14.食うべきか?食わざるべきか?と問われたら私としては食うしかないがせめて塩ぐらいは欲しいですね。 【 蛇足 】 : 正直なところこのレビューは前文一行だけに凝縮したものを詰め込んだつもりでしたけど下記ような蛇足レビューを書かないとこの手の《人間の尊厳》を描いた作品で”笑”を狙って書いたようなレビューは良識派の方々にとって「不謹慎だ」ととられかねないので私がこの作品を観て感じたレビューを書かせていただきました。さて古代から続く食文化において必要最小限な調味料はなんだろう?と考えたら”塩”が真っ先に出てきました。塩というものは天然でも取れるし人工によっても出来るこれほど身近にかつ簡単に手に入る調味料は他に無いと思います(お暇なら私の『北京原人』のレビューでも読まれてください)。いろいろな料理を作るにあたって、もし塩抜きの料理があったとしたらどうでしょう?それは必ず「一味足りない・・・」と感じられること間違い無いと思います(一味どころか不味いとさえ思うかもしれません)。考えてもみてくださいほとんどの料理に塩という調味料は無くてはならない存在なのです。ましてや人体における塩分を摂取するという行為は栄養学上においても必要不可欠であります。 塩という存在は”食”においてあまりの身近さゆえにそのものの持つ本来あるべき実質的な価値を忘れ去られがちであり、人は塩に対する感謝の念つまり”ありがたみ”を忘れてはしないだろうかとも思います。だからこそ、その”当たり前”的発想を今一度見つめ直してみるということで物事の本質をより一層深く感じ取れるのでは・・・みたいなことを書いてみた次第でごさいます。要は人間五体満足健康であることだけで幸せなんですよ。人生っていろいろと悩み苦しむこともあるけど生きているだけで素晴らしいことであり価値があることなんですよ。 【tetsu78】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2004-06-07 04:19:28) (良:2票)(笑:2票) |
13.《ネタバレ》 極限状態で迫られる選択。「あなたなら生きるためにヒトの肉を食べられますか?」この問いかけは、冒頭の生存者独白シーンで既に回答されています。「その状況になってみなければ分からない」。実際そのとおりだと思う。凄く葛藤するのかもしれないし、簡単に腹をくくれる気もする。自分なら多分食べますが、本当のところ分からない。本作の登場人物たちは、比較的アッサリこの難問に答えを出します。これがとてもリアルに感じられました。それが「実話」としての強みです。しかしこれは一例。今回の遭難者は最初からグループとしての機能を有しています。主義信条もそんなに変わらない。一つの結論に辿り着き易いと思う。もしこれが一般の旅客機だったらどうでしょう。人種、宗教、置かれている状況が違えば、おのずと選択も違ってくる。餓死を選ぶ人、自殺を選ぶ人、死を覚悟で山を降りようとする人、ただただ神に祈る人。いろんな行動、選択があっていい。どれが正しくて、どれが間違いという問題ではありません。それが人間である証だと思う。いみじくも誰かが言っていました。「人間であるうちに…」と。人間だから悩むのです。そこに踏み込んでいないように感じました。心理描写が淡白でした。関係各位への配慮も当然あるでしょう。実話としての強みもあれば、逆に弱みもあるということ。生きることへの素晴らしさを説くことに、もちろん異論はありません。でも楽な着地点を選んだ(選ばざるを得なかった)ようにも感じます。本作については、“完全フィクション”というアプローチでも良かった気がします。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-12-27 19:38:45) (良:3票) |
《改行表示》 12.《ネタバレ》 実話という衝撃が大き過ぎる映画なのですが、単純にサバイバル物として考えても、良く出来てますよね。 完全なフィクションとして提供されても「これは凄い、傑作だ」と唸るくらいに面白い。 本作には「実際に起こった悲劇を風化させない為、後世に伝える為」という制作意図もあったのでしょうけど「観客を楽しませる娯楽映画」としても、立派に成立してると思います。 序盤にて飛行機が墜落する場面も迫力があり、映画としての「掴み」に成功してる辺りにも、感心しちゃいましたね。 他にも「普通の道だと思って足を踏み出したら、実は崖の上に雪が積もっていただけで転落死しそうになる場面」もあったりして、視覚的なスリルを味わえる作りになってる。 