14.第2次世界大戦末期に於ける、連合軍進攻によるベルリン陥落までの十数日間を描いた実録風戦争ドラマ。原題は「The Downfall(=陥落、崩壊)」であり、独裁者としてのヒトラーの知られざる側面を描きつつ、むしろ側近を含んだ彼の周囲の人間模様により焦点が充てられている作品だと言える。独裁者たるヒトラーを嘘・偽りの無い一人の人間として描く事や、陥落寸前のベルリンの悲惨な当時の状況を語る事は、何かとタブー視されて来ただけに、今回の映画化にあたっては、それ相当のリスクや軋轢があっただろう事は想像に難くない。しかしそれらを可能にしたのが彼の秘書であったユンゲの回顧録である。従って、映画はあくまでも彼女の視点から描かれていて、それがそのまま我々観客の視線ともなっている。映画である以上多少の誇張もあるだろうが、ここで描かれるヒトラーはおそらく最も真実に近い姿のような気がするし、今となっては彼女の回想を信じるしかないが、それでもユダヤ人団体から“人間的に描きすぎる”というクレームが来たそうだ。歴史上の人物を描くのが如何に難しいかという事だろうか。しかしながら、狂気と重厚さを併せ持った独裁者を演じるB・ガンツはそのソックリぶりで、名優ならではのヒトラー像を見事に体現してくれた。しかしその割にカリスマ性は然程感じられなかったのは残念だとしか言いようがない。それと言うのもやはり彼の側近たちの狼狽ぶりに力点が置かれている為であり、そう言う意味でヒトラーは言わば狂言回しではなかったろうか。組織の崩壊を目前にして素直に敗北を認める者と徹底抗戦する者、或いは国家を憂い将来を悲観して玉砕する者、それでもなお虚勢を装って退廃に耽る者など、国家や戦争への思い入れや立場の違いで、身の処し方も違ってくる。そんな悲惨な極限状況の中、追い詰められた者たちそれぞれの葛藤を、映画は極めて冷徹で淡々としたタッチで描出していく。壮絶で生々しい描写とは裏腹に、感情の無くなった兵士たちの表情がとりわけ印象的だ。本作は戦争が如何に狂気じみたものであるかという事とその戦争を終わらせるのは更に難しいという事を、強烈なメッセージとして世界に訴えかける。戦後60年を迎えた今、この映画を製作した意義は大きく、同じ敗戦国である日本人としては実に身につまされる作品である。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-08-09 00:52:42) (良:4票) |
13.ドイツではタブーとされているヒトラーを描いたことで、賛否両論あったそうだが、評判ほどヒトラーの「人間性」に重きを置いて描かれているようには思えなかった。史上最も悪名高い男の「カリスマと狂気と苦悩」が描かれているかと思ったが、自尊心から現実を受け入れられず部下を罵る彼の姿は、単なるヒステリーな夢想家にすぎなかった。しかしそれこそが一人の人間として描いた場合の彼の実像だったのかもしれない。「アレキサンダー」を観た時のように、倒産する会社を観ているような感覚、カリスマの権力者を中心に集まった集団が滅び行くさまをまざまざと見せつけられた感じがした。‥‥‥鍵十字のナチ自体を忌み嫌い、それに触れることすらタブー視するのが今のドイツなのかもしれないが、この映画はヒトラーを描いたことが問題にされているのではないように思う。ヒトラー=悪という大原則のに思考停止するのではなく、ヒトラー=ナチスという団体の中に居た先祖の人々の人間模様を真っ正面から描き切ったことが問題であり、評価に値するのではないか。ナチスの犯した罪は大きい。しかしその中にも、軍人としての立場を超えて奔走した医師のように市民を守ろうとした真の愛国者も居れば、歪んだ民族主義を抱きユダヤ人を虐殺した者も居たことだろう。その当時の様々な状況を見据え、現実をとらえて考えることが大事なのだ。これは同じ敗戦国であり、戦争犯罪という「言葉」の前に思考停止している我々日本人にも共通するべき点なのではないだろうか。 【six-coin】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-11-17 13:47:37) (良:3票) |
