《改行表示》 6.「天地創造」の真理に何の変哲も無い“一般ピープル”が触れるという物語の設定は、藤子・F・不二雄のSF短編漫画を彷彿とさせる。 惑星の崩壊と再生という大スペクタクルが、SF的観点と哲学的思想を巡り巡って、一人の男の言動に集約されるという顛末は、個人的に非常に興味をそそられる題材で、知らず知らずに異様な映画世界に引き込まれていた。 レンタルショップをぶらりと巡って、タイトルを聞いたことも無かった今作を、製作年も誰が出演しているかも確かめぬまま、“衝動借り”した。 「ロスト・イン・スペース」的なスペース・コメディものだという認識で観始めて、概ねその想定は外れてはいなかったが、想像以上にシュールな展開には少々面食らった。 馴染み難い異質なコメディが怒濤の如く羅列されるため、序盤から中盤に至るまで、映画の世界観に入りきれなかった部分があることは否めない。 ノリ自体は嫌いではないが、この映画が伝える“真理”が掴みきれず、戸惑ってしまったというのが正直なところだろう。 しかし、壮大な宇宙哲学的な要素を踏まえて、ストーリーが想定に反して次第にディープに深まってくいくのを目の当たりにして、この映画の存在性そのものに対して興味が深まってきた。 何がどう導き出されるのかということにようやく焦点が定まり、「結論」に至るまで映画世界を堪能することが出来た。 大いなる宇宙意思の中であまりに小さい生命体が無数に存在していて、すべての生命体の行く末はその宇宙意思に委ねられているように見える。けれど、突き詰めてみれば、結局は或る一つの生命体の意思によって宇宙意思そのものの行方が変わっていくという無限のロジック。 即ち、その「問い」に「答え」などは存在せず、「問い」と「答え」のどちらが先かも定かにはならない。 ただ、だからこそどんなに小さな生命体であっても生存していく“意味”があって、その事実こそが最も素晴らしいことだという…………。 多分に独りよがりな要素や、“テキトー”で“チープ”な部分も多い映画だった。 でも、そういう永遠に答えが出ないことをつらつらと頭の片隅で考えつつ、生きていく事自体がほんの少し楽しくなるという、へんてこりんな映画であることは間違いないと思う。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-05-15 00:11:18) (良:2票) |
5.鬱病のロボット、無限不可能性ドライブなどなど、全編に散りばめられたユーモアは実に秀逸で、最後までにやにやしていた。しかしあまりにもベタなギャグとキャストのオーバーアクトには「ここは笑うべきシーンなんだろうな」と思いつつも苦笑していた。こういうのは国民性の違いなのか?それとも意識してやっているのかわからない。冒頭で地球が吹き飛ぶシーンが一番笑えた。マジなのかギャグなのかよくわからない意外と深遠な哲学的テーマ、着ぐるみやセットからほとばしるチープなうさんくささ、そしていかにもイギリスらしいハイセンスさとどんくささが共存するヴィジュアルセンス、それらのブレンドとギャップが、ぐだぐだかつめまぐるしいストーリーに対して鮮やかなコントラストとなり、SF特有の固有名詞と情報量の多さに多少ついていけなくなるが、ともかく細かいことは気にしなくとも最高な感じである。パンフが60ページもあるが気が付くとパラパラめくりながら、1人にやけている日々が続き、少々ハマリ気味である。マービンを見て「スターウォーズ」のフィギアを集める人々の気持ちが初めてわかった。冒頭のテーマ曲はイーグルスの75年のアルバム「One of these nights」に収録の「Journey of the sorcerer」である。BBCテレビのドラマでもこの曲がオープニングテーマだったらしい。パンフでもスルーされていたのでこの場を借りて明記する。 【わいえす】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-10-22 00:56:36) (良:2票) |
《改行表示》 4.わざとチープに作ってあるというような、たぶん全部のギャグを広い集めることは不可能ですが、分かれば「ふふん、イギリスらしい」というように口をゆがめて「笑う」こともある。 終盤は地球ってなんて!と思わせられたり、あの銃の仕組みがすごい!と感動したりする、考えてないようで考えてあるのかもしれない映画でした。 ゾーイ・デシャネルの瞳が地球のブルーみたいに美しかった。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-03-17 08:36:25) (良:1票) |
3.くそーこんなバカ映画で感動してしまうとは(笑)。もっとB級臭い雑な感じかと思っていたら映像は美しいし音楽は素晴らしい(こんな話にシリアスで立派な音楽を付けること自体がネタなのかもしれないが)し、ゾーイ・デシャネルは可愛いし、あとなんと言ってもあの愚かで無様なヴォゴン人の造形!実物のパペットなんですと?「役者にとっても実物がある方が演じやすい」ってそりゃそうでしょうよ。「ガイド」が写す(設定)のアニメーションもセンスがいい。あらすじだけ読んだらただただ滅茶苦茶でバカバカしいだけのこの世界、映画を観てすごく気に入ってしまった。 【tubird】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-05-29 23:57:37) (良:1票) |
2.まず冒頭の「イルカの歌」、ほんとうに素晴らしいですね。滅びゆく人類に対し「きみ達人間はお馬鹿だったけれど優しかったよ」というメッセージ・・・始まったばかりなのに、結構ジンときました。お話も思わず「ありえなーい!」と言いたくなるような設定や展開が一杯でおなか一杯さ。特にネクラロボ、マーヴィンがお気に入りに。ああ、原作読みたいな。 【シェリー・ジェリー】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-04-16 19:41:44) (良:1票) |
1.はっきり言ってこのイギリス映画独特のひねくれたユーモアのセンスにはクスリとも笑えませんでした。ただ、なんとも馬鹿らしいネタに素晴らしい美術とVFXを駆使して美しい映像を作り上げている。もうこの映像に見とれて最後まで鑑賞できたという感じです。きっと本国の映画館では爆笑の渦だったりするんだろうなあ・・・。 【ロイ・ニアリー】さん [DVD(吹替)] 7点(2006-04-13 21:00:12) (良:1票) |