7.《ネタバレ》 前5作と比較すると本作が映画としてのレベルが一番高かったように感じた。 リアリティを無視し、荒唐無稽さが目立ち始め、やや道を外しかけたこのシリーズを俳優交代を機に原点回帰させようとした関係者の熱意が伝わってくる。映画としては素晴らしい作品に仕上がったが、当時の観客には受けなかったのが残念で仕方がない。リアリティをとことん重視した本作(カジノロワイヤルへの対抗か)の興行的な失敗により、本シリーズの方向性は、最新テクノロジーをふんだんに盛り込んだ非現実的な路線へと進むことになったといえよう。 とにかく、本作のリアリティ度は目を見張る。ボンドが一発軽くぶん殴ったら、普通ならば、その名前のない者は即座に退場させられるのがシリーズの流れである。しかし、本作では5、6発ぶん殴っても倒れない。しばらく倒れたとしても、すぐに起き上がって、またボンドに向かってくる(ボンドは顔に傷を負う)。敵から銃弾を浴びせられれば、頬をかすめるほどのギリギリを通過する。スキー板は外れ、敵からは血も噴出す(血は意外と珍しくないか)。油を触れば、当然油まみれにもなり、役に立つのは特殊機械ではなく、ポケットの生地というこだわりだ。金庫を開けるために特殊機械を使用したとしても、数秒で開くことはなく、長時間を要する(これにより緊張感も生じる)。敵から全力で逃亡すれば、疲労までもする(スケートリンクで呆然としている)。仲間は役に立たず、拷問にあえばあっけなく白状するのもリアリティのこだわりだろう。 エンディングもシリーズを無視した挑戦ともいえるが、このエンディングはアメリカンニューシネマの影響を受けているのかもしれないとも感じた。 このエンディングを踏まえると、若さゆえの熱さ、青臭さ、脆さを感じられるレーゼンビーでよかったのではないか。コネリーやムーアでは本作の良さは半減しただろう。 ただ、もろ手を挙げて賞賛するわけにもいかない。①レーゼンビーのボンドは、ボンドとして何かが足りない。ボンドとしての魅力を出し切れていない(ただの若いスパイ)。②女王陛下の諜報部員としての自分と、一人の感情のある人間としての自分との葛藤がそれほど感じられない。③ラストの涙には愛する者を失った哀しみは十分感じられるが、「諜報部員っていったい何だ」という嘆き・重みに欠ける。逆にボンドからハットを受け取るマニーペニーの涙には重みがあった。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-11-03 01:10:14) (良:3票) |
6.《ネタバレ》 各国から治療に訪れている患者達に催眠術をかけて”細菌兵器戦争”の実行犯に仕立てるプロットは一見無茶だけど”催眠術”=”洗脳”と読み替えればこれはオウム事件を彷彿とさせて背筋が寒くなる。最も印象に残っているシーンは新雪の積もったアルプスにシュプールを描きながら逃げるボンドとトレーシー。このシーンといい、花火の使い方といい、「私をスキーに連れてって」に少なからず影響を与えているはず。(そんなのどうでもいい?) 【マイケル】さん 7点(2004-03-17 11:35:30) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 確かに華はない ハイテク小物もほとんど登場なし そして 相変わらずな女好き と思わせきやの結婚 でビックリ!!のラスト しかし、当然CGも何もない時代 よく撮影したなぁと思わせるシーンが多数 躍動感あるスキーシーン 豪快な雪崩シーン(実際に雪崩を起こしたんだろうなぁ…) ま 多少の合成画像感は致し方ないのでお許しを(笑) 本作のみ出演のレーゼンビー イロイロな事情があったんでしょうが、なかなか良かっただけに惜しい 2作3作と出るうちに固さもとれてきっといい「ボンド」になったであろう 歴代の007作品の中では間違いなく異色のボンド でもほんとはあぁいう地味な人がスパイっぽいかも? そんな印象のレーゼンビーボンドでアリマシタ 【Kaname】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-06-27 14:33:01) (良:1票) |
4.個人的にはBGMも含めてシリーズ中一番好きかも。山頂にあるブロフェルドの要塞からスキーで脱出するシーンとBGMが特に好き。ブロフェルドの要塞となったスイスのシルトホルンは今では人気観光地で、よくこんなところにロープウェイを架けたなと思うところ。ここでロケしたくなる気持ちがわかった。 【きーとん】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2010-07-26 20:57:05) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 レーゼンビーボンドというキャストと地味なイメージのため、これまで何となく後回しにしてきた本作だが、実際に見てみたら結構よかった。とくに、みなさんがおっしゃるように、007シリーズとは思えない泣かせるラストには強烈なインパクトを受けた(「カジノロワイヤル」(06)に影響を与えているか?)。あの、ものの数分のシーンの存在によって、この映画全体に対する印象と評価がガラッと変わった気がする。ジェームズ・ボンドにフツーの平穏なる幸福は許されないことを、観客もボンド本人も思い知らされる。 レーゼンビーのボンドは、決して悪くはないとは思うけれど、どなたかが指摘されているように、何かが欠けている。キャラが立ちそうで立っていないところだろうか。もう少し「クセ」があればよかったかもしれない。見終わって、恐る恐るこのレビューを覗いてみたら意外な高評価だったので、なぜか嬉しくなってしまった(笑)。 とにかく、本作の最大の特徴はラストのシークエンスに尽きるだろう。Qの言葉を借りれば「思ったより無責任ではなかったボンド」という人間らしい一面に触れ、そして、癒しようもない傷を負ったボンドの過去を知ったことで、いままでとちょっと違った見え方がするかもしれない。 【delft-Q】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-06-05 11:29:37) (良:1票) |
2.ショーン・コネリー降板後初の007シリーズなので、少し違和感が有りましたが、良く出来ている方だと思います。前作で秘密兵器が色々登場しましたが、本作は少々抑え気味にして、本格アクションスパイ映画を目指しています。ボンド・ガール(トレイシー)と恋に落ちて行く様子も描かれていてよかったとおもいます。最後は悲しい結末になってしまいましたが。 【みんてん】さん 7点(2004-06-09 16:39:39) (良:1票) |
1.仕事に恋にマジメなボンド。作りもマジメなアクション映画で、007の割には(?)結構ハードボイルドで硬派な作品になっている。おもちゃも使わず、マジメに戦ってます。よってQの出番が無いのはちょっと残念ですが。ボンドのサポート要員みたいな男は前半頑張ってたけど、捕まって簡単に情報漏らし過ぎ!最後の終わり方は解せないなあ。「えー!なんでー!」と叫んでしまった。 |