12.邦題では「ヒトラー」を前面に打ち出してますが、内容は「第三帝国最期の12日間」。敗色濃厚な軍事政権がどういう末路を辿るのかを、淡々としたドキュメンタリー・タッチで見せてくれます。私が感銘を受けたのは映画本編よりも、ラストに登場するトラウドゥル・ユンゲ本人のインタヴュー。とかく我が国では戦時下を描く場合、「大空襲の悲惨さ」「被爆の悲劇」「横暴な憲兵や軍人」等を取り上げ、「一般国民は戦争の被害者である」ことを強調する場合が多いと思う。本作を観れば被爆を除いて、ナチス・ドイツも同じだったことが良く解る。しかしユンゲは語る、「私にも責任がある」と。その通り。ヒトラー一人では決して戦争は起こせません。国民一人々々の支持があってヒトラーも戦争が起こせたのであり、それは我が国も同じこと。もちろん多くの日本人が戦争被害者であったことに変わりありませんが、同時に加害者でもあったという視点も忘れるべきではありません、7点献上。 【sayzin】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-08-26 00:10:10) (良:3票) |
11.ハリウッドにとって戦争映画は娯楽の範疇に入るジャンルですが、一方敗戦国である日本やドイツにとって直近の戦争はナーバスな題材であり、これを扱うことには相当なプレッシャーがかかります。とりわけ本作の題材は国際的な物議を醸すことが分かり切っていたものだけに、ドイツ映画界は相当な覚悟を決めてこれに臨んでおり、ファーストカットから「これは並みの映画ではない」という張りつめた空気感が漂っています。それは、見ている私までが緊張させられたほどであり、他の映画ではちょっと味わえない感覚に満ちています。 物語は、一義的にはナチス崩壊の過程を知ることができる歴史作品なのですが、普遍的なリーダーシップ論や組織論として見ることもできるという、一粒で二度おいしい仕上がりとなっています。圧倒的なカリスマ社長のワンマン経営で引っ張られてきた会社が、いよいよ倒産という事態に陥った。社長のコバンザメに徹するという処世術で出世してきた幹部達は何の打開策も打ち出せず、根性のある一部の外様部長達が現実路線で粘って何とか現場が持ち堪えているという状況です。経営者は「お前らが言うことを聞かなかったからこんなことになったんだ」と部下を怒鳴ったり、現実的にありえない新規事業や大口融資を根拠とした起死回生案を側近のイエスマン達に向かって得意気に披露したりと、そこはまさに修羅場なのですが、職業柄、私が見てきたベンチャー企業の末路は本当にこんな感じです。何らかの組織のリーダーをやっている方は、本作を見ると少なからず身につまされる発見があるのではないでしょうか。 問題点は、登場人物が多すぎてドラマがやや散漫となっていることでしょうか。ドイツ人にとっては名前を聞いただけでピンとくるナチス幹部であっても、我々日本人にとっては名前こそ知っているが何をした人なのかは分からないという人物が多いため、ドラマへの没入感がどうしても薄くなってしまいます。 ドイツでの公開時には論争を巻き起こしたとされるヒトラー関連の描写については、ナチスをタブーとしない日本人にとっては大してセンセーショナルなものでもなく、こちらでもやや拍子抜けさせられました。ヒトラーは充分すぎるほど否定的に描かれているし、映画全体の内容もナチズムを賛美するものではなく、なぜこの程度の描写に怒る人がいたのか不思議に感じたほどです。ヒトラーは『イングロリアス・バスターズ』に出てきたような癇癪持ちの小男でなければならないとするのであれば、それこそ歴史を矮小化する行為ではないでしょうか。現実離れしたモンスターと、普段は紳士であるが敵と見なした相手にはいくらでも残酷になれる指導者、どちらに警戒せねばならないかと問われれば絶対に後者の方でしょう。 もうひとつ残念だったのは、冒頭とラストに主人公・ユンゲ(及び本作製作者達)の逃げ口上ともとれるナレーションを入れてしまったこと。「ヒトラーに仕えた私は愚かでした」という現在の価値観に基づく発言が入ってしまったために、歴史映画としての価値が少し下がりました。そこは徹底的に戦時中の描写に徹し、製作者は良いも悪いも判断しないという姿勢を貫徹して欲しいところでした。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2016-02-23 14:03:59) (良:2票) |
