8.《ネタバレ》 嫌な奴だと思っていたが、実はシャイなだけで、実は誰も知らなかったけど良い奴でしたというだけのストーリー。 「誤解」や「関係修復」など、エリザベスとダーシーの関係をもっと中心に描けばよかったのだが、姉の恋愛、妹の恋愛、いとこの恋愛なども同様に近い比重で描くので、ややこしくなり、登場人物のいかなるキャラクターにも感情移入しにくくなっている。 誰と誰が上手くいこうとあまり自分の感情が動くことはなかったのが残念だ。 同じ原作者である「いつか晴れた日に」では姉妹ともに上手くいって本当に良かったなとマジで感じられたので、同じ原作者であっても、この両作には何らかの“違い”が存在するのだろう。 好きな人には好きなんだろうと感じさせる内容であるが、個人的にはあまり好きな部類ではなかった。 また、ストーリーに起伏やイベントがなく、何もかも突然すぎるところがあるのも問題だ。 ただ、美しい風景が上手く描かれていたり、カメラワークの面白さは評価できる。 演出もそれなりには努力しているのが分かる。 エリザベスとダーシーの二人の手が触れた瞬間のエリザベスのクローズアップした表情、エリザベスがブランコで一人でグルグルしているときの表情、三人で話しているときの沈黙の時間、そして朝日の中にいる二人といったように、観客に対して、「この場面で何かを感じてほしい」という狙いが分かりやすい演出手法を取っているのが特徴になっていると思う。 演技については、キーラとベネット夫妻を演じたブレッシンとサザーランドは説明がなくても、バックグラウンドやキャラクターの性格が感じられるよい演技をしていたが、他の役者はあまりパッとせず特筆すべき者はいなかったと思われる。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 5点(2006-07-09 17:12:13) (良:2票) |
7.長編小説の映画化の難しさを思う。どうしてもダイジェストになってしまう。同じ19世紀の英国文学でもハーディやサッカレーなど、私生児を生んだり成り上がっていったりとドラマチックな展開があれば、3時間かければダイジェストでも十分に内実を伴えるんだけど、オースティンはそこいくと特異な作家で、そういう骨組みになるような展開がない。いや一応娘が結婚に至るストーリーはあるが、どうも小説の味わいはストーリーの展開よりその中でキラキラする「乙女心七変化」のほうにあるようなのだ(「S&S」を二人に数えるとオースティンは七人の娘を創造した。「マンスフィールド・パーク」のクソ真面目な学級委員長のようなヒロインも、こんな娘からでも乙女心を抽出して見せられるわ、という作家の自信の表れだったのでは)。この「P&P」を映画化するなら、どこか一部分を選んでじっくり作るという手もあったかもしれない(と思ったが、やはりそこに至るまでの状況や人物たちの背景などの説明が必要になるなあ)。というわけで、映画として堪能できたというところまではいかなかった。しかし二つ目の舞踏会は楽しめた。ダーシーと口喧嘩気味になりながら踊ってて、しかし不意に二人きりで踊るシーンが入り込む。口ではああ言いながら心は…って感じ。その後の部屋部屋を縫って動くカメラが次々と登場人物たちを捉えていくのも楽しい。妹たちはうろちょろしミセス・ベネットは長話に興じ、強引にダーシー(長身)に挨拶した後のコリンズ(小男)が花を一輪持ってエリザベス探して歩き回り、いろんなカップルを見せていく。舞踏会の賑わいと話の綾の賑わいが絡まりあって浮き立ち、その前の二人だけのシーンがより際立った。作品を通して典雅なピアノの響きが合っていた。ペンバリー荘を観光していてダーシーと再会するときもピアノの響きに導かれてだったし(たぶん本作で一番いいシーン)。風景の美しさは文句なし。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-04-13 10:28:53) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 劇場公開時に観た後、原作を購入し読みました。で、今回BSでもう一度観たのですが、やっぱりこの作品好きかも。多少残ってた乙女心がときめくってやつです、ハイ。気持ち悪いですが、いけませんか。だって、風景や建物、衣装は綺麗だし、出演者は好演してるし、音楽も良いし。何より、エリザベスとダーシーの、不器用で意地っ張りな過程が良いのです。舞踏会でのダンスシーンは2人のプライド対決でも気になるという関係が分かるし、カメラワーク(長回し)ではベネット家族とコリンズ氏のキャラクターが嫌というほどよく分かるし(エリザベスのウンザリ感も)、ブランコでぐるぐる回るエリザベスや、ダーシーの手のクローズアップとか、単純に巧いなあと感心した次第です。最後、父親が「本当に好きなんだね」と言うシーンは、ベネット氏と同じくウルッときました。あとキスシーンはなくて大正解! 【泳ぐたい焼き】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-09-01 23:39:28) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 別題「高慢と偏見」。「いつか晴れた日に」ほど響かなかった。景色がすばらしい。18世紀の男女交際や礼儀作法、ダンスシーンがすばらしい。原作に忠実らしいというのもわかるが、あまり心に響かなかった。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-07-20 23:39:53) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 「ユーガットメール」のキャスリーンが大ファンだと言っていた「高慢と偏見」だ。もちろんあの映画も「高慢と偏見」をなぞったものであったらしく。大金持ちで高慢?なジョーに、小さな本屋の女主人のキャスリーンという設定もしかり。キャスリーンがジョー(と知らずNY152さんに)「ぜひ読んで。