8.《ネタバレ》 これは面白い。 失礼ながら期待値は低かっただけに、嬉しい不意打ちを食らわせてもらった気分です。
劇中においても、こういった気持ち良い「不意打ち」が幾つかあって、特に印象深いのは主人公が婚約者に振られてしまう場面。 ここは観客の自分としても、主人公の気持ちとシンクロして「出世コースから外れたので振られてしまった」とばかり思っていたのですよね。 けれど、実際はそうじゃない。 「私の事を見てくれなかった」のが破局の理由であり、思い返せば、確かに伏線(=主人公は仕事について考えてばかりで、彼女のウェディングドレスを選ぶ際にも上の空)が張られていたのですよね。 これが「理不尽な裏切り」ではない「心地良い意外性」となっており、自分としても、この場面をキッカケとして(これは思っていたような映画とは違うぞ……)と襟を正して観賞する事が出来たように思えます。
潰れそうなスーパーを主人公が再生させる話といえば「スーパーの女」という先例が存在しており、あまり目新しさは望めないだろうと覚悟していたのですが、そんな予想も覆される事になりましたね。 あちらの作品は、ちょっと意地悪に解釈すれば「絶対的に正しい主人公が、間違っているスーパーを改革する話」という、やや一方的な内容であったのに対し、本作では公務員の主人公と店で働くヒロイン、それぞれに「正しい部分」「間違っている部分」が存在しており、対立を経て互いに認め合い、欠点を補完し合っていくという内容なのです。 それが非常に好ましいというか、自分の感性に合っていたように思えますね。
他にも「水で手を洗おうとしたら、蛇口が汚くて躊躇する主人公」という些細な描写で、その性格を端的に示してみせる辺りも好みでしたし「プライドの高さゆえ僅かなお辞儀しか出来なかった主人公が、研修期間を終えて店を立ち去る際には深々と頭を下げる」というベタな演出を挟んでくれる辺りも心地良い。
最後の最後で、店を守る決め手が「カンニング」という辺りには幻滅しかけましたが、そこで、またまたサプライズ。 それまで役立たずとして描かれていた店長が、意地を見せて店を守る形となっているのも嬉しかったです。
現実的な題材であるにも拘らず、そこかしこにリアリティの乏しい部分が見受けられる事。 主人公とヒロインが恋愛関係になる必然性は無かったように思える事。 そして、店のパートと行政パートが、あまり密接に絡んでいない辺りなど、色々と粗も目立ってしまうのですが、それでも全体としては長所の方が多かったかと。
研修を通して主人公が学んだのは「素直に謝る事」「素直に教わる事」「何かを成し遂げるには、仲間が必要だという事」と語る件も良かったですね。 完全無欠のハッピーエンドとはいかず、女性知事の狡賢さ、強かさを見せ付けるシニカルなテイストも備えており、それで後味が悪くなるかと思いきや、主人公は全て承知の上であり、前向きな姿勢と共に終わってくれたのも素晴らしい。 「そう簡単には通らないはずだ」「でも、諦めない」という、一時的な努力だけで済まさない、努力を継続する決意の恰好良さが伝わってきました。 その第一歩が、県庁におけるエスプレッソの有料化という、非常に小さなものであった辺りも、ユニークな落としどころだと思います。
面白い、楽しめたというのは勿論ですが、それ以上に「気持ちの良い映画」でありました。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-12-29 08:20:51) (良:2票) |
7.《ネタバレ》 コメディ作品かと思いきや、なかなかシリアスな雰囲気で見ごたえがありました。映画としてはインパクトに欠けるけど、県庁さんと民間の対比がおもしろく描かれていて興味深く観られました。一部、融通の利かなさやいい加減なところにスーパーのほうが「官」っぽく感じるところもありましたが、まあフィクションだから目くじら立てちゃだめですね。織田さん演じる県庁さんが能無しではなくデキる男だからこそ成り立つ映画だと思います。あんだけきっちり仕事(企画書を各言語別で作成したり、消防法を暗記してたり)ができる県庁職員って実際にはあんまりいないかもね!? スーパー営業終了後の夜中に撮影したのでしょうか、全体的に疲労感や息苦しさを感じる映像になっています。ロケが大変だったのでしょうね…。県庁側が必ずしも善ではないこのストーリーに自慢の庁舎を貸した香川県に敬意を表します。作品を見て自分も「人の振りみて…」、自分も気をつけなきゃなって学びました(笑)。意識改革!! 