9.《ネタバレ》 クリストフガンズ監督(名前を間違えて覚えてた)はジェボーダンの獣で毒々しい近親姦を描いたり拷問したり、このサイレントヒルでも生々しい魔女裁判を描いていたので、 この監督の心象風景にあるのは渋沢龍彦の文学のような血生臭い暗黒時代なんだと思う。 このサイレントヒルでは魔女裁判の火あぶりが生々しすぎる。 血のゲロを吐きそうです。 人をボコボコに殴ったときの胸糞悪い感じがとても残る。 宗教の血生臭さも異様でやっぱこの監督は暗黒だ。
ただこの監督はジブリのようなファンタジーも大好きなオタク監督だ。 教会の(偽)聖域に魔のものを持ち込むシーンもジブリの影響が大きい。 そんな監督は原作ゲームも大ファンです。 だからこれほどクオリティーが高く映画化できたんだと思います。 やっぱ映画化するってのはそれを好きな人に監督を頼まなきゃダメだと思うんです。 好きだからこそサイレントヒルの幻想的な美しさを見事に映画化したんだと思います。
ただ日本人とは宗教が違うためか、解釈もだいぶ違っています。 このサイレントヒルはどうやら「死後の世界」らしいのです。 シャロンとローズとシビル捜査官はあの事故で既に死んでいたと思います。 また微かに少女趣味が漂うのは、そこが女性しか立ち入れない空間だったのかもしれません。 サイレントヒルという町は人間がいないからこそ美しいのだと思ってました。 この作品では人がずらずら出てきますので、そこが欠点でした。 ただこの監督は人間の暴力や生々しい邪悪を描きたい監督であるなら人が沢山出てくるのもしょうがないと思います。
音楽をまるまる使用したのは、ゲームの方のイメージとダブるので使い分けて欲しいです。 幻想性は高いし、この独特の哀愁はクセになります。
最後に一人残されたダリアの悲しみは深いです。 あの世に逝ききれない魂の集う場所がサイレントヒルだとするとまた哀愁が増します。
ダリアの風貌と、アレッサが血を浴びて踊るシーンと、霧で包まれた灰色の教会は巨匠ティム・バートンにも見せたい気がします。
この幻想的な哀愁を味わうために年に一回は観てます。
【ゴシックヘッド】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-01-07 00:35:07) (良:2票) |
8.《ネタバレ》 物語開始早々、主人公はサイレントヒルに到着。実にあっけない。普通の映画なら、辿り着くまでにひと悶着ありそうなもの。サイレントヒルはゲームのフィールド。ここからが勝負だということ。手っ取り早く本題に入ります。話が早いのは観ていて楽です。ただしリスクはある。「ここから本番ですよ。」といきなり言われても戸惑ってしまいます。主人公に感情移入する暇もなければ、世界観を掴む余裕もありません。物語に厚みも出ない。そこで重要なのが“割り切ること”。原作ゲームのプレイ経験よりも、ゲーム慣れしていることが大事だと思いました。作り自体がゲーム。舞台は廃墟。雪の如く舞い落ちる灰。この世のモノとは思えぬ生き物たち。問答無用、視覚で圧倒されます。絶対にヤバイ。早く逃げたい。でもそうはいきません。娘を救い出さなくては!母の想いは一貫しています。手錠をしていようと関係ない。その覚悟の瞳に心を打たれます。さらに驚くべきは、子供と血が繋がっていないということ。その事実を知って感極まりました。母親とはそういうものなのか。もちろん主人公は、シャロンに魅入られていたという解釈が可能です。彼女がシャロンを引き取った時点から、復讐のシナリオは始まっていたと考えるほうが自然でしょう。でもどんな親も子に魅入られているようなもの。子供にとって母親が神であるなら、母にとって子は命そのもの。理屈ではなく共感できます。惜しいのは、クライマックス前に主人公が恐怖から開放されてしまうこと。事実上、彼女があの部屋に到着した時点でゲームクリア。恐怖の源である闇の力を我が身に宿してしまえば、もう怖れるものはありません。復讐の殺戮は、もうSHOWでしかない。オチには納得しました。ただ好みを言えば、もう少し希望を残して欲しかった。ゲーム原作の映画としては、破格の出来だと思います。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-07-18 18:25:15) (良:2票) |
7.《ネタバレ》 世界観や映像美も良いけど、実はラストのパラレルワールド化が印象的。
憎しみと復讐が生み出したアレッサは、望みを叶えて消えたわけではなくて、シャロンと同一化した。 ずっと渇望していた母からの愛を永遠に独り占めするため 自分のサイレントヒルにローズを閉じ込めたんだろうな、と。
復讐と愛。 欲しかったものを共に手に入れたアレッサは ローズに抱かれるシャロンの中で、ニヤリとほくそ笑んでいるのでしょう。
ホラー系なんだろうけど、恐怖というよりは圧迫感や閉鎖感で息が詰まるような感じ。 孤独という虚無感を感じさせる、自宅でのパラレルな終わり方も秀逸です。 【こっちゃん】さん [インターネット(字幕)] 8点(2017-12-29 13:04:09) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 人気ゲームが元になっているだけあって、ホラーの世界観がすごい。サイレンが鳴るとしばらくして世界がガラッと変わるシチュエーションには毎回ドキドキしました。ホラーはやはり世界観が大事ですね。結局バッドエンドなのかなーと思いましたが、最後の解釈が分かりづらかったです。続編のためでしょうかね。 【まいった】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-10-10 00:37:33) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 ゲームはやったことないけど、バイオハザードとかにない、闇の世界(?)の雰囲気が最高でした。序盤にワラワラ出てきたクリーチゃーが中途半端だったのが残念。霧深い不気味な町の雰囲気がぶち壊しだった気が・・・。ラストについては賛否両論だと思うんだけど、こういう映画って後味が多少悪いほうがいいと思います。 【gorey】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-03-18 11:14:07) (良:1票) |
