13.《ネタバレ》 物語としては物凄く暗いですが、演出が物凄く明るい、このギャップが素晴らしいと思いました。最後、松子が死んでしまうところなんか余りにも救いがたいのに演出のおかげで落ち込まなくて済んだ。このような手法って、ちょっとT.バートンに似てるかな?と思いました。 それにしても中谷美紀が素晴らしいですね、今まで少し影の薄い女優さんだな~とおもっていましたが、この作品の彼女は凄く躍動感があって活き活きしてる感じをうけました。 【みんてん】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-11-21 10:37:18) |
12.《ネタバレ》 色鮮やかな映像美、ミュージカルテイストの音楽、自分の好きなジャンルである。 しかし、凄まじいまでの暴力とセックス。それがディズニー調の明るさや爽やかさを冒涜している気がして、途中で観るのをやめようと思ったほど。でも、その不快感をすぐに払拭してしまうほどの魅力がこの映画にある。 松子の幼少時、百貨店の屋上の遊園地のシーン、これほど鮮やかで楽しさを表している映像を今まで見たことがない。絶賛されるべき映像。その賑やかさの中にあって、父親役の榎本明が独特の無表情さとスッポットライトで親子だけを浮き立たせるのも絶妙の手法。松子が土手を駆け抜ける場面は、紫や群青色で彼女の人生の道のりの暗闇や絶望を表現している。パリテキサスやバクダッドカフェを彷彿とさせる紺碧の美しさ。 また一転して劇団ひとりとの不倫愛をアップテンポの曲とレトロ調の映像で賑やかにhappy wednesdayを歌い上げ、観客を楽しい世界へ誘う。劇団ひとりの妻役にメチャイケの大久保佳代子が扮しており、中谷美紀に勝ったといわしめたところは笑ってしまった。 暴力のシーン。松子が殴り倒されると、カメラも殴り倒されたようになり、下からのアングルになる。このあたりの描写も臨場感があって秀逸。彼女の恋人は暴力をふるい、彼女はそれに怯えながらも、激しく愛されることに喜びを感じ、寂しげな表情に、同情をよせる。暴力の中にしか真実の愛がないのではないか?と錯覚を起こさせるほど、中谷美紀は激しい愛情を表現を映画の中で演じてみせる。逆に妹や父といった暴力の介在しない愛情にもどかしいほど応えられずにいるのだ。 AIなどのシンガーがミュージカル調でこの映画の幅を広げているが、激動の人生を短時間で効果的に表現している。その最たるものがBONNIE PINKのソープ時代の歌で、曲が終わる頃には、ひとつの時代も終わり、曲の終わりにあばよ!と去っていくマネージャーの後姿に鳥肌がたった。 物語の展開が速く、ぐいぐいと引き込まれていく。教え子の土手でのシーン、美しい青空と波しぶきが暖かく彼たちを見守り、観ている者の涙を誘う。 松子の最後のシーン、薄汚れた現実とかけ離れた美しさ。土手をふらふらと彷徨う、夕焼け、夜、そしてまた日が昇り中谷美紀の優しく温かみのある澄んだ声が素晴らしい光景を際立たせる。それぞれの登場人物が愛おしくて心が熱くなって、涙がとまらなかった。 【ピヤクト】さん [インターネット(字幕)] 8点(2006-10-27 02:44:20) (良:3票) |
11.《ネタバレ》 原作を読んでその映画化を聞いたとき、「どうせ某テレビ局の悪趣味なドロドロ系の昼メロみたいになるんだろう。私には縁がないわ。」と思っていました。実際、原作はとってもしつこくてドロドロしていて安っぽい・・・。ところがキャストを見て「!?」劇場予告を見て「!!!」、これは見ないわけには行かないと劇場に足を運んで正解。このドロドロ不幸話を徹底的にちゃかしたハッピー?コメディに仕立てた中島監督に拍手!どぎつい色の洪水、胡散臭い花たち、そして取り巻く男達の豪華さ、中でもクドカンと武田真治は秀逸。中谷美紀、美人は鼻血を出しても美しい・・・。よく最後まで降板せずやってくれました。今まであまり注目したことがなかったけれど、大好きになりました。片平なぎさネタの繰り返しがちょっと多くてしつこかったのと、ゴリもちょっとしつこかったため食傷気味で-2。 |
10.「オブラートに包む」事の効用には限界があるんだな、と。 「古き良き時代のハリウッドミュージカル」的な味付けをされていても、連綿と見せつけられる松子の悲惨さは、いささかも色褪せない、というか見る側にとって軽減されない。 正直、見ていて吐き気がしたぐらい松子は悲惨だった。その悲惨の責任が、ほとんど全て彼女に帰しているという点でも。 それだけに大きなカタストロフが求められる終盤、正直、落とし所を間違っている気がしてならない。小綺麗に終わらせたくなかったのかも知れないが、観客が最もカタストロフを感じるであろうシーンの後に、さらに10数分も悲惨な話を続け、しかも視覚に訴えた虚構の解放を演出して強引に終わらせる、というのは、かなり違和感があった。 「良い所は?」と聞かれれば「中谷美紀」と「色彩の鮮やかさ」ぐらいしか思い浮かばないが、悪い所ならいくらでも挙げられる。 しかし、不思議と悪い評価をする気にはならない。というか、自分の中で「駄作だ!」という自分と「名作だ!」という自分がせめぎ合っている。これは、このままにしておこう。人生経験とともにこの映画に対する評価も定まるだろう。オススメはするけど、保証はしません。そんな感じ。 【C-14219】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-07-05 04:32:50) |
9.平成のおとぎ話。しかし、パワフルですな。 【amura】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-06-26 23:50:43) |
8.《ネタバレ》 ここまで演じられる中谷美紀さんって凄い! 作品の色調の濃さにクラクラ。 ファンキーさを楽しみ、そして哀れも感じられました。 ラストはあそこまで暗くしなくとも・・ 残念な終わり方だと感じました。 【たんぽぽ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-06-25 20:29:15) |
