4.黒人奴隷解放を通じて、「自由」「差別」「支配」「理想」をテーマに終始うーむ、と考えさせられっぱなしの一本。ドッグヴィル程衝撃的な狂気や展開をみせない分、リアリティや妙な迫力があります。いったい何が正しいのかわかんなくなっちまいました。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-10-07 12:27:17) |
3.GyaOで見た。
経験も知恵もなく、薄っぺらの理想と夢を求める哀れなグレース。
痛い、痛いよ、痛すぎるよ、グレース。
映画としては、解説が多すぎるのが難点。 【紅】さん [インターネット(字幕)] 8点(2007-12-30 03:54:55) |
2.フランスの作家ジャン・ポーランが書いた作品で「奴隷状態における幸福」という序文で始まる物語があります。奴隷解放宣言により急に自由の身にされた黒人奴隷たちが、いきなり放り出された自由な環境で何をやって良いのか分からず、前に自分達を雇っていた主人たちに、もう一度奴隷にして欲しい、と懇願します。ところが、その申し出を断られた黒人たちはいきなり暴力的になり、主人やその家族たちを一家惨殺してしまった・・・・・・・・。というお話から作られたのが本作なわけですが、いや~、あのおっさん、またまたやってくれましたわ。「支配された状況にある人間」をここまで論理的に捉えたラースはやっぱり天才だ。人間が誰かの支配下にある時、支配されている人間は身体や、表現や、精神の自由を全て奪われる。そして支配する人間は支配している優越感と、好きなように出来るという力を満喫する。この時点では、支配されている人間は”被害者”で支配する人間は”悪”だ。そしてその状況を打破しようとする者、この映画ではグレースが”善”と捉えられる。それが普遍的な考えだ。・・・・・・・・・・・・でも、本当に”悪”なのは誰?本当に”被害者”なのは?支配されている人間が、自由を奪われる代わりに手にするものとは?誰でも支配されるのは嫌です。でも・・・・・・?前作『ドッグヴィル』で、俺の中に新たな人生観を植えつけてしまったラース。そして本作を見て、俺の中にまた新たな感覚が芽生えたような気がします。そう、まるでマンダレイでまた一つ新たな事を学んだ、グレースのように。そしてマンダレイを逃げ出したグレースが、たどり着いた「ワシントン」で見つけた、真の”人間”とは、果たして・・・・・・? |
1.前作ドッグヴィルに比べ、あの舞台演出であることの有効性が少なかったかなと思う。地平線がよく写らないし、むしろ人間ばかりで、壁の無いことの効果をもっと有効に使っていかなければ、意味が無い。でも、ああいう環境が「普通」になってきたことは僕にとってはとても気分いいことである。そして他の映画作家がああいう表現を真似たとき「ドッグヴィルのパクリだね」といわれるだろう予測も心地よい。 作品の内容として、ドッグヴィルより説明っぽくなってしまって、生々しさが薄れてしまった気がする。もっと理屈や決まりをぶっ壊す感覚がほしかったね。それは建物が崩れるように、人間性が崩れる、そういう崩れっぷりがこの監督の見ものであった気がします。とはいえ、3作目「ワシントン」も必ず見たいです。 |