い付く能力と、それを形にする能力とは別なのだと示す好例であるように思えます。
実際、本作においても「携帯電話が紡ぐ物語」を魅せる演出が、アイディアに負けず劣らず素晴らしかったですからね。 とにかく展開が早くて、映画が始まって三分程でヒロインの女性が拉致される様を描く辺りなんて、実に気持ち良い。 本作は「ある日突然、謎の連中が家に押し入って来て監禁された」というヒロインと「ある日突然、謎の電話が掛かって来た」というヒーローの二人によるダブル主人公制になっているのですが、この二つの導入部を立て続けに見せられると、普通ならダレちゃうはずなんです。 なんせ「一人の主人公」「一つの導入部」に比べて、単純計算で二倍の時間が必要になるし(さっき導入部やったのに、また別の主人公でやるのかよ)という観客の苛立ちだって、無視出来ませんからね。 にも拘らず、本作はとにかくスピーディーな演出で乗り切って、観客に余計な事を考えさせず、そのまま映画の世界に引きずり込んじゃう訳だから、見事という他ないです。
主演がクリス・エヴァンスにキム・ベイシンガーと、アメコミ映画好きには嬉しい顔触れが揃っている事。 更に、ジェイソン・ステイサムやウィリアム・H・メイシーまでいて、脇役陣に至るまで非常に豪華な事も、嬉しい限り。 本作は主役側の「青年」「女教師」「警官」の三人が、揃いも揃って有能という、都合が良過ぎる内容なんですけど、それに対する違和感が少なくて済んだのは、演者さんの力が大きかった気がします。
それと、普通ならエヴァンス演じる青年に視点を絞り「ある日突然、謎の電話が掛かって来た。受話器の向こうにいる彼女は何者だ? 監禁されてるというのは本当なのか?」という謎解きの物語にするところだろうに、ダブル主人公制にして、事前に答え合わせを済ませてある辺りも、本作の凄いところですよね。 「謎解きの魅力」は潔く振り切って「事件を解決しようと奔走する面白さ」を重視した作りになっており、それゆえに新鮮で、十五年近く経った今でも古臭さを感じさせない。 「携帯切れよ、運転に集中しろ!」と言いつつ、自分も携帯電話とハンドルを手放せない主人公の姿とか、非常事態ゆえのギャップの面白さを描いている点も良いですね。 大変な事件が起こっているのに、それを知っているのは主人公だけで、周りは理解してくれないというシチュエーション。 だからこそ「すれ違いコント」のような笑いがあるし、孤軍奮闘している主人公の事を、観客も応援したくなるという図式。
携帯のバッテリーを調達する為、止むを得ず店から強盗する際のカメラワークなんかも、凄く良いですね。 あえてシンプルに、画面を左から右へと移動させ、その後にまた右から左に戻すという形で「車に行って銃を取り、店に戻って来る」という主人公の動きに、完璧にシンクロさせている。 主題歌の使い方も抜群に上手くって、視覚的に印象に残る場面と、聴覚的に印象に残る場面、その両方が揃っているってのは、かなり凄い事なんじゃないでしょうか。
そんな中でも特に好きなのは、人質を取られているのを承知の上で「交渉決裂だな」と一度電話を切り、犯人側が再交渉を持ち掛けてくるのを、祈りながら待つ主人公という場面。 とにかくエヴァンスの演技が素晴らしくて、本当に感情移入させられるし、犯人側が折れる電話を掛けてくるまでの「間」も完璧で、緊迫感が凄かったです。 敵側が悪徳警官である事を活かした「(人質には)手を出さないと誓う」「市民を守ると誓ったように?」というやり取りも、皮肉が効いていて素敵でしたね。 クライマックスにおいても、アラームを駆使して敵の位置を知らせたり、ビデオ録画で証拠を押さえたりと、最後まで「携帯電話」というアイテムをフル活用している辺りも、実に見事。
ヒロインは人妻なので、ロマンスに発展したりはしないんだけど、最後は感謝を込めたキスで終わって、ハッピーエンドとなる辺りも好みですね。 携帯電話の画面を使ったスタッフロールに至るまで、とことん楽しむ事が出来た、満足度の高い一品でした。 【ゆき】さん [DVD(吹替)] 8点(2018-12-17 03:30:50) (良:2票) |
9.《ネタバレ》 面白い! 電話を使った設定って言うのが良いですね。 固定電話、公衆電話、携帯電話、それぞれに役割があって凄く面白い。 公衆電話にかかってきても、昔の映画ならそこから始まるとおもいますが、この映画では変なやつが出てきてスルー。 B級映画の移り変わりも興味深いです。
それから、なんかリュックベッソン関連作品をちゃんと作り直したみたいな感じがするんですよね、演出とか出演者とか。でも関係ないみたいです。 そういうわけでスピーディで凄いプレッシャーで、凄い爽快感。
最後まで携帯電話という設定を捨てず、生かし切る技量も凄い。とにかく良い映画を見たなぁっていうかんじでした。 吹き替えで見ていたのですが、中断したため設定が変わっていることに気づかずに途中から元の音声で見ましたが、吹き替えも雰囲気を損なわず、よりテレ東な感じが良かったですよ、おすすめです。 【黒猫クック】さん [DVD(吹替)] 8点(2008-10-18 23:38:20) (良:2票) |
