10.《ネタバレ》 サスペンス映画の感想を読むたびに、必ずといってもいいほど「自分は最後のオチは観る前から分かった」と誇らしげに言う人がいるものである。まあ「ユージュアル・サスペクツ」ならともかく本作の「2回目」のどんでん返しを予想できた人はあまりいないのではないかと思う。これを唐突だと言う人もいるが情事絡みの事件なんて往々にして衝動的に起こるものではないだろうか。男と女の関係は、計画通りに進まず当人たちが思いもしない方向に進んでしまうということだろう。一見、的外れに思えるこの邦題が実は相当の核心を突いたものだということに鑑賞後、気づかされた。 |
9.《ネタバレ》 初見、予備知識ゼロ。澱みのない起承転結。緻密さとユーモアと使命感の強さの按配は余人には真似の出来ないワイルダー監督の名人芸。弁護士と看護師の仲良く喧嘩するさまは絶品で心地良さに浸りました。特筆すべきは情夫に尽くすクリスチーネを演ずるマレーネ・ディートリッヒの美しさでこの世にこのような56歳が存在するのか唖然とさせられます。「殺人ではなく処刑だ」との名台詞に辿る展開であの場所にナイフがポンと置かれていた事に-0.1点、端数切捨てで9点の傑作中の傑作です。 |
《改行表示》 8.《ネタバレ》 アガサ・クリスティーよりもパトリシア・ハイスミスの方が面白いと思う俺は正直クリスティーの映画化作品はどれもハズレばかりという印象。 だが、ワイルダーのこの「検察側の証人」はクリスティーの傑作短編群にも引けを取らない、数ある映像化(ドラマは除く)の中で唯一と言っていい傑作! 俺個人はワイルダーといえば「深夜の告白」や「アパートの鍵貸します」だけど、この作品も一気に引き込まれるし何よりチャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスターといった面々のやり取りがとにかく楽しくて面白い。 ワイルダーの映画って狙いすぎててイマイチ笑えないのだけど、この作品は冒頭から笑いっ放しだった。 裁判の幕が上がるようなオープニング、そこに向う役者を揃える様に一人ずつ登場人物が姿を現す。 老練な弁護士ウィルフリッド、それを何かと心配する看護婦のミス・プリムソル、ウィルフリッドを助けるブローガンムーア、殺人の疑いをかけられるレナード、そして謎の女であるクリスチーネ。 ウィルフリッドとプリムソルが夫婦喧嘩(チャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスターは何度も共演するガチの夫婦)をしながら車で事務所に向う場面。二人が喋るだけで楽しくなってくる。階段のリフトを見て子供のような表情を見せるロートンが面白い。このリフトのやり取りだけでも見ていて飽きない。 ところどころ伏線としか思えないセリフばかり。 何?マッチがない?君は悪い奴だ、え?ライターはある?君は良い奴だよ・・・都合良いなあ本当。 やっと退院しかたかと思えば山ほど来る依頼に口うるさい看護婦。葉巻もロクに吸えない、杖に仕込んでまで吸おうとするヘビースモーカー。 そんな彼を動かしたのはその葉巻だった。ポケットの葉巻を見て飛びつくウィルフリッド。葉巻目当ての依頼承諾がとんでもない事件に発展していく。その葉巻を「あ、そうだった」と思い出したかのように返すウィルフリッド。嫁にバレたらマズい。 モノクルの“光”で心理分析、法廷でもウィルフリッドの薬で経過時間を表現したりと単なるセリフ劇に終わらせず一切退屈させてもらえない面白さ。 レナードとクリスチーネの過去も面白い。コ-ヒー1杯飲むためにキスを繰り返す“楽しい取引”、タバコとガム、ベッドにダイブで天井崩壊、ディートリッヒの生脚。 ダメ男を助けるための大芝居、そんな尽くす女を裏切るかのような二重三重の大どんでん返し。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-01-22 00:26:30) (良:1票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 こういう映画があるから、昔の映画を観ることはやめられない。まずもってウィルフリッド卿のキャラクターからしてイカす。前半はほぼ彼のキャラクター紹介に終始すると言っても過言ではないが、これがその後に活きてくる。彼と自分が同一化し、彼のユーモア、直感、そしてその後の焦燥感すべてを観客は共有する。彼の思いを観客はしっかりと受け取る。