《改行表示》 6.ジェームズ・キャメロンは好きな監督だが・・・何故か「タイタニック」だけは惹かれなかった。 その理由がジャン・ヴィゴの「アタラント号」やロナルド・ニームの「ポセイドン・アドベンチャー」、そしてこのロイ・ウォード・ベイカーの「タイタニック」にある。 1958年に公開されたこの作品は、あくまでドキュメンタリー風のタッチでタイタニック号が沈みゆく姿を描いていく。 登場人物の描写は「タイタニック」よりも希薄だし、キャメロンの映像に比べるとこの作品は見劣りしてしまうかも知れない。 けれども、この作品は無駄なものが無く、船が沈むまでの人々の動静を克明に映像化した作品だ。 登場する船もセットも総て本物ではないのかという危機迫る映像、白黒画面の黒い映像がより沈みゆく船の恐怖を倍増させている。 死を前に人は何をすべきか? 最後まで船に残り最善を尽くそうとする人々の生きる姿。 善悪のあるドラマではなく、人間味のあるドキュメンタリーだからこそ極限状態の緊張感と凄惨な絶望感を肌で感じられると思う。 この作品の持つメッセージやドラマ性の方が、キャメロン版より圧倒的に上だ。 かつてキャメロンの「タイタニック」を酷評した淀川長治さんも、恐らくこの作品を見ていた事だろう。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-05-08 20:56:41) (良:2票) |
5.まずは「タイタニック」と聞いて、何を思い浮かべるか?ほとんどの映画ファンは真っ先に監督ジェームズ・キャメロン、主演にレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの二人といった作品を思い浮かべることでしょう!そんな作品の遥か昔に同じタイタニック号沈没の悲劇を描いた作品がこの作品でして、ジェームズ・キャメロンが撮った「タイタニック」の様に安易な恋愛ものを取り入れ、そして、多くの大金と物凄いCGなどこの作品には一切無縁のこれこそ本物のタイタニック号の悲劇を描いてる作品です。確かに映像的には劣るかもしれないし、それはただ単にCGなどによる映像の迫力に劣るというだけであって、作品の持っている力強さと迫り来るメッセージでは明らかにこちらの方が数段、上です。特に凄いのが、この作品はどれもが本物のセットで撮影しているのではというぐらい今みたいに特殊技術なんかなくても一つ一つのシーンが丁寧に撮られているのが観ていて分ります。白黒ならではの白黒だからこそ迫り来る恐ろしさがここまで上手く描かれているし、下手な恋愛ものといった余計なものが無いので好感も持てます。死を目前にして、最後まで最善を尽くそうとする人たちの姿と一人一人が生き抜くためには何をすれば良いのか?といった人と人とが協力することの大切さをドキュメンタリー風に描いていることで、更にこの映画の持っている悲劇というものを一層、浮かびさせる本当に観ていて恐い映画だと思いました。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2007-05-26 16:50:59) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 模型のような船に発泡スチロールのような氷山が出てきた前半は時代とはいえこれは失敗作かと思いましたが、タイタニック号が沈没し始めてからは凄い。あまりの惨事に恐怖で息もつけません。ドキュメンタリータッチなので人物描写こそ希薄ですが、どうなるか分っているだけに小さい子を抱く老人が写るだけでバックグラウンドなどなくとも悲しい心持になってしまいます。そして、見える距離にいたカリフォルニア号には船員たちと共に何故気づかないんだと叫んでしまいたくなります。タイタニック号の悲劇を忘れてはならない出来事として深く記憶させてくれる良作です。 【ミスター・グレイ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-03-31 17:47:24) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 観て驚きました、『タイタニック』はこの作品のリメイクみたいなものなんですね。随所に『タイタニック』で観たことある様なカットが観られます。イズメイ社長がこっそりボートに乗り込んで船員に軽蔑の眼差しを向けられるところや、“不沈のモリ―・ブラウン”が救命ボートで船員に喰ってかかるシーンなど、枚挙に暇ありません。極めつけはアンドリュース技師がダイニング・ルームで死を待つシーンで、暖炉に手を突いて時計を眺めるところなど『タイタニック』ではキャメロンはそっくり真似というか再現しています。このシーンでアンドリュー技師が話しかけるカップルこそ、ジャックとローズの原型なんですよ。製作当時には船体が折れたことなどが判明していなかったのですが、沈没の様子はミニチュア特撮ながらかなり忠実に再現しています。『タイタニック』では無視されていたカルフォルニアン号とカルパチア号の事はかなり克明に描かれていました。 こうやって観ると、ラブロマンスの要素がない分事実の重みが伝わってきますね。キャメロン版でタイタニックものはやるべきことはやり尽くした感がありますけど、本作も歴史の中に埋もれさせるにはもったいない一篇です。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-05-16 20:28:04) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 有名な「タイタニック」が陳腐なものに思えました。 沈むとわかってからの人間模様、最後の監督の訴えが心に残ります。 以下、完璧なネタバレですが、 カリフォルニアに宛てた痛烈なメッセージ、ヒューマンという単語を含んだ「応援はいらないよ」という船長の言葉、またジ・エンドの前の木馬、これが全てではないでしょうか。 有名作にはないリアリティーと人間性がこの作品にはあります。CGもなしに良く作っています。違和感なし。邦題で損してる秀作だと思います。 【PaperMoon】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2006-06-08 00:45:01) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 「タイタニック」号沈没という大事件そのものに多くの逸話があり、あとはいかに映像化するかが鍵だと思います。そういった意味からも、まだ半世紀を越えていず生存者が多く存命したであろう製作年を考えると涙なくしては観られません。キャメロン作品と比較するのは野暮ですが、強いてあげるなら、タイタニックのすぐ近くにいながら救助に向かわなかった船とカルパチア号の状況がきちんと映像化されていた点はこちらのほうが上です。あと余計なラブストーリーもなかったし(笑) 【hee】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2005-08-04 21:20:48) (良:1票) |