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7.おもしろかった!しかし前半は笑えましたが物語が進んでいくにつれ松子に感情移入していき松子がどんどん不幸になっていく姿が不憫で可哀想で心が痛みました。見終わったあと気分がどん底に落ちてしまい気が重かったです。中谷美紀が綺麗でした。 【ギニュー】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-06-18 00:03:26) |
6.暗い内容の作品を暗いまま描こうとせず、ミュージカル仕立てにして、明るく楽しく、そして視覚的にも鮮やかに描くことで、まったく相反するものが画面の中に混在していました。だから見ている側は重くなりすぎず、さわやかに見ることが出来ました。また、140分という長さを感じさせない、脚本のテンポの良さ。無駄を完全にそぎ落とし、必要な部分だけで進んでいきます。とんとんとんとん、すばらしいテンポの良さ。リズムが感じられました。女性の強さ、弱さ、そして美しさが凝縮された作品でした。 【ボビー】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-06-17 09:11:17) |
5.下妻物語をDVDで見て、「なんだこの突っ込みどころ満載の映画は?!」という印象を持っていた。そしたら新作では中谷美紀さんの「女優辞めようと思った」とか中島監督の「殺してやる」発言。これは見に行かなくては?!と、興味を持ってしまった。しかし、すべてが昇華されていい作品ができあがったと思う。日本映画でこんなに楽しめたのは久しぶり。黒沢あすかさんにも1点献上。 【ハクリキコ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-06-16 23:12:29) |
4.煌びやかな世界というのが売りなのかもしれないが、CG併合映画が蔓延する今の時代にこの作品の映像面を高く評価することはできない。本当に素晴らしいのは中谷美紀の演技。腹を決めた松子が啖呵を切るときの美しさ、自分の生き方を決して恥じない強い姿勢に胸打たれる。 【ぷりんぐるしゅ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-06-11 18:28:22) |
3.《ネタバレ》 ふ~ん、中島哲也って福岡県出身で1959年生まれだったんだ。いや、あまりにも外観が以前の天神岩田屋だし、むかしの西鉄大牟田線の色だし。筑後川と荒川オーバーラップさせるってすごいな。歌謡曲の使いかたもうまいっ!中山千夏「あなたの心に」天地真理「水色の恋」と松子のピュアハートを表現させる楽曲をうまいこと盛り込んでますな。「恋人よ」が五輪真弓本人じゃなかったのが惜しいけど… CF出身で「下妻」で好評取ったから映像がますますPVっぽくなってますけど、それに嫌悪感なかったらみなさまにお薦めできます。豪華助演陣の使いかたも最高、みなさま片平なぎさの登場回数が多すぎるとご批判のようですが、くどさも時には必要ですよ。日石のワーキレイガソリンCFで認知された中谷美紀が「ケイゾク」でひと皮むけて、ついにこの高みに登ってきたって感じですかね。ちょっと気になったのは、すれちがった車がHONDA LOGOだったり、駅の電飾看板が「代ゼミサテライン予備校」とはっきり読めたりしたとこです。これ、最後付近の「一度出会った」シーンのあとの、車(初代カローラ)で駅まで送る流れのとこ。 【shintax】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-06-06 18:17:12) |
2.《ネタバレ》 「パッション」より、よっぽど感情移入できる“神(菩薩)”の話だったね。監督が中谷をしごきにしごいたらしいけど、それによって中谷の演技も神の領域に達しています。父親との喧嘩@食卓での松子のキレっぷり、あれはもう演技じゃないでしょ。幸か不幸かというのは、ものすごく相対的なものであって、ハタから見たら不幸に見えても、本人にとっちゃぁそうでもなかったりする。理不尽な殺され方をしたにも関わらず、幸せな顔をして天国の階段を登りきった松子が、自ら十字架を背負いゴルゴダの丘を登りきったキリストとカブった。邦画の中では傑作の部類に入るのに、キャッチーさを狙ったのか説明過剰な点が鼻についた。正直、ストーリーテラーとなる瑛太はいらなかったかも・・・。 【ダブルエイチ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-06-04 01:43:52) |
1.「不幸」。とにかく「不幸」。映画の90%以上は、松子という“運命”に嫌われ続けた女の「不幸話」である。独特の美しいビジュアルと、特異でユーモラスな演出に彩られてはいるが、時に胸クソが悪くなるほどに、この物語は“不幸せ”に溢れている。あとほんの少しアプローチが間違っていれば、「大嫌い」な映画になっていたかもしれない。だが、ラストの描写では涙がにじんだ。 松子がどうしてこんなにも「不幸」であると同時に、「美しく」見えるのか。それは彼女が誰よりも、小さな小さな「幸せ」を望み続けたからだと思う。 主人公の女の「不幸」と、それを彩るミュージカル。そして、主演女優と鬼才監督の確執。映画のテンションとテーマ性はまるで違うが、この映画は日本版「ダンサー・イン・ザ・ダーク」だ。 これほどまでに、美しさを携えて、「不幸」に汚れられる女優は中谷美紀しかいない。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のビョークと同様に、彼女が途中降板しなかったことが、最大の「幸福」かもしれない。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-05-29 19:07:15) |