8.作品の性質上、一度きりしか楽しめません。ここを読む前に作品観て下さい!!! 無駄なショットが全くなく、スピード感あふれるテンポの良さと緊迫感。息もつかせぬ90分でした。 【ひよりん】さん [DVD(吹替)] 8点(2007-02-07 21:52:11) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 展開が早くてどんどん引き込まれていってあっと言う間に終わった。 最初「どうせB級だろうけど暇つぶしに見てみようか~」と思ってたくらいなんで、 いい拾いもんだったよ。あの初老刑事役が実は強い人だったってありがちだけど しびれました。面白かった。人にも勧めたい。 【モフラー】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-04-23 15:53:02) (良:1票) |
6.単純に面白い!矛盾やツッコミどころはこの際指摘不要。娯楽作ならではの醍醐味が、僅か90分余りに凝縮されていますね。休む暇ない展開に十分満足。キャスティングも良し! 【タコ太(ぺいぺい)】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-04-22 07:42:37) (良:1票) |
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5.あまり期待してなかったのですが、小気味いいストーリーと導入から引っ張られていく感じで全く飽きさせません。カーチェイスやガンアクションもしつこすぎず、ちょうどいい。サスペンスではありながらどこか笑ってしまうような場面もあり、好感が持てた。 【Andrej】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-03-03 02:49:23) (良:1票) |
4.「たとえ内容が薄くとも、面白ければそれでいいんだ。」という娯楽に徹した潔さが心地よい快作。 絶対的な正義を全うする為ならば、ちょっとくらいの違法行為もイイジャンカ精神で貫かれている所も気楽でいい。 キム・ベイシンガーの恐怖の演技が作品に説得力を持たせている。 地味だけどかなりのファインプレーだったと思う。 受話器をとったら最後まで、観ずにはいられなくなる。 オススメ。 【Beretta】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-02-19 01:54:19) (良:1票) |
3.今や我々の日常生活に欠くことの出来ない携帯電話の特質を巧妙にとり入れた、サスペンス・アクションの佳作。それはそれはタイトルが始まってからエンドロールに至るまで徹底されていて、主役はあくまでも携帯電話なのだという事が否応なく印象づけられてしまう。本作はいわゆる巻き込まれ型サスペンスで、プロットはいたってシンプルだが、さらに二重構造にすることで空間的な広がりが生まれ、またそれぞれがラインで繋がっていて、移動することにより局面が次々と変化し、そこに予測のつかないスリルが展開されていく面白さ。ストーリー・テリングの巧みさやトリックの仕掛け方など、考え得るありとあらゆるサスペンスのエッセンスをふんだんに作劇に絡ませ、娯楽作品として絶妙の味付けを施している。まさにアイデアの勝利といったところだが、やはり電話をモチーフにした「フォーン・ブース」の脚本で既に実証済みのL・コーエンならではの発想で、アイデアマンとしての面目躍如たるものがある。人助けという思いもよらないトバッチリを受けながらも、咄嗟に機転を利かせて大活躍をするC・エバンスが作品全体を盛上げているが、いかにも小市民的なおじさん俳優W・H・メイシーの意外性のある活躍も見逃せない。ただ、J・ステイサムは「トランスポーター」などで既にヒーローを演じている人だけに、今回の役にはそぐわないような気もする。いずれにしても、小品だが時々こういったキビキビした作品に出逢うから、やはり映画は止められない。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-05-17 00:24:46) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 「あなた!そんな危険なものを撮ってたんなら、危ないかも知れないんだから、念のため私には言っといてよ!」と、このあと奥さんが言ったかどうかわかんないけど、それにしてもこの奥さん(先生)スゴイ! 【チャコ】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-04-15 12:31:54) (笑:1票) |
1.これはラッキー。たまたま友人に誘われて行ったんですが、いや、これは実にラッキーな出会い。僕がいつも行く映画館ではこの『セルラー』の上映期間はたったの四日間しかなかったんですから、もう、ホントラッキーです。映画を観る前からハラハラさせられます。で、映画が始まると冒頭から僕の胸ポケットの携帯が激しくバイブし始めて(マナーモードでした。今後はちゃんと電源切ります)、ジェシカか!?と一瞬ドキッとしましたが、結局母からのメールでした。内容は「夕食何がいい?」でした(僕の返信内容「カレーライス!!!!」)。で、ストーリーは現在の科学の進歩が生んだスリルサスペンスアクションムービーって感じで、さらにスリルの中に散りばめられた笑いには結構楽しませてもらいました。たった90分の中にアクションとサスペンスとコメディの要素を惜し気もなく詰め込んだこの脚本は、とても濃厚な味わいの良質な作品だったと言えます。そして夕食は、カレーライスでした。離れていても夕食の献立を一緒に悩み、そして簡単に考えられるようになった科学の進歩に母は大変喜んでいました。 【ボビー】さん 8点(2005-03-13 17:59:34) (良:1票) |