5.本作は演出のスタイリッシュばかりが注目されるが、「ハード・グッドバイ」と「イエローバスタード」は紛れも無く不器用な男たちの切ないラブストーリーだということに注意して欲しい。前者では、不器用だが、純粋な大男マーヴが名前も知らない女性の愛のために復讐を誓い、そして散っていく(準備を整えてリベンジ!という設定が面白い)。後者のエピソードは被害者の少女と老刑事の恋である。しかし、2人の関係は犯罪によって始まり、犯罪によって終わりを告げる。ラストは老刑事の哀愁をも感じさせて素晴らしい。一方、「ビッグ・ファット・キル」はギャング映画のようでラブ・ストーリーの面白みはない。しかし、これだけ奥の深いストーリーを扱っていながら、娯楽映画としても非常に完成度が高いのが本作の憎いところである。ある意味、オタク監督ロドリゲスでなければ撮れなかっただろう。ストーリーはもちろん、1カット、1カットまで原作に(タラのパートですら)忠実に作られており、フィルム・ノワールの影響を受けた原作の雰囲気は十二分に再現できていると言っていい(ラストはオリジナル)。とくにオープニングとそれに続く原画の流れるタイトル・クレジットだけでもゾクゾクするようなスタイリッシュさだ。オタク監督は個性派俳優を使わせるとベテラン監督以上にその個性を引き出せるのだ。本作では各エピソードの主役のM・ロークは粗野、C・オーウェンはとにかくクール、B・ウィリスは渋く、頼れるキャラを好演し、J・アルバは妖艶、B・デル・トロ、E・ウッドはまさに怪演である。エピソードの配置は「パルプ・フィクション」を髣髴とさせ、これまた絶妙だ。「ビッグ・ファット・キル」は、まさにサービス満載で、そういった意味ではこれがR・ロドリゲス監督の本領発揮であり、一番映画化に適したエピソードだったのかもしれない。つまり、娯楽要素はB・F・K>H・G>Y・Bなのだが、ドラマでは逆になっているのである。ドラマにおいては「パルプ・フィクション」のような娯楽面を押し出した映画とは一線を画している。本作は間違いなくロドリゲスの最高傑作だろう。これからはハードボイルドな雰囲気、登場人物には「F・ミラー的」という言葉を使いたい。ちなみに、初見はスタイリッシュさに酔いしれ、2度目はストーリーに注目する、という見方をお勧めする。続編にも期待したい。本当はもっと書きたいが、字数制限が 【マイカルシネマ】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-07-29 14:49:38) (良:3票) |
4.普通と違う映画。だから好き嫌いはあります。変なキャラがいっぱいおって、そーゆうのは好きです。醜くしかも超人的な巨漢、殺戮マシーンの娼婦、正義感が強い狭心症の老刑事、黄色い怪人の連続殺人鬼、メガネをかけた食人鬼(フロド)、女を守るダークヒーロー気取り、死んでもしゃべり続ける暴力警官、爆弾魔の傭兵、金色の目をもつ黒人、等々。主役の三人が、どんな危険な状況でも、女の前で、いかに自分の描く男像を演じればかっこがいーか、こだわってる所も変態的でかっこよいです。漫画を読んでるような感覚でたっぷり異次元世界に堪能できました。ちなみに、主役達が男の心情をペラペラしゃべり続けるのと、三つのストーリーがほとんど絡んでこないので、そのへんでも好き嫌いがわかれそーです。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 10点(2007-08-30 10:16:30) (良:1票) |
3.行って来たぜシン・シティ!スゲーな本当に。 マジで俺の中で何かが変わった、そして目覚めた。 コレって絶対、好き嫌い分かれるだろうなーと思う。 が、誰が観ても「画的なもの」は絶対評価するだろうな。 「良い映画」=「誰にでも薦める客観的に良質な作品」とする。 「好きな映画」=「あくまで俺基準的に好きな作品」とする。 その上で言うと…歴代”俺の好きな”映画ベスト5に入ると断言する。 マジでシビレた!映画中ずっとニヤけてた!興奮してた!俺の好きなミッキーローク完全復活! って言うか、全てのキャラが立ってたのでワクワクしっ放し! でも井筒監督がTVでボロクソ毒吐いてた言い分が少し解った気もする。(笑) …ま、アーティストも映画も「凄ェ好かれるもの」は「凄ェ嫌われるもの」にもなりえる運命。 故に、俺にとって好きな映画なのかもだが。 主人公は皆、ある意味「異常者」だったしね、間違いなく。 しかし此処読んでる人間で、退く人間も居るかも知れんけど…あえて告白すると「あの異常性は俺の中にも多分に在る」と自覚してる。 そして「心の歪」と生きる、あの3人の男を俺は心からリスペクトする。 あえてカッコつけた事を言おう。シン・シティ…あそこは俺の心の憧憬。 もし、あの世界が在ったなら…俺は明日にでも旅立つ!!コイツぁ凄ェぜ!!! 【映画の奴隷】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-10-29 18:22:36) (良:1票) |
2.雑誌のニュースで「ロドリゲスが原作者のミラーと協同で監督するため、それを禁じているDGAから脱退」という記事をみてから、もうこの映画、絶対にみなくちゃいけないと思っていた。とにかく完璧な作品ににしなきゃいけない。それくらい本気なんだとヒシヒシ伝わってきたから。 お話もばりばりのセックスとバイオレンスにノワール風味が加わっていて、残酷なだけじゃない、オトナなお話だなあ、と感心しました。やっぱ映画を造るときはこれくらい本気じゃなきゃね。 【シェリー・ジェリー】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-10-22 17:00:30) (良:1票) |
1.どこまでも果てしなく“遠慮”がない映画というものは、それだけで素晴らしく、偉大である。 徹底的に造り込まれ、限りなくキワどく、限りなくクールな映画世界に圧巻という言葉すら出ない。ひたすらに血生臭く、非道なこの街の空気感を彩る豪華な俳優陣それぞれのパフォーマンスと、悪趣味とスタイリッシュさとの絶妙な塩梅をこれでもかと見せつける映像感覚が凄まじい。 圧倒的なテンションの連続を見たかと思うと、描かれるストーリーは極めて繊細で切ない。まさに「こんな映画みたことない!」と断言するにふさわしい映画が誕生したと思う。スゴイ。 これは、ロドリゲス流超ハード“パルプフィクション”だ!! 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-10-01 19:01:43) (良:1票) |