7.伊丹監督の、エンタテイメント指向と悪趣味さが爆発した作品で、他の作品と異質な仕上がりになってはいるものの、オムニバス形式という全体の組み立てなど、「見世物」風なテイストが成功して、一般人の拒絶反応を薄めることに成功している。映画監督という高慢なシェフは、ややもすると自分の主張をふりかざし、身勝手なテーマで「究極の料理をどうぞ」と見せたがるものだが、この作品は、さながら二流ホテルで開かれたパーティーのバイキング料理のようにも見える。冒頭で役所広司が、映画館の観客に語りかけるシーンがあるが、この手の語りかけは伊丹映画では鼻につくものだが、ことこの映画に関して言えば、「ご自由に料理をお楽しみください」というさりげない導入として奏功していると思う。だからこそ、何度見ても飽きが来ない。噛めば噛むほど味が出る。最後のシーンは、赤ん坊がおっぱいを飲むシーンで終わるが、人間は「食」というものを、さも高尚なことのごとく、それに対する理解や知識をもまた品格の序列に用いたりてしているが、何を言っても最初は母親のおっぱいを飲むんだよ、というメッセージが伝わってくるかのようだ。この映画は世界でヒットしたらしいが、役所広司、渡辺謙という、世界で評価を受けた俳優も登場する。やはり俳優のオーラも少なからずヒットに貢献しているだろう。 【神谷玄次郎】さん 8点(2004-01-31 20:14:45) (良:3票) |
6.《ネタバレ》 伊丹映画の中では私にとってNo.1の作品。井川比佐志演じる“走る男”が臨終の床にある妻に「かあちゃん、飯だ!飯作れ!」と呼びかける。覚醒した妻はふらつきながら立ちあがり、ネギきざんで鍋ふって炒飯作って、「うまいな!」と皆が食べる姿を見て微笑みながらちゃぶ台にゴトンとぶつかって事切れる。子ども達は泣き出すのだが、「かあちゃんの最後の飯だ!泣くな!食え!」と“走る男”が炒飯を頬張る姿が胸に焼き付いている。そして、何より忘れられないのがラーメンの先生“大友柳太朗”のシーン。生真面目で誠実そうなおじいさん役の人として大好きな役者さんだったが、粋な着流し姿、豪快な立ち回り・独特な台詞まわしでニカッと決める丹下左膳を見た時は惚れなおした。この映画が遺作となってしまうとは…一生涯役者としての人生を全うする為に選んだにしてはあまりに悲しすぎる最期。その存在感は素晴らしいものでした。合掌。 【宝月】さん 8点(2004-02-06 17:15:13) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 かなりぶっ飛んだスーパー喜劇ですね。 なるとがペタッ。 (^w^) ここから始る怒涛のコメディ。 レストランでのメニュー選びのシーンで、最後、上層部たちの顔が変に色付けされてて まっ赤っか。 (^w^) うちの子に(おやつ) を与えないでくださいねって (猿のこどもか 君は。) (^w^)
それに加えて役所と黒田福美、乳首にお塩を少々、レモン汁をジュワッと。良い子には見せちゃダメなシーンなんだが、そもそも伊丹十三作品、良い子だったら見ないだろうさ そこらへんは まあさ ヨシとしよう。なにかといろいろ面白かった。 でも、あとそうそう、大事なことだね エンディング、、 お乳にむしゃぶりつく赤ん坊のお顔というか お乳そのものをずっと眺めていたい次第ではあったが 画面左半分に流れ出してきたエンドロールのキャストだって確認したいわ お乳だってじっと眺めていたいわ 右見て左見て大変だったわ 最後、ほんと大忙しだった。 でも、一番馬鹿受けしてしまってたのって、スーパーに陳列してあるパンやらチーズやら食材を 手当たり次第に揉みしだいて逃げゆくあの婆さんだったんだよね。あのババアめコノヤロが! (≧∇≦) アハハハハ! 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-08-29 21:42:20) (笑:1票) |
