11.《ネタバレ》 実物の子ガメはともかくガメラの造形も可愛らしい。成長後はそれなりに凛々しくなるが最後まで童顔を残しているのは“愛すべき怪獣”を体現している。成長段階に応じた最初の火球攻撃と最初の回転ジェットのタイミングは感動的だった。また子役が煩わしく感じられないのは、昭和ガメラに比べると著しい進歩といえる。ほか美少女が出るのは現代風だが、これも歓迎する。
それで映画の内容としては、映像面では平成以降の水準と特徴を受け継ぐ一方、ドラマ部分は昭和ガメラ直系の後継作と思える。心に欠けたところのある少年とガメラとの関係性をもとにドラマを作っているのは昭和ガメラ第一作への回帰のようで、またキャッチコピーに書かれたように、子どもらがガメラを助け、ガメラがそれに応えてくれるというのは、古き良き昭和ガメラの本質を示しているように思われる。劇中の大人は善人でも結局自分のことしか考えておらず、「みんなが逃げるためにガメラが戦ってくれてる」とはあまりの言い草で、ウルトラマンその他に任せて安心と思っている世代の根性が情けない(自分はこっちに近いわけだが)。やはり観客の思いを託すのは子どもらでなければならず、石のリレーが不自然なのは言われなくてもわかっているが、正直ここは泣けた。君らもヒーローだと言ってやりたい。自分もガメラの鼻先を撫でてやりたい。 ただリアリティを削ぐのがカリカチュアライズされた役人の存在であり、こういうバカみたいなのは出さなくていい。要は政府や自衛隊が動いていることが示唆されればよいので、半端な社会描写などは割愛し、主人公周辺の人間関係だけに限定でよかったと思われる。これは戦争映画に大局感が必須でないのと同様である。
以上、子どもの出るファンタジックな映画のため攻撃性が鈍るのも確かだが、子どもだましと貶めるよりも、あえて大人がだまされてもいいと思える映画である。何より個人的な趣味嗜好が嵩じたような人々ではなく、ちゃんとした大人が作っているという安心感がある。 40年間の全ガメラ映画を当事者的に眺めて来た立場からすれば、この映画が映像面とドラマ部分を総合して最も高水準の内容が実現できており、子どもを中心に据えた怪獣映画の理想像を提示したものと思える。いいものを見せてもらった、というのが率直な感想であり、評点についても、ここまでの最高が9点なのに励まされる形でいい点を付けておく。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-01-20 08:46:42) (良:2票) |
10.《ネタバレ》 妻投稿■冒頭の京都っぽい音楽と夜と炎とガメラVSギャオスの組み合わせは、皆さんがおっしゃられているように平成ガメラ三部作、特にその第三作目のテイストのそれであり、ガメラの自爆シーンは三部作の後日談、丸投げの収束、そして終了という意味が込められていると思います。■そして今回ガメラ誕生シーンから始めたのは(実は子供ガメラが出てきたのはこの映画が初めて)2つの理由があると思います。 ①平成ガメラ三部作とこの作品の「断絶」の過程を怪獣ファン向けに提示する為(これってすごく丁寧だと思います)。 ②ガメラと敵怪獣の死闘を政府、自衛隊、超能力少女の視点からではなく、映画の客層である子供たちの視点から「友達」「ヒーロー」というキーワードで捉える原点回帰には、どうしても必要だった。・・・・■金子監督のガメラ3みたいに「ガメラ」みたいなシリーズ概念をぶっ壊して映画を作るのって、そんなに難しくないのですが、その「ぶっ壊された概念を再構築する」映画って、本当はめちゃくちゃ難しいと思います。この映画は「今までのを無かったことにする」という手段を使う(21世紀ゴジラが醜悪なくらいそれをやりまくっていた)のではなくて真正面から挑み、次のガメラ作品への責任をしっかり果たす映画作りを目指したのだと思います。その手段において、主人公の家の隣の窓にかわいい女の子(しかも夏帆)の部屋を配置した事や、怪獣の大きさを敢えて小さめに設定して、等身大の住宅地で戦わせるシーンを挿入したことはグッド。ただ子供のリレーはもう少し他にやり方はなかったのかとは思います(昭和のガメラは「子供」を使いながらも子供という概念をスピリチュアルと同一視せず、それなりの勇気と叡智を持って戦わせていた)。■でもこの映画を見てガメラの続編を見たくなりました。ありがとう。 【はち-ご=】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-11-28 12:33:36) (良:2票) |