【トト】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-04-13 20:58:26) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 あらら意外にというかかなり面白かったんですけど(皆様辛口デスネ) まぁ確かにそんなにうまくいくかよ的な都合のよさが全開ですが、こういう展開好きなんです(笑) 最後のあたりはウルットしちゃったの俺だけ?(苦笑)政治的な風刺も効いてて単なるお手軽ムービーじゃない感じと思うんだけどなぁ 最近観た邦画の中ではかなりまともな方かと 個人的にそんな印象デス 【Kaname】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-01-01 15:45:47) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 最初の方はわりとテンポよく話が進んでいくのに、野村がプロジェクトから外されたあたりから、間の持たせ方がじれったい感じがしました。しかし、自信を持って“ステレオタイプ”のお役所仕事をこなしていく野村と、現場感覚が冴える二宮のそれぞれの長所と短所を絡ませていく描写は面白いと思います。最後の展開は「できすぎだろう」と思っていたら、知事のオチがあったので加点。ちょっと甘いかも。 【mohno】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-01-11 20:20:49) (良:1票) |
4.何となく体が予定調和を求めている、そんなときは織田裕二かマイケル・J・フォックスの映画が良い。普通に暇つぶしが出来るって、ある面貴重だ。 【monteprince】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-10-20 00:58:54) (良:1票) |
3.そもそも地方公務員がエリートだと思ってる時点でイタイんだが、田舎ではそうなのかな?首都圏ではありえないけど。双方とも相手を使うという事を知らなくて、どっちもどっちなんだが、イチバンまともというか強かなのは「副店長」だな。ああいうのは組織で出世するタイプだな。役人のプライドを汚さずに己の無知を知らしめて、店の利益を上げるところは人使いがウマイと思った。 【東京50km圏道路地図】さん [地上波(邦画)] 7点(2007-06-10 00:13:55) (良:1票) |
2.お役所のいかにもなお役所加減、民間とはいえ疲弊した場末のスーパーの停滞して疲れた現場が好対照で、リアリティを感じさせる。実際お役所もスーパーも裏側は知らないけど、ディティールが細かく丁寧に描かれていた。また、柴崎コウの存在感というか、役作りが素晴らしい。ぞんざいな喋り方から歩き方、ルーチンな仕事を長年やっていると思わせるような身のこなしやしぐさ、やはり売れっ子だけのことはある実力派の女優だと感じさせる。バイトに行くと、こういう人いるんです。誰よりも現場を知っているが、パートであるがゆえにどこか投げやりな所もある人。実はこういう現場を知り尽くしている人に社員より優秀な人が多い。そういう人を企業は採用すればいいのに、まあそうもいかないのだろう。そうもいかない企業はやはりそれなりなのかもしれないが。上映時間の都合か原作からの構成の段階で端折ったのか不明だが、ストーリーのすっ飛びはあるが、最後までぐいぐい引き付けられる良作だった。こういう企業再生ものでは米映画「ガン・ホー/突撃!ニッポン株式会社」と空気が似ている。 【ロイ・ニアリー】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-02-14 20:31:06) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 スーパーでの場面はとても面白かったです。官・民それぞれが抱える問題点を上手く補完していく様子が良かったですね。コメディではありますが、結構ためになりました。(ちょっと、スーパーの弁当を買うのが怖くなりましたがw) ただ、それ以外のプロジェクトにまつわる描写が非常に浅いというか、陳腐なものだったのが残念です(もう、議会でのシーンなんて見てられませんでした・・・・・。)。 まあ、主演が織田裕二 と 柴咲コウなんで安心して見れる作品ではありました。 【TM】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-10-23 11:21:26) (良:1票) |