10.エバ・ブラウンはなぜあんなにオバサンなのか?すごく若いのではなかったか?調査不足ではあり得ない意図的な設定と思われるのでこの点が興味深い。ゲッベルス役の人の顔が人間離れしていて怖い。腹話術の人形のようだ。ゲッベルス夫人役の女優さんがすばらしい。アカデミー賞をあげたいと思う。首相夫人としての威厳を最後まで保った彼女を演じきった。以下ヒトラーとナチス時代のドイツ「人」について思ったこと。ヒトラー、ブルーノ・ガンツの演じる彼を見ていて、「ああ、この人ってもしかして、子供の頃におもちゃをあんまり買ってもらえなかったのではないかなあ」と、ごく自然に感じた。私にはヒトラーが、「欲求不満のまま大きくなった男の子」に見えた。それだけならよかったけれど、たまたま彼には人並みはずれたIQと、弁舌の才と、小心者ゆえの人の裏切りにするどい嗅覚があったためにこんなことになったのではないかなあ。案外そんなところじゃないかしら。どんな権力を手にした人間も、それが「男性」であれば、問題の根っこはくだらないところにある、というのが私の長年の研究結果である。ベルリンは、彼が造った最も高価なおもちゃであって、他人に盗られるくらいならその前に壊してしまえ、という幼稚な感情が伝わってくる。本当に幼稚園児の発想だよねえ。IQ高そうだけど。ドイツ「人」について。彼らはなぜヒトラーを選んだのか。「先の大戦」の敗戦により屈辱と苦難を強いられたこと、これは民族のトラウマとなっている。「降伏は二度とごめんだ」という言葉にも現れている。国内事情が良くない時、日本は「国の外」にしわよせすることで切り抜けようとしたが、ドイツでは、「国内の敵」にしわよせしようとしたんだな、きっと。特定の民族や、障害者の地位を下げるということは、「そうでない人」が相対的にグレードアップすることに他ならない。「そうでない人」のドイツ人がこれを「よし」としたのは、損得勘定からいえば自然なことだ。良心をワキに追いやれば。(このごろの日本もこれに近づいているな)「あいつはとんでもない悪魔だから非難していればいい」と、ヒトラーとナチス・ドイツの時代に蓋をするのではなく、その時代を生きた自分と同じような市井の人々の心情に想像力をめぐらすことこそが、「知性」の使い道と思う。私の場合はそのために実話もの映画を見ることが多い。(司馬遼太郎のうけうり) 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-03-08 00:01:22) (良:2票) |
9.人間アドルフ・ヒトラーを描いたとパッケージにあったが,それにはさほど興味が湧かない。彼は冥府の王でも大魔王でもなく,当然ながら最初から最後まで人間なのだ。迷妄の虜となってわめき散らすのも人間ヒトラーなら,女性秘書らにそっと垣間見せる繊細さを持ったヒトラーもやはり人間。しかし,私はその点にあまり興味をそそられなかった。全体主義という名の巨大な鉄の要塞が,率いるべき途を示す指導者という求心力を失ってしまったとき,どのように崩壊していくかを私は見たかった。そしてその崩壊は音もなく,響き渡る民衆の悲鳴も伴わず,あたかも老人が静かに息を引き取っていくかのようだった。全欧州を蹂躙したナチス・ドイツのいまわの際とは,かくも静寂であったのかと今にして空しさがこみあげ,そして,あらためてその陰で犠牲になった多くの人達の冥福を祈らずにはいられない。それにしても,ラストで秘書が語る「もっと目を見開いていれば」の言葉の,なんと虚ろなことか!いくらを目を見開いていても,初めから見ようとしなければ決して見えないというのに。あの時代のできごとは大昔の伝説ではなく,今日我々のすぐ隣に存在しているはずだ。そういう意味で,多くの人に観て欲しい映画の一つです。 【Roxy】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-02-05 09:49:17) (良:2票) |
8.下の方に書いている方もいますが、戦争って始める事より止める事の方が 難しいんじゃないかと思います。 あの状況下で自分の意見を言う事の難しさ。 生き抜くことよりも死を選んだ方がいいと思ってしまう。 忠誠を誓って・・・と言う所は、日本の神風特攻隊となんら変わりが無いように感じました。 子供が武器を持つ、そんな世の中は間違っています。 上層部は最後まで食料があり、酒を飲み、タバコを吸い・・・・ 日本の最期もこんな感じだったのでしょうか? ドイツは同じ敗戦国でも日本とはちょっと違うように感じます。 日本ではこのような映画は作れないでしょう。 しかし・・・いつの時代も女性は強いですね。 ヒトラーの愛人(最期は奥さんか)のいさぎよさ・愛の深さには 女の私も惚れちゃいます。 子供を手にかける奥さんも 自分で生んだから自分で始末つけたのでしょうか。 終わった後、ダンナを見る目が・・・何も語らなくても分かるような。 命の土壇場の時、女って強いなぁ~としみじみ。 【あずき】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-09-01 21:02:11) (良:2票) |
