5.敢えて断言。「12人の優しい日本人」は、「12人の怒れる男」よりも断然面白い!。。。ふぅ、言ってしまった。はっきり言って推理劇タッチの「怒れる男」は僕のようなアンチミステリー派にとって、あまりにも真実を一元化しすぎているし、社会派を標榜する割りには陪審員制度の問題点を真の意味で論うことなく、居丈高な民主主義の価値観や義務感によって自ら正義を負う者として規定し、皆が一つの真実を追うことに固執すること、そのことを美化しすぎているように思える。本当の真実とはこうなんだ! こうあるべきなんだ!ってね。また、登場人物たちにはそれぞれのナラティブがあり、それは当然一つに集約すべきものではないのだ。すべての思惑が一つの真実を指し示すなんてあまりにも予定調和すぎる。所詮、おめぇたちは一般市民じゃねぇのかよ。。。などと陪審員制度自体に馴染みがない僕なんかは「怒れる男」を観た時に素直にそう思ったものです。それに比べ、この「優しい日本人」は実に「いい」加減で、最期まで正義に固執しない姿勢がとても晴れやかだし、陪審員制度が日本人に合わないことを明確に主張しているように思える。なおかつ人間描写が多分にデフォルメされてはいるけどとにかく面白い。「怒れる男」のパロディ映画としても秀逸だと思うが、これは本編に対する一種のアンチテーゼでもある。所詮、人に人は裁けないと思うよ。僕は怒れる男であるより、優しい日本人でありたいと思うけどなぁ。「真実の行方」って映画があったけど、あの映画のラストシーンを「怒れる男」に対比してみると面白いかも。 【onomichi】さん 9点(2003-09-06 17:05:08) (良:5票) |
4.《ネタバレ》 結局、被告の女性は本当にやっているのか、やっていないのかは分かりませんが、審議の中で、弁の立つ物の意見に流されて、そっちに行ったかと思えば更に弁の立つ意見を述べると、そちらに流れて判決に至るという部分はいかにも日本人ぽくて、コメディーながらもひそかに怖さを感じさせる映画でした。物語は傑作です。さすが三谷幸喜! 【成迩】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2009-12-11 01:56:25) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 オリジナルをなぞるのではなく日本人独特の価値観を盛り込みコメディ映画に昇華した脚本に拍手!大いに笑わせていただきました。 【キリン】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-12-31 04:09:32) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 12人の怒れる男=名作。そして、12人の優しい日本人=贋作。贋作は時として名作を超えて輝くときがある。しかし名作がなければ贋作は輝けない。最初全員無罪だったのをすぐに一人有罪にした落とし前が「ごめんなさい」というせりふ。また、無記名投票の結果が一枚多いのを高い音域でつっこむ豊川。名作のこれらのシーンを思い描きつつこれらのオマージュを観てこそ楽しい。われわれがあらかじめ抱いている名作の世界観にダヨーンのおじさんの顔とか豊川の熱のこもった「おばちゃんは、おばちゃんは、」の叫び、妙にハモって心地よいです。もし名作がこの世に生まれていなくて三谷が世界で始めてこれを書いたとしたら、やはり名作と呼ばれていただろうか???名作は10点に上げました。贋作を9点にするために。 |
1.すごく良くできた作品だと思います。「12人の怒れる男」とはまた別の魅力のある作品でした。ユニークな個性をもつ12人がコロコロ意見を変えるあたりは、日本版の方が感情移入しやすかったです。私も優柔不断なので、人の意見に激しく左右される登場人物たちと同じだなと。あと病的なほどに有罪を主張する相島一之さんの演技は素晴らしかったと思います。「話し合いましょう」が私の口癖になりそうです(笑) 【はがっち】さん 9点(2003-03-26 00:17:30) (良:1票) |