4.《ネタバレ》 大阪商人が使う船場言葉がなんともいやらしく、中村鴈治郎二代目と浪花千栄子の思惑とは裏腹な白黒つけない物言いが金のからんだ物語に抜群の相性を見せる。同じ大阪弁でもお嬢様育ちの三姉妹は歯に衣着せぬストレートさが強烈なインパクトを与え、田宮二郎(意外にも大阪出身)の京都の言葉が混じったようないかにもお師匠はん的優しい言い回しがまた実にエロくて実に腹黒さを感じさせてていい。屋内シーンがほとんどの中で宮川一夫の仕事も制限されたかと思いきや、屋内にも関わらず着物のきらびやかさは損なうことなく、陰影はあっても女優の顔に影は射さず、常に見やすい画面を持続させているのはやはり宮川の力か。最後は東京出身の女優がしとやかな大阪弁でもって女のしたたかさを見せつける。でも最もしたたかだったのは女系家族の中で一矢を報いた婿養子社長だったのかもしれない。天晴れ。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-09-11 12:10:23) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 いや~、これは見応えありました。なんせ、皆が皆、欲を剥き出しです。隠そうとしません。しかも皆さん美女ばかり。美女ってのは、笑っても泣いても怒っても、それらが数倍に作用しますので、これは応えられません。数年前のテレビドラマより百倍迫力ありました。そう、文乃は、米倉涼子のようなゴツくて見るからにキツそうな女ではいけません。虐げられてはナヨナヨと弱さを見せ、それでいて色気ムンムンの潤々涙目の若尾さんでなくては。米倉さんの文乃ではどんでん返しにならないの。「あ、やっぱりこの女、やったね」としか思わないです。でも、若尾さんだと「ひゃー、こえぇー」となるのです。見た目と中身の意外性、これが人間の魅力でもあり、怖さでもあるのですから。そのツボを押さえた素晴らしい演出でございました。この監督は女の怖さを重々ご存知なのでしょうね。傑作です。 【すねこすり】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-02-23 14:30:22) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 大映印の現代劇ってどれもこれもネットリした独特の「色」がありますよね。昔のテレ朝「土曜ワイド劇場」にもあった独特の「色」というか、やけに隠微な雰囲気といおうか。こういうドロドロ系ものって自分個人的に大好きなんですが、流石にここまで行くとえげつなさ過ぎるかなあ・・・と。特にわざわざ医者まで連れてきて、妊娠中の若尾文子の身体を強引に診させるシーン、試験管に入れた尿まで画面に出す事もないのにね。女系家族の忌まわしさはもうお腹一杯になるくらい、充分伝わってきました。更にこの映画の迫力を増していたのは浪花千栄子、北林谷栄、中村鴈治郎の因業強欲名老脇役お三方の存在。それにしても若尾文子って周囲の人間から虐げられれば虐げられるほど、一種凄絶な美しさが全身から滲み出てくる女優さんだなあ・・・。ラストは居直ってあの三姉妹に二度と立ち上がれないほどの打撃を与えても良かったのに。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-12-08 11:31:31) (良:1票) |
1.原作山崎豊子だし、善人が誰も出てこないどろどろした世界は、予想通り。それだけだと二時間ドラマで終わってしまいかねない筋だけど、そこはもう、私の尊敬する三隅研次監督の職人技です。この手の話にここまで? と突っ込みたくなるくらい細かなところまで行き届いた仕事をしています。もちろん、これはその周りを支えた大映の超一流スタッフの職人技によるものでもあります。調べてみて意外だったのは、京マチ子と若尾文子の競演って少ないのですね。もっとありそうな気がしたのだけど。その意味でも貴重な一本。文字通り火花散る競演です。 【いのうえ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-02-09 14:45:22) (良:1票) |