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7.ヒトラーはともかく、ゲッベルス首相の顔がやたら怖い。(実物のゲッベルスは どちらかというと妖怪顔だったのに対し、今回なぜだかそれ以上。) そこが不謹慎にも今回少し笑えたポイントなんですwww。 だがしかし、そんなことより、ヒトラーはともかく、今回、側近たちの逝き様について追求してみた挙句に、 いらん事、悲しい写真を目にする事になってしまったのですが、例えば、ネット上にはハインリヒ・ヒムラーの自殺直後の写真が存在しています。 また 悲しいかな ヨーゼフ・ゲッベルス、マグダ・ゲッベルスの半焼死体写真だって公開されています。 そしてさらに悲しいかな ・・・その横には毒殺によって亡くなった娘たちが横たわっています(><。) 軍人であった人間ならともかく、その娘たちの亡骸写真をいつまでもオープンに垂れ流しておく必要ってどこにあるのでしょうか。これって旧ソ連側の管理体制にあるのでしょうか ひどい仕打ちです。 だが、しかしです。 ということは、つまりです〝捕まって晒し者にはなりたくない〟〝いいか、自分の死体は確実に焼却してくれ〟 と指示してこの世を去った某ヒトラー。あなたの思い通り、晒し者になる事は避けれましたね その自分勝手な逃げっぷりについて私はどうのこうのとは言いませんが、なんだかなあ・・って感じです。 ★出来栄えの評価としては限りなく9点に近い8点評価とさせていただきます。良い作品を観せてもらったと思っています。ヒトラー1人に焦点をあてたドラマでは無いのに 観客を惹きつけた〝ヒトラー最期の12日間〟という邦題、いいと思います。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-12-27 11:06:48) (良:1票) |
6.一歩誤ったら批判の集中砲火に遭いそうな題材をあえて選択し、しかも、当のヒトラーをかばうわけでも同情するわけでもなく、かといって、過剰な演出により悪性を誇張するわけでもなく、淡々と地道に事実のみを積み重ねる。まるで本当に当時の地下室にカメラを入れたような緊迫感と生々しさがあり、実に難易度の高い作品造形をクリアしていると思う。ナチスやヒトラーは、その当時においてはある種のモンスターだったのかもしれないが、モンスターだとして片付けてしまうことは、それ以上の認識と分析を遮断するだけであり、今後の我々が実感をもって明日のナチスを防止することはできない。その意味で、この作品が持つ意義は大きい。また、描写の手法としては、地下室のみにとらわれずに、砲撃や包囲の描写も随時挿入し、他方、食事などの日常生活のディテールにもこだわっている姿勢が、作品に一本の筋を通している。 【Olias】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2009-02-01 12:45:35) (良:1票) |
5.敗戦を目前にした国家の首脳陣の姿を、壮絶な市街戦を交えながら群像劇として描いた、まさに力作。『タイタニック』以上にタイナニックな沈没感覚。中でも辛いのは、子供たちが毒殺されていく光景。眠っている子供たちに毒のカプセルを飲ませ、そっと顔を隠すように、掛け布団を頭の方へ引き上げる。と、露わになる子供たちの小さな“足”、それをカメラは捉える。うん、子供が一番いとおしく感じられるのは、彼らの“手”や“足”の小ささを見る時だと思う、我が子の爪を切ってやる時なんかにそう思う。その“足”を、こういう形で見せつけられる残酷さ。・・・というわけで、なかなか感慨深い映画、ではあったのだけど、むむむ、なんか釈然としない部分も残ってしまうのは・・・この、「敗戦を前に、厭戦気分と特攻精神が相半ばしている」という、なんつーかその、“アタリマエ”っぽさ。そりゃそうだろう、と思う一方で、それだけじゃあるまい、という気がしてしまう。ドイツ人自身が作った映画でありながら、ここが限界なのか、と。「善」「悪」は当然踏まえなければならない、だけど、ほんとうの本音のどうしようもない“何か”が悲劇の背景に必ずあるのではないか(例えば映画『アマデウス』で描かれていた「ドイツ語のオペラなんてとんでもない」などというコンプレックスにもナチへの萌芽があった筈)。それをドイツ人自身の目で、心で、描けなかったのだろうか。この映画の違和感って、例えば、北●鮮で現政権が崩壊した後、『将軍様 最期の12日間』とかいう映画が作られて、やっぱり内容は「厭戦vs特攻」だったら、何か変だよなあ(アタリマエ過ぎて)、という違和感・・・・・・。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-04-28 22:33:05) (良:1票) |
