《改行表示》 5.ネタバレ 富士の樹海を舞台にして、自殺を物語の中心に据えていることから、終始重苦しい空気の中で語られていくのかなと思いきや、各エピソードの入り口には破滅や絶望があるものの、登場人物たちの心情が解きほぐされていくうちに希望の光が見えてくるような構成と展開。感涙に咽ぶという作品と言うよりも、後からじんわりと温められて行くような感覚でした。 死と生を対極的に描くことなく、ひとりの人間が常に併せ持つものとして寧ろ一体的にと言うか、当たり前に描かれているように感じられ、それは数多ある死、とりわけ自殺をテーマにした作品の中でも新鮮な感動を覚えるものでした。 どの登場人物(死んでしまった者、生き残った者、直接・間接に関わった者)にも、それぞれの境遇や立ち位置から生と死についての気付きが描かれていて、正直なところ個人的に感情移入することは難しいのですが、現実問題として捉えるに大いに感慨深いものがありました。 強いて言わせていただくならば、冒頭のバスのシーンや黄色いビラ等、ひとつ間違えば無理筋になりかねないような人生の交差点的設定は無くても成立したような。各エピソードを演出的に交錯させるまでもなく、観る者の心の中で織り交ぜて考えさせてくれる作品でした。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(邦画)] 8点(2025-04-19 10:50:19) |
4.それぞれのエピ面白かったです。一言言いたいのは、田中さんイキロ! 【虎尾】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-10-02 15:32:44) |
《改行表示》 3.自殺を取り巻く、状況・環境・事情・年齢・体調・天候・季節・等々を、考えれば考えるほど、自殺とは奥深い。個々のアイデンティティも無視して、とりあえず「自殺はアカン!」と、闇雲に言ってイイものか、と考える。そもそも、そんなメッセージがいよいよ届かなくなった所で自殺が成されるんだし、無駄なんじゃないかな?とさえ、正直思う。今年(2007)から自殺の報道規制も緩和されたりしたが、それによって自殺者が増えたんだか減ったんだかは、よくわからない。相変わらず「死ぬぐらいだったら」的な他人事の極みのようなコメントを、コメンテーターは恥ずかしげもなく嘯く。自殺を取り巻く包囲網は、どこか柔らかく、脆く、雑だ。そういう環境なんだと、私自身、どこか、諦めてる感じだ。 ………でも、やっぱり、自殺はしないでほしいんだと、言いたいのだ。私は。そして、恐らく、この作品も、そうなんだと、思う。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-09-30 00:49:38) |
2.ネタバレ 萩原聖人が号泣するシーン、思わずこちらも泣いてしまいました。萩原聖人って良い役者だなあと思いました。それぞれのエピソードが絡まりあって一つのラストへ。。。という構成では全くないのでバラバラした印象にはなってしまうのですが、それぞれじんわりとした優しい目線のお話で、最後の萩原聖人の号泣シーンで、ベタですが「自殺しちゃいけない」っていう痛烈なメッセージが自然な形で心に届きます。もっと評価されても良い映画です。 【Sean】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-07-24 13:51:13) |
1.ネタバレ 年々増え続ける自殺をテーマにしながら、独立した4つのエピソードは直接絡み合うことがないまでも、時間軸を共有しながら積極的に生に向かって同期していく。それぞれのエピソードには心あたたまる出会いがある。悪徳金融にハマッた女性とチンピラ、横領公団職員(荻原聖人)と家族思いの田中さん、探偵三枝さんとサラリーマン山田さんそして居酒屋の女店員(三枝に怒られた時の表情は深いデス)、駅の売店元ストーカー女店員(井川遥)と太っ腹な中年サラリーマン(大杉漣)。自殺をはかった女店員のロープがわりのほどけてしまったネクタイは心やさしきサラリーマンが買っていったものと同じ(後半の場面でも大杉にそのセンスの悪いネクタイをしっかり結ばせていた。こころにくい!)。そーいえば今年の正月に新橋の居酒屋で飲んでて、他のお客さん誘っていっしょに遅くまでカラオケで騒いだことを思い出してしまいました(笑)。田中さんの宙づりは個人的には痛かったです。しかしながらあのシーンは必須でしょうから・・・とてもていねいに作り上げられた心地よい余韻の残る作品です。ささやかな幸せのために生きるってことも、それはそれですばらしいよね、山田さん。ちなみにわたしの小遣いはもっと少ないぞ! 【じょ】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-11-29 14:50:22) |