6.ロココ絵画の名作を思わせる、夢のように美しくて荘厳な映像。絵画を観るのが好きな人なら、これだけでも観る価値があると思う。脚本も恐ろしく完成されており、映像がそうであるように全体の構成が完璧なシンメトリーを描いている(前半は決闘に勝利したバリーが故郷を追われた後に富と名誉を得るまで、後半は財産を浪費したあげく名誉を失ったバリーが決闘に敗れ、故郷へ舞い戻るまで)。登場人物への感情移入を拒否するような作りも面白い。バリー・リンドンは間違っても善人とはいえないが、かといってとんでもない悪党と言い切ることもできない、ある意味ではすごく人間くさいキャラクターだ。エピローグの言葉を人間に対する否定ととる向きが多いようだけど、逆に救いを読み取ることもできないわけではない。ブロンテの『嵐ヶ丘』の結末にも似たような言葉があって、そちらは激しい生を全うした人物たちがようやく安らぎを得た、という慈愛の意味で使われている。栄光を求めて這い上がり、最後には己の欲望に足をとられて転落したバリー・リンドン。ひとりの人間の生涯を、綺麗な部分も醜い部分もひっくるめてまるまる映画にする。ただ「彼が生きた」ということをありのままに提示する。人間を描く方法として、もっとも実直で嘘のないやり方だ。いつものキューブリック作品には人間に対する皮肉や批判が見られるが、今回は趣きが違う。人間の愚かさを受容する、キューブリック流の人生賛歌を唄っているのではないかとも思えた。 【no one】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-04 01:59:32) (良:2票) |
5.「キューブリックで何が一番良い?」と聞かれると、「バリーリンドン!」と答える私だが、10点ではない気がする。「フルメタルジャケット」は10点なのだが。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 9点(2004-04-17 02:12:40) (良:1票)(笑:1票) |
4.意外と面白くない。時代とか世界とか衣装とか、そういうのは目を引くし飽きない。 でも話がつまんない。題材は良いと思うのに、つまんない。
この長さにしなきゃいけない理由もよくわからないし、2時間に収めるのも技術のうちなんだと思うけど、放棄しちゃってないだろうか。時代物の大作というカテゴリーにあぐらをかいちゃってるような気がしてならない。 アカデミックな雰囲気をまとえばどんだけ長くても許されるみたいな雰囲気がこしゃくな感じがして全然感情移入できなかった。
こういう玄人受けを狙った作りであれば、愛好家同士で良作だよねって話し合っていればいいと思う。面白い映画が単純に好きである、と言う人が観て面白いか?オレは全然面白くないと思う。と素直に感じてしまった。 一緒に観ようと言われて、二人で観たわけだがスゲエつまんねえなオイとは言えず「なんか、全然面白くなかったね」とどうでも良いところで気を遣ってしまったのも妙に自分に腹が立った覚えがある。
自分の感性からすると万人受けしないと思うんだけど、なんで平均点が高いんだろう。 画的にはすごいなって思うし、話はわくわく感があるけど脚本になってみるとスッゲーつまんないと思うんだ。 絵に描いたような「意外と面白くない映画」っていう感じだし、絵に描いたように「期待しなければひょっとしたらひょっとするかも知れない映画」だと思う。 でも「ひょっとしてしまった」人の多さに、自分の感性の鈍さと単純さにがっかりしてしまった。
そういえばキューブリック作品であると知ったのはみてから何年か経ってから。平均点にキューブリック補正掛かってるってことは無いだろうか。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕)] 4点(2009-07-26 01:25:32) (良:1票) |
3.どうしてこんなに感情移入出来ないんだろう 全く感情が排除されているようなこの違和感は何だろう・・・・ラストで「ああなるほど。」と納得。
しかし、僕にとっては「ああなるほど。」 それ以上でも以下でもなかった。 3時間もの長尺作品にする必要はあったのか?
思いのほかここのレビュー平均が高い事に正直驚いた。
過去に強烈な作品を作り続けてきたキューブリックの作品という事で、「キューブリックが作った」ということが頭に前提としてあり、その前提があると、感覚を研ぎ澄まし、メッセージを理解しようと自然と「身構え」のようなものが出来る。 その「身構え」があるからこそ、比較的解りやすいラストが準備されている本作で、映画への感動云々とは別の、達成感のような感覚から、高評価・・・・となる経緯があるのは否定できないのではないか。 キューブリック作品じゃなかったら、こんなに高評価されているだろうか?
僕は結局「面白かったかどうか」それが一番映画において重要だと思っているので、 「あまり面白くなかった」。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 4点(2009-07-25 09:30:30) (良:1票) |
2.皆さんのレビューに多く有るように、この映画は本当に“絵画的”なビジュアル表現が成されています。色使いはレンブラントorマネを思わせるし、光の捉え方などはフェルメールのように神々しい。特にシンメトリーの構図や奥行きの捉え方などを見る限り、美術的なセンスに抜きん出ているように思える。こういった写実的な作品が作れるかと思えば、『時計仕掛けのオレンジ』のような印象派的で現代美術的な作品(ウォーホールorサフディ)も有る。感心するのは原色による補色の使い方が特に上手いこと。 つまり、この監督は写実は的な感性と印象派的なセンスを併せ持っているのである。普通は(かつての芸術家たちは)どちらかに別れるモノなのですが・・・。そこがキューブリックの凄さなのである。「何だか分かんないけど、世間でスゴイ!と言われているから凄いんだろう」と適当にあしらってはならない作品ですよ。コレは。 美術的なセンス、ビジュアル的なセンス、カメラ知識の豊富さ、皮肉がこもった反社会派的な洞察力、台詞の面白さ、脚色の上手さ・・・。天才と言うしかないですね。 【おはようジングル】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-09-02 17:09:31) (良:1票) |
1.映像が美しいと評判でしたが全くその通りでした、それだけでも見る価値あるんじゃないかと思います。あと観る前懸念していた長さについては、自然と引き込まれて退屈に思うことなく最後まで見れました。 【20111126追記】面白いかと言われると微妙で、2度目を観ようという気になれないので-1 【ないとれいん】さん [DVD(字幕)] 6点(2004-01-11 19:56:30) (良:1票) |