「明日救出が来ると勘違いして、配給制にしていたチョコやワインを一気に消費しちゃう」とか「新しいスーツケースを見つけ、その中の歯磨き粉を夢中で貪る」とか、極限状態ならではの可笑しさ、面白さを丁寧に描いている点も良かったです。 最初はギターを弾く余裕があったのに、後に暖を取る為にギターを燃やしてしまう描写なんかも、徐々に状況が切迫してる事を伝える効果があって、印象深い。 それと、実際にあった墜落事故について調べてみると、宗教的な色合いが強く「仲間の遺体を食べる」事が可能だったのは「彼らがキリスト教徒だったから」「聖体拝領という儀式が存在したから」こそと思える感じなのですが、本作はそういった説明を必要最小限に止めてるんですよね。 それによって、キリスト教徒ではない観客にも感情移入させる事に成功してるし、この辺りのバランス感覚の巧みさが、本作を傑作たらしめているように思えました。 主人公格と思われたキャプテンのアントニオが中盤で死亡してしまったり、最初は眼鏡姿で頼りない印象だったナンド・パラードが皆を救う為の脱出行を成功させたりといった具合に、群像劇としての魅力が詰まってる作りなのも良い。 こういったサバイバル物において「誰が生き残るのか分からない」と思える作りになってるのは、物語としての大きな強みですからね。 「前半はアントニオが主役と思わせておいて、実はナンドが主役だったと後半に明かす」「全体を通してメインになる存在としては、医学生のロベルト・カネッサを用意する」という構成にしているのは、本当に上手かったと思います。 捜索が打ち切られた事を「良い知らせだ」「これで自分の力で脱出しなきゃならん事が、ハッキリした」と語る場面や、山を越えた後に更なる山脈が広がってるのを目にしても「歩いてみせるさ」と諦めず前進を続ける場面にも、感動させられましたね。 思えば上記二つの場面とも、主人公のナンドの魅力が光る場面でしたし「途中まで脇役かと思われた人物が、実は主人公である」という変則的な手法なのに納得させられたのは、彼の魅力に依るところが大きいように思えます。 それだけに、そんなナンド達の「奇蹟の脱出行」の描写が短く「絶対無理と思ってたけど、意外と何とかなった」としか思えない描き方になってるのが気になっちゃうんですが…… まぁ「そこに尺を取り過ぎても、冗長になってしまうから」という判断ゆえなのでしょうね、きっと。 ちなみに、本作は群像劇であるがゆえに、ナンド・パラード目線で書かれた「アンデスの奇蹟」(2006年)とは受ける印象が違っており、その差異に関しても興味深いものがありました。 脱出を成し遂げた二人に関しても、本作では「無謀で我の強いナンドに苦労させられる、常識人のカネッサ」って対比になってるのに対し「アンデスの奇蹟」を読んでみると「一途で誠実なナンドと、有能だが毒舌で偏屈なカネッサ」っていうコンビになっているんです。 自分としては後者の方が魅力的に思えたくらいなので、こちらのキャラクター像に合わせた映画も、何時か観てみたいですね。 それと「アンデスの奇蹟」においては「ナンドが旅立つ際に、片方だけ残していった子供靴の由来」「目を保護する為のサングラスの作り方」に関しても詳細な説明が為されており、映画で気になってた部分の答え合わせが行われているのも、見逃せないポイント。 本作は紛れも無い傑作であり、これ単品でも満足出来ちゃう仕上がりなのですが…… 原作となったドキュメンタリーの「生存者」(1974年)そしてナンドの自伝と言うべき「アンデスの奇蹟」を併読すると、より楽しめると思うので、オススメしておきたいです。 【ゆき】さん [DVD(吹替)] 8点(2022-03-24 20:37:51) (良:2票) |
《改行表示》 11.《ネタバレ》 「生きる」ということは「食べる」ということなんですね。「生きる」=「食べる」。当たり前すぎて普段何も考えずに享受していることってたくさんあります。食べることなんて、その最たるものですよね。 飛行機が墜落。零下40度。食料は僅か。捜索の打ち切り。この絶望的な状況下で生きるために起こした行動は、きっとそのすべてが正解なのでしょう。 私は、70日間生きるために行動し続けたことが最早奇跡だと思います。この状況下で、70日間生きることをあきらめなかったことに、すごく、すごく、すご~く感銘を受けました。 一日食事を抜いたことがありますが、頭の回転は鈍くなり、力は入らず、気力がわきませんでした。