気に入るわよ」と本を薦めたりする場面まで用意されていた。 ということで原作読んでいないが「きっとユーガットメールのような小粋なやりとりがあるのであろう」という期待をしていたのだが。 18世紀のイギリスの田舎、中流以下の農場主であろうベネット宅、衣装もそれなり、家具も分相応。そこにキーラ・ナイトレイ。なぜキーラ・ナイトレイ。 いきなり21世紀へトリップ。妹たちの顔とギャップがありすぎる。この子の顔を見ている限り、「今私は映画を見ている」と思わざるを得ない。18世紀へどっぷり浸かることなんてとてもとても。 この顔が18世紀のイギリスの田舎を歩いていたなんてこと、日本人でさえ信じられないね。 そんでまた、キーラ・ナイトレイのエリザベスってのは、その場しのぎの言い訳ばっかしてる単に口の減らない安い女に見えちゃう。ニヤニヤしていればいいってもんじゃない。 ミスターダーシーはあの人でもいいと思うんですよ。それなりにダサくてまじめそうだし。 目玉である2人の対決場面も、1箇所しかなかったし。雨の庭園ね。それだって、キャスリーンとジョーのカフェラローでのイカした対決には遠く及ばない。そしてダーシーはこの対決ですーぐ心を入れ替えて手紙書いたりエリザベスのために陰で骨を折ったりする素直ぶりだ。素直すぎる。 当時の女性は結婚のことばっか考えざるを得なかったからキャスリーンと立場が違うとは言え、これだけ長く愛されているという原作の魅力がこれっぽっちも感じられない。もしかしてこれを見るなら「ユーガットメール」を見たほうが原作に近いのではないだろうか。妙に若い監督さんだよなあ。笑いのセンスはゼロに違いない。 とにかくキーラ・ナイトレイを時代物に出そうと思うこと自体が間違い。ほかに古典的な容貌の女優さんはいくらでもいたろうに。ジュディ・デンチも出したけどダメなものはダメ。 結果的に「エニグマ」にも出ていたあの背の低い男優さんのインタビューしか面白くなかった。(それすら10秒くらいしかない) 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 5点(2006-09-15 22:17:09) (良:1票) |
3.油ばっかりギトギトのファーストフードみたいな最近の電気紙芝居映画に食傷気味な私は「アタマも心もカラッカラだぜぇ」って状態でしたが、この作品は久々に映画を心から楽しむ嬉しさを感じ、いつまでも映画館の椅子に座り続けていたいと思いました。コスチュームものというと、それだけでゲンナリしちゃう私だけど、ジェーン・オースティン原作となると話は別。「他愛もないふた昔前の少女漫画の如き乙女の恋物語」ではありますが、何故か毎回身も心も委ねちゃう。しかも今回はテクニックが饒舌で、言葉と言葉、視線と視線の演技がするりするりと流れるカメラワークの中にきっちり織り込まれ、シネスコの額縁を駆使した風景が、さりげない仕草が、その背景にある人の心を溢んばかりに描出してゆき「これが『感情表現』ってヤツだよ、判る? ○○。」ってカンジ(色々問題あるので伏字)。「男は王子様たれ!」という乙女ちっくワールドの確固たる主張もまた、一つの正論であると思うのでした。それにしてもキーラ・ナイトレイのちょっと濃い目な美しさがまた、このベタベタな世界に綺麗にハマっているのですわぁ。「首が魅力的な女優さん」というのも珍しいです。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-01-16 22:46:04) (良:1票) |
2.私はプライドを持ちすぎた為に失敗した経験があります。 【たま】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-01-14 20:46:52) (笑:1票) |
1.《ネタバレ》 誘われて行った試写会にて。男としての「プライドと偏見」に基づいた独断を少しばかり。
この映画はラブストーリーですが、デートムービーではないです。カップルではなく「『ブリジットジョーンズの日記』をおもろいと思う女性」にオススメしたいです。「ブリジット~」もこの作品も原作は同じですが(「ブリ~」は原作を現代風にアレンジ)、前者はコメディ・こっちはラブストーリーという決定的な違いがあります。しかし狙っているターゲット(独身F1層?)は同じかと。で、独身M1層に属する俺にとってはどうだったかというと、おもしろみもなにもないただ苦痛な映画でした。
一言で言い表すと、「色狂いの一家が目の色を変えて金持ちの独身男性を探す映画」です。登場人物はみんなどこかマイナス方向にズレているように描かれていて、魅力に乏しいです。ヒロインとヒーローも最初は例外ではなく、皮肉屋のヒロインが、金持ちだが愛想の悪いヒーローのことを一方的に誤解し毛嫌いします。
一方でヒーローはヒロインに惚れるのですが、残念なことにその理由は明らかにされません。で、最後はお約束どおり、誤解が解けて晴れて婚約!に至ります。しかしその動機は「金持ちのヒーローは実はいいやつだったということに気付いたから」でしかなく、ふたりが惹かれ合うに至る繊細な描写はほとんどなされていません。あくまで「金持ちであること」が婚約の前提にあるため、「金持ちでええやつやったら誰でもええんかえ」と、自分にとっては感慨深いものではなかったです。
「ラブアクチュアリー」の製作者が絡んでいるだけあって、複数の登場人物を集約させてストーリーを展開していく流れはなかなかでしたが、そのせいで世界が小さくなってしまい、前述のように設定もよくないので感情移入するには至りませんでした。こういった少女マンガのようなデキた話にどこまで首をつっこむことができるか、がこの作品の評価のボーダーラインではないでしょうか。
というわけで、4点です。上映後、ハンカチを持って目を腫らしている女性を見て「やっぱりここまで温度差が違うもんなんやなぁ」という実感を持てた、という意味ではいい映画でした。
【追記】キーラナイトレイのうなじには10点をあげたいです。 【708】さん [映画館(字幕)] 4点(2005-12-15 01:23:20) (良:1票) |