4.《ネタバレ》 いや~面白いなぁ。邦画でもこんな面白い映画があったんだ。 食を扱った映画なら、変に真面目に作るよりこんなタッチで作ってくれたほうが好き。 本編と関係ないエピソードがまた面白い。ちょっとエグいのもあるけれど、単なる箸休めを通り越してすごく味がある。 泣き笑いしてしまうお母さんチャーシュー編も良いけれど、僕が感心したのはこどもアイスクリーム編で、「オヤツを与えないでください」と書かれたカードをぶら下げた男の子が、欲しそうに左手をニギニギしてしまうシーンだ(笑)まさに本能の成せる技が面白いなぁ。 ちょっと後半がダレ気味なのは残念だが、ハッピーエンドなのも後味が良い。 観るとお腹がすくこと間違いなし、監督の才能を感じさせる作品。 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-08-22 20:09:09) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 伊丹十三監督的「食」のイメージ いわば監督の頭の中を具体的に映像化した というんですかね それは食を通じての人の生きざまを表したかったのではないかと 主軸となるラーメンの話しとその間、間に挿入されるエピソードのどれもが興味深く、かつ意味深 山崎努はじめ多くの個性豊かな演者達と独特の映像美 間違いなく「伊丹ワールド」がここに広がっていると ある意味確信的な出来栄えであります でもなぁ合わない人には全然合わないかも 良くも悪くもこの頃を知ってる人じゃないと面白くないのかなぁ ※基本麺類大好きなのでラーメン食べたくなっちゃいますね! お腹すいてる時に観たら…ヤバイです(笑 【Kaname】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-01-02 13:33:16) (良:1票) |
2.日頃思ってる事なんですが、映画っつーのは「時間ゲージュツ」としての側面がある以上、「あのシーンがよかった」みたいに映画をコマギレに味わうのは邪道であって、やはり映画全体の流れや構成の中でのそのシーンの位置付けに着目すべきだと思う訳ですよ(そうでなきゃ、映画は単なる「思いつき」の集合体に過ぎない事になっちゃう)。でね、そう思っちゃいるんですが、それでもやっぱり「あのシーンが好き」とかって、つい言っちゃう訳なんですな。邪道だろうが何だろうが、やっぱり楽しいですからね、そういう話するのは。しかし、特に本作、コレに関する限りは、もう堂々とコマギレにでも何にでもして、「どのエピソードが好きか」語り合いましょうよ。盛り上がりまっせ。多分、それが許される映画じゃないですかね。え、私ですか? 井川比佐志が奥さんの最後の料理を食べるハナシですな。クダラナイのなんの、もうバカ受け。それから、エピソードについてではないですが、何とも仰々しい音楽の挿入が、これまたアホでよいですねえ(リスト作曲 レ・プレリュード =前奏曲。人生とは死への前奏曲に過ぎないんだそうだ。ラーメンと何の関係が。あっはっは。なかなか深いぞ)。 【鱗歌】さん 8点(2004-11-23 03:00:52) (良:1票) |
1.漫画『美味しんぼ』のヒット等で、これから日本にグルメブームがくるかも...という時代に作られたグルメ娯楽映画の傑作。 この映画については作られた時代背景を知らずに今の感覚で観ると評価を間違える可能性があります。 この映画が作られた頃は今のようにラーメン情報が巷に氾濫しているような時代では決してなく、 まだ荻窪ラーメンあたりが世に知れはじめたばかりで、例えば愛川欽也がテレビ「探検レストラン」でつぶれかけた荻窪のラーメン店を支援してたりしてた頃。 (その番組から誕生して今も残ってるものというと駅弁の「元気甲斐」とキリンビールの「ハートランド」くらいだなぁ、って閑話休題)
その頃のグルメというのは「小金持ちが金にあかせて高いものを食う」みたいなイメージに留まっている時代で、 この映画はそういう「グルメって高けりゃいいんだろう信仰」みたいなものを正統派グルメとして批判した映画。
間違ってもグルメブーム批判映画なんかではなく、「グルメ礼賛おいしいもの万歳」映画なのでそこはお間違えないように。 映画中に出てくる食べ物がこれほどうまそうな映画は他にないのでは? 【あばれて万歳】さん 8点(2004-01-08 15:21:26) (良:1票) |