飢餓状態で、最善の選択、最善の行動をとるということは、ほとんど不可能に近いことのはずなのです。にも関わらず、これだけの人数が生還できたということは、彼らはその極限状態の中で限りなく最善に近い選択をし最善に近い行動をとってきたのではないでしょうか。もしそうだとしたら、私が考えているより、人間ってもの凄く強く、そしてものすごく可能性を秘めた生命体なのかもしれないです。 ひとつだけ難を言うならば、どうしても役者さんたちの顔が、後半も生命力に満ちているように見えちゃうんです。時間の経過を感じづらかったです。そのため、臨場感?リアリティ?をやや損なってしまっている部分があるのがもったいない気がします。 最後に、この経験を映画化し、記録として後世に残す決断をくだされた関係者の方々に深い尊敬の念と感謝の気持ちを捧げたいと思います。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-07-19 02:57:03) (良:2票) |
10.やっぱり例によって、実話だと言われると弱いなあ。実話じゃないと思うと退屈なシーンでも、実話だと思うと重みのあるシーンに見えるから不思議(って私が単純なだけか)。山中でのサバイバルが、淡々と、エンドレスに続いて、最後は助かるんだと知ってても、やっぱり絶望的な気分になってきます。それだけにラストは、感動的です。ほんとよく助かったねえ。 【鱗歌】さん 8点(2003-08-30 23:53:24) (良:1票)(笑:1票) |
9.《ネタバレ》 そもそも、極限状態のサバイバルにおけるカニバリなんてのは、色々なもので見聞きしているわけで、その部分の衝撃度は、私にとってはほとんどゼロ。むしろ、神に祈って行為を自分に納得させるところが、なるほど信仰を持つ人とはこういうものなのだ、と教えてもらった。そして、何より、この話でもっと描くべきは、ナンドらがアンデスの山越えをするところでしょ。あの勇気ある行動がなければ、助からなかったんだから。カニバリは手段であって、山越えこそが命を救ったのでしょ。あそこで、あの連なる険しい山脈を見てそれでも越えようと意を決したのは、仲間の肉を腹に入れたからこそだと思うが、だからと言って、皆がそうできるもんじゃないはず。そこをもっと力を入れて描いて欲しかった。で、もっと言っちゃえば、DVD特典映像の生存者達の話を見れば、本編を見る必要性が低いってこと。これってどーなんでしょ。あんまり詳しい「実話の実話」は、入れないほうが良いんじゃない? 売り方が間違っている気がする。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-07-20 23:25:36) (笑:1票) |
8.生命の危機に立たされたことも無い、目前に迫りくる凍死や餓死の恐怖にさらされたこともない自分に彼らの生き延びる為の非常に重い決断について語ることなんて出来ません。ショッキングな内容の実話ですが人間の生命力、精神力の強さが力強く描かれた映画でした。その重い決断の場面も含め描き方としては軽めだったかもしれませんが、今も生還者と犠牲者の遺族のほとんどが故郷の小さな町で共に暮らしているという。テーマが重すぎるだけに描き方としてはこれが限界だったのでしょう。そしてDVDの特典には様々な生還者の体験談が収録されていましたが、生涯忘れられない辛い体験の記憶を語る生還者の重い一語一語は本編よりも心に残るものでした。 【とらや】さん [DVD(吹替)] 6点(2010-07-13 21:06:04) (良:1票) |
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7.《ネタバレ》 独身時代に観た時は、「自分なら食べずに死を選ぶ」と考えていましたが、結婚して家族ができると「食べて生き延びる道を選ぶだろう」と考え方が変わりました。 【N.Y.L.L】さん [ビデオ(字幕)] 4点(2008-10-01 01:27:35) (良:1票) |