4.勝敗がついた戦争において、敗者はどのように終わりを迎えるかをナチスとヒトラーをテーマに描いた作品である。日本の敗戦においても恥や意地ではなく国家の再生を考えて国民の犠牲を少しでも少なくすることを優先する人々と降伏など考えず民族が絶滅しても最後の一人まで戦うのが良いとする人々の確執が起こった。冷静に考えればどちらが本当の愛国者であるかは明らかなのだが戦中では軟弱、裏切り者という批難に耐えて前者を主張し続ける事は難しい。首都が陥落するまで戦い抜いたドイツは前者を主張する多数の良識を持ちながらナチスとヒトラーが後者であり続けたことが映画からも分かる。この映画は敗戦国だからこそ作れた映画であると思うがこのテーマは現代の国家においても、例えばイラク戦争や北朝鮮などにおいても、またもっと卑近な例では会社や組織のあり方においても我々自身の問題としてとらえなおすことができるのではないだろうか。真摯な作風と丁寧な映像にこの点で。 【rakitarou】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-02-20 18:03:15) (良:1票) |
3.元々のこの映画の意向は元秘書が見た事実を伝えるためだけの事実のドキュメンタリーなのだから、観客を喜ばせたり興奮させたりする娯楽映画とは同じ土俵では評価できないでしょう。戦争を知らない自分の世代、日本という国。今当たり前のようにあるこの現実が戦争の世紀とよばれた20世紀を経てどのように成り立ってきたのか、どのような想いで戦って死んでいったのか。お金があればいい、ブランド品に埋もれていれば幸せという物質主義にまみれた現代にいながら、彼らの気持ちが少しでも垣間見たくて、自分は戦争映画を観ている。 【ちーた】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-03-01 17:26:44) (良:1票) |
2.見た後は何ともやりきれない気持ちで、私も含め観客の表情も沈鬱なものでした。この映画、ドキュメンタリー・タッチで淡々と進んでいきますが、戦後60年特集として制作された各種ドキュメンタリーとは明らかに一線を画すものであり、また、一般的な映画でもなく、とても他の映画と同列で採点すべきものではありませんが、敢えて点数を付けるとすると10点しかないでしょう。ある面「日本の一番長い日」のドイツ版とも言えますが、本作品は人物の心理描写がきっちりされており、戦争が人を変えるのではなく、人の心の弱さが狂気を招き、その狂気が戦争をより悲惨な方向へと推し進めていくことが明確に描かれている点ではるかに優れています。 娯楽性のかけらもなく見てつらいだけですが、是非多くの人に見てもらいたい作品です。 【はやぶさ】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-11-02 00:25:18) (良:1票) |
1.この映画に対して点数をつけるのはとても困難です。おもしろいとか、価値があるとかそういう言葉で表しきれないけれど、でもこの映画を見て考えるべきことはたくさんあると思います。同じ敗戦国である日本とドイツは戦後補償の点においてよく比較されます。日本では大戦時のアジア侵略をこのように形に表すことはおそらくないでしょう。とかく、日本は被爆国であることを強調しているように思えるのですが、日本も戦時下ではアジア諸国に対して残虐な行為もしてきたということ。そしてその後の対応が現在の中国や韓国との歴史問題に発展していること。この映画を通して、戦後補償における日本の在り方についても考えさせられました。 【織姫】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-08-11 00:53:46) (良:1票) |