ここはチャールズ・ロートンの名演が光る。 そして、衝撃のラスト。「ユージュアル・サスペクツ」を超える衝撃をお約束する。余計な伏線が一切無いだけに尚更最後の衝撃は物凄い。ああ、そうだったのか。そういうことか。 ラストの衝撃の後に残る一抹の哀しさは観なくては分からない 。「情婦」という安っぽいタイトルをつけた日本の配給会社に対しては怒りを感じる。「検察側の証人」、この原題で十分だ。そもそも全然「情婦」じゃないし。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-10-23 19:34:57) (良:1票) |
6.文句なしの大傑作!先を読もうとせずにストーリーを同じ時間で追って観られた平凡な人間だったからこそ、ラストのどんでん返しに「うわっ!」と驚けたと思うし、そんな自分に心から感謝。製作から50年近くも経つのに時代の全然先を行ってたビリー・ワイルダー監督の感性は今なお通じるものがある。本当に凄いの一言。 【まさかずきゅーぶりっく】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-16 12:34:55) (良:1票) |
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5.数年前、自転車キンクリート公演の「検察側の証人」を舞台で拝見しましたが、やはりおもしろかったです。ストーリィを知っているので、それが逆に役者の演技に伏線を見つける楽しみがありました。みっちょんの役者センスはよかったね~。ということで、ストーリィを知った上で、この映画を見てみるとまたおもしろい。その意味で、やはりロートンの台詞、しぐさ、表情がこの作品を見事に支えています。辣腕弁護士でいながらおちゃめ~。さて、ラッセル・ハーランのカメラは、舞台劇の雰囲気をそのまま表現したような、パンフォーカスが随所にみられます。弁護士事務所、法廷での人物を縦に配置した奥行きあるシーンでたたみかけてきます。弁護士、検察、被告、証人、陪審員、裁判長、これらの登場人物を同じ画面の中では、等分にピントをあてることにより、いったい全体正しいのは誰だ、何が真実で何が嘘なんだという雰囲気を作り上げています。そこへミディアムショットで、それぞれの登場人物のしぐさ、表情を射し込む事により、ワイルダーはこの舞台劇を映画として完成させたのだ、といえるでしょうか。 【彦馬】さん 9点(2004-09-03 21:27:35) (良:1票) |
4.口止めされてるから点数だけで勘弁してください 【taron】さん 9点(2004-07-17 14:07:14) (笑:1票) |
3.《ネタバレ》 原作の「検察側の証人」を読んで何年もたってから、それとは知らず(タイトルが違うので)この映画を見ました。原作を読んでから映画を観るとがっかりさせられる事が多いですが、この映画は落胆させられる事はありませんでした。偽証している証人を徐々に追い詰めて行く弁護士。でも何もかも計算の上で操っていたのは・・・。「騙された!」と心地よい敗北感を味わえるどんでん返しは最高。アガサ・クリスティに脱帽。 【Miranda】さん 9点(2004-06-04 00:20:46) (良:1票) |
2.【りく&あん】さん 同様、主役が高木のブーちゃんじゃないかと因縁つけながら「アイツ絶対アヤシイよ、絶対。間違いないっ!」てな事を一人で思いつつ「なっ!やっぱりじゃねーか」ってTVに向かって勝ち誇ったのもつかの間、「チョッとここじゃまずいって!うわっ!」「なっ思ったとおりだよ」「いつ思っとってん!」と一人ボケツッコミしてしまう映画。いや~オンナを裏切っちゃあきません。 【亜流派 十五郎】さん 9点(2004-03-19 01:12:05) (笑:1票) |
《改行表示》 1.アガサ・クリスティの原作を、ビリーワイルダーが映画化。 良い素材を、最高のシェフが、最適な調理法で仕上げたとも言うべき本作。 緊迫の法廷劇を、個性豊かな登場人物とユーモアで、一気に飽きさせずみせます。 それにしてもビリーワイルダーのコメディセンスは素晴らしい。 およそ半世紀前とは思えぬテンポの良さで、ばりばり現代っ子のうちの娘たちをも魅了してしまうのだから。 上質なものは色褪せないという良い見本ですね。 【poppo】さん 9点(2003-12-20 13:49:35) (良:1票) |