4.怖かった。色彩豊かな現実と、灰の世界のサイレントヒルと、怪物が出てくる時の赤い世界のサイレントヒルの三つの世界がキッチリ分かれていて、赤い世界が終わった時は、心底ホッとする。作り物だとは分かっていても、そんな気分にさせる凄い映画だった。話の方がイマイチだったので残念だけど、ゲームが元の映画にしては大成功だと思う。ゲームの怖さが本当に好きで、そこを何としても表現しよういう意気込みを感じた。ゲームがやりたくなる。 【六爺】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-12-19 21:54:51) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 ゲームを映画化したもので、最初に完全に描ききった作品が多分これではないか、と思うほど忠実に、かつ独創的に出来上がっている。出てくる登場人物は殆どそのままだし、まるでいじる必要がなかったと言わんばかり。その上であえて主人公を男性から女性に変えたことで母性愛が発生し更に深みを与えた。例えばバイオハザードの、ヒロイック的な脚色は一般には向くが、ゲームファンとしてはある意味ガッカリだった。描くべき方向性を変えてしまったからだ。しかしこの作品には、その失敗は無い。ゲーム世界のあの異様・異形・異界、それを一人さ迷う恐怖。愛する子を必死に探すのみ。それらを全て描ききっている。そしてSFXに一切の妥協が無く、残虐さに戦慄し異様な美しさに愕然とする。少女の、最後のあの笑みが魅力的だが最高に恐怖を覚えた。そう、物語はまだ終わってない。 【sherlock】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-08-02 04:04:29) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 原作のゲームは未プレイ。この手の作品で126分もやらせてもらえるとは原作のファンらしい監督も嬉しかったでしょう。退廃し暗く陰湿な廃墟の街並みや生理的にいやーな動きのクリーチャーなどビジュアル的によく出来ている。大分大掛かりなセットを組んだようでかなり雰囲気出てましたね。 三角頭のゴツイ人の皮剥いで殺すやり方はなかなか新鮮だった。でも皮って脆そうだけどね。アンナの面の皮は厚そうでしたが、全体的に厚かったのかな? 「子供にとって母親は神様」。善と悪に分かれていた娘は異世界で、神である母親と二人で幸せに暮らすのかな。母親にとってはいまいちアレなようだけど解釈の仕方もイロイロありそうですね。過去の世界、現在、霧に包まれた世界、そして闇。上手くまとめて交じり合ってたな。さすがマニアな監督だわ。 日本はPG-12で公開しているけど甘いんじゃないのかなぁ?ラスト付近の火炙りと有刺鉄線(関係ないですが有刺鉄線に突っ込んだコトありますけど、洒落にならん痛さです。)のシーンは小学生には保護者同伴程度じゃ不味いと思うけどね。現実社会もありえないような事件が頻繁に起こっているし、ゲームの世界もレイティングが厳しくなってきている。映倫よ、お飾りじゃないんならしっかりやれ。 【ロカホリ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-07-21 01:22:38) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 アメリカのホラー映画としては一線を画したようなホラー映画で凄く良い出来です。それにとても怖かったです。怖いといっても聴覚でビビらすのではなく視覚で怖がらせ観ているこちら側に心理的・生理的に嫌悪感を与えてくれるといった映像を撮った監督に拍手を送りたい。監督は『サイレントヒル』のゲームのファンなのでどういった映像を私たち観客に観せれば怖がってくれるのかがわかってらっしゃる。話の展開もゲームをプレイしてるかの様な進み方が非常に良かった。懐中電灯を机の中から発見したりクリーチャーの口の中からヒントを見つけたりして面白かった。クリーチャーも動きが気持ち悪いんだけどそこが何ともいえない位不気味。時間が経てば戻るんだけどそれまで微動だにしなかったクリーチャーがサイレンが鳴ったと共にいきなり動き出して周りの壁や床もクリーチャーに変わる映像はなかなかのもの。懐中電灯の光だけでの暗闇の映像も非常に良かったです。ローズとシビルの前にクリーチャーが現れるシーンでクリーチャーから飛び散った液体が煙みたいになり纏わりつく所が凄いなと思ってしまった。三角頭に襲われる所なんてハラハラドキドキしっぱなしだった。銃を撃っても効かないし巨大な剣で襲ってくるし久しぶりに良いキャラでした。もう少し出番と見せ場があれば申し分ないのだけど。でも腹をグニュってした後に木っ端微塵にしてしまう所は笑ってしまった。あとシビルはちょっと酷い最期でした。良いキャラだっただけに残念でした。エンディングの『You'r not here』は良いね。まさか使うとは思ってなかったけど。ラストはローズとシャロンが異界の世界に行ってしまったけど続編があるとすればクリストファーの所にローズから『サイレントヒルであなたを待っている』っていう手紙が届いて・・・・・っていう展開になりそう。 |