6.“生きてこそ”というより、オレたちはただただ死にたくなかった。動物の本能として。死体を喰って生き延びるか、それとも喰わずに生き絶えるか。しかしオレが死んだなら、誰かがオレの死体を喰って生き延びるだろう。そりゃあ、極限状態で引き起こされる凄まじい葛藤はあったよ。だけど、死体を喰って生き延びるしかなかった。絶望の中から何とか希望を見い出したかった。神に許しを請い、自己正当化するのに精一杯だった。一体誰がオレたちを責められよう。…これが死なずにすんだ人々の、偽ざる本心ではないだろうか。実話ということもあり描き方が難しいのはわかるわけですが、極限状態で選択を迫られる人間としての苦悩や葛藤をしっかり描いて欲しかった。しかし、亡くなられ食べられた人々や生き残った人々の配慮ということもあり、この映画のような作風にせざるを得なかったのかもしれませんね。 【光りやまねこ】さん 5点(2004-07-29 10:22:31) (良:1票) |
5.もう何十回となく観ていますが、この映画が真の名作と思われうるところ。まず、人間の崇高さを描いていること、そして、各登場人物の描写をリアリティをもって撮りきっていること。冒頭の説明にもあったとおり、われわれがそのシチュエーションにあって「肉をくう」「くわない」というのはほとんど議論の意味がありません。彼らがそこにあって、そういう状況にいて、彼らなりに素晴らしい行動をとったということがこの映画の素晴らしさです。そのリアリティを描ききっていることがこの映画の素晴らしさです。話をナンド(イーサン・ホーク)に転ずると、彼のリーダーシップスタイルがとても素晴らしい。とてもリアリティがある行動スタイルをとったという素晴らしさ。そしてその他のメンバーにおいても、それぞれにその人生を映した感情のあらわれがあり、その一言一言が、わたしの胸を打ちます。この映画に出会えたことをわたしは感謝したい。 【ハル】さん 10点(2004-06-13 23:44:23) (良:1票) |
4.実話の映画化だということで。リアルすぎて逆に怖かった。さすがはフランク・マーシャル、長年スピルバーグの右腕として活躍したその腕は本物。。重厚な仕上がりと危機迫る雰囲気を醸し出していい映画になってました。ただラストのほうみんなひげが生えてたから誰がイーサン・ホークかわかんなかったw |
3.昔、友人にこの映画を観たと言ったら、「どう、気持ち悪かった?」と1番に聞かれた。思うに、この映画に関しては世間では「人肉を食う映画」というキワモノな部分だけが1人歩きしているような気がする。だけれどこの作品において考えるべきはそこではなく、それが意味するものが何かということだ。はっきり言って別に好きな作品ではないけれど、今思い起こすと妙に思うことがある作品だな、と思う。「人を食う」ということは宗教的戒律を破ること、つまりは破戒だ。しかし私は宗教とは神の視点だとか戒律ではなく、人の意思が作り上げた常識とモラル、つまりは自縛でありイデオロギーなのではないかと思う。こういうことを言うとマジで怒られそうだけれど(汗)、宗教と神は全くもって別の所にあるのではないかな、と。アンデスには神がいるという。きっとその神こそが、本当の意味での神。人間の思想でどうこう料理出来るような域を超越した何か。モラルや常識という宗教の自縛に苦悩する人間達をただただ包むような存在。この作品にはそんな、宗教的境地など超越した神の目線を感じる。死んで行く人間も、生きて行く人間も、その他のあらゆること全ても平等な目でただただ見ている神の視線。だから人間がどう足掻いてもどうでもいいんです。人間は弱く勝手でいいんです。きっと、生きてこそ、なのです。生きてこそなんぼ、なのですよ。 【ひのと】さん 5点(2004-01-26 19:50:40) (良:1票) |
2.実話の迫力、本物のサバイバルに引き込まれました。ラグビー経験者のため、ラグビー精神ワンフォアオール、オールフォアワンを感じました。人間の想像を超える奇蹟は神が起こすのではなく人間の意志によって起こされるのでしょう。ただ彼等は一般人より体力のあるスポーツマンであり精神力も優れていた事が生存できた一番の理由かもしれない。 【亜流派 十五郎】さん 8点(2003-12-31 02:06:38) (良:1票) |
1. 奇跡的な生還は感動的にも思えるが、結局のトコロ生還の決め手となった「カニバリズム」を観る者が生理的に受け付けるかどうかで評価は大きく分かれる作品だろう。実話だけに極限状態に置かれた彼らには選択の余地は無かったのだと頭では理解できるが、だからと言って生理的な不快感は個人的にどうしても拭えないので素直に感動は出来ない。まぁカナリ控え目な描写なので画面にエグさは別に無いが、想像すると堪らなくなってしまう。迷作「アラクノフォビア」や「コンゴ」のフランク・マーシャルにしては案外マトモな作品ではあるけど。 【へちょちょ】さん 6点(2003-09-28 05:53:57) (良:1票) |