4.作品全体を貫く力強さと繊細な細部、ドキュメンタリータッチとファンタジーのパッチワークが鮮やかに織り込まれた映画でした。たくましいやひ弱いといった形容を拒むように生きるために成すことを成すクルドの人々が描かれ、結果、同情や共感を拒むような屹立としたフィルム空間が生まれているのです。赤い金魚や亀、サテライトや目が見えない赤ん坊が比喩的でありながら、その意味を探ることが無意味であるかのように全てを無化しグレーで包み込んでしまうような曇天の空に、もしかしたら世界中のすべてが曇天であるかのような錯覚さえしてしまうようなその空に、青空にはない普遍性を感じながら映画館を出るとそこは曇天の冬空。この空はクルドにつながっているのか。 【彦馬】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-01-03 18:02:01) (良:2票) |
3.子供の生命力、パワーをひしひしと感じた。 サテライトや足の不自由な子の前向きな生き方、凄いと思った。
そして、アグリンの悲壮感にも共感。 私も女性なので彼女の怒りが伝わってくる。
現実に戦争や紛争に巻き込まれたように感じられた名作。 どうしたら平和に共存できるのか、子供たちの姿から私も考えたい。 【たんぽぽ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2023-06-11 17:04:42) (良:1票) |
2.率直な感想。 ・・・・素晴らしかった。 おもしろいとか、そういうエンターテイメント的なことじゃなくて。 かなり良かったです。 戦場に生きる子供たちが主演なんですけど、演技にまったく嘘がなく、素直なままの姿で余計に辛いんです。 恐怖と虚しさと悲しさ。 もうめっちゃリアル。
ストーリーはフィクションでも背景はすべてが事実で。 泣きすぎて頭痛いです。 気持ちも痛い。 心臓ちぎられた感じ。 どこもかしこもイタイ。
期待以上の作品でしたよ。 今までいろんな国のいろんなジャンルの映画を見てきましたが、これはマイベスト5に入りますね。
『これほんっといいわ~』っていう作品に出会った時にだけ起こる現象があるんですけど。 説明がちょっと難しいのですが、そういう時はとにかく体が震えるんです、鳥肌と共に。 その現象が今回かなり久々に起こりました。
やっぱり重い映画っていい。 考えさせられるbenefitialな作品に出会えて感謝。 【未歩】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-10-23 00:03:46) (良:1票) |
1.時はアメリカのイラク侵攻直前、トルコ国境近くのクルド人集落で暮らす子供達が主人公の非常に強くて清廉な作品。この監督の映画は思わせぶりなところが無くて実に真っ直ぐで輪郭がクッキリしている。内容は心が潰れるような話しなのに決して感傷的じゃない。だから観客が色々邪推したりする必要もない。尚かつ、詩情的でもあって「映画」として「見せる」事も忘れない。この監督もしかして天才?と思ってしまった。 【黒猫クロマティ】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-10-16 16:20:36) (良:1票) |