9.《ネタバレ》 制作費15億円で興行収入が4億円と大コケした映画。 平成ガメラの制作費が5億円のことをおもえば、恵まれていたのですが、出来上がったものは、トホホ映画でした。 子供がガメラを育てるというアイデアには問題があります。 鯨の数倍の大きさになりますから。 子供とガメラの愛情を描きたかったならば、他の視点に立った脚本が必要だったと思います。 全編にわたり緊張感ありません。 怪獣映画で、怖くないのは決定的です。 敵怪獣のデザインが魅力ありません。 ガメラを助けるためにリレーする子供の場面は、無理があり、あざとい演出です。 いったいどこにお金をかけたのか不明。 金の使い方にムダが多いのは、道路特定財源なみ。 【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 2点(2008-05-01 06:57:33) (良:1票)(笑:1票) |
8.《ネタバレ》 11年前、ガメラが復活して本当に嬉しかった私ですが、回を重ねるごとに、ガメラである必要がないんじゃないの?ゴジラを作りたい人達が代わりにガメラを使ってるだけなんじゃないの?なんて意地悪な事を考えるほどに私の好きだったガメラからはかけ離れた存在になってゆきました。でも、大風呂敷を広げっぱなしで逃げちゃった前作から一転、今度は私の大好きだったガメラに限りなく近い存在となって帰ってきました。ガメラはなぜ存在するのか?なぜ現代社会に現れるのか?なんて一切関係なしです。大前提が子供の味方の空飛ぶ亀の怪獣、ガメラってそういうものでしょ?と、まるで平成ガメラに対してダメ出しするような映画。シネスコの大きなスクリーンに展開するのは、だけど、プログラムピクチャーみたいな小さな世界(『学校の怪談』や『ズッコケ三人組』に近い感じです)。視点は子供の元にあって、大状況に呑み込まれる事なく最後まで子供に寄り添ったまま。ガメラに協力するのは自衛隊でも国家でもなくて子供です。ガメラは人類の味方でも地球の味方でもなくて、子供の味方。そういう子供っぽさがダメ、って人は昔からいましたし、だから平成ガメラが好きな人にとっては悪夢のような映画かもしれませんが、私は『そうそう、この感覚こそがガメラ映画!』って感激。ストーリーラインがまるっきり「E.T.」とか、大映ブルー分が全然足らない!とか、ジーダスが大映よりも東宝怪獣っぽい(ゴジラ~ジラースのデザイン&名前をパロってるクサい気もします)とか残虐すぎとか、回転ジェットはもっともっと青く、できれば操演で!とか、そこまでやるんなら子供を背中に乗せて!とか、ラストはやっぱりガメラマーチを流して下さい~、とかいうマニアくさい不満点はありましたが、あくまで昭和ガメラファンのためじゃなくて、子供のための映画ですからね。それでも、映画を見ている間、子供の頃に映画館の暗がりの中で見たガメラが思い出されて懐かしさに胸を締めつけられ続けていました。ガメラに育てられた私は、主役の少年とそのお父さん、両方の視点でガメラを見つめていました。スクリーンに映るガメラを見ていられる映画生活がどれだけ幸せなのかを、40年近い時の重さと共に感じていたのでした。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 9点(2006-05-17 21:09:32) (良:2票) |
7.《ネタバレ》 子ども向けということは分かっていたが、微妙だなあ。確かに、冒頭のガメラ自爆のシーンは平成シリーズを髣髴とさせる迫力でしたし、のどかな海辺の町での主人公たちの暮らしを丁寧に描いた前半も好感が持てました。でも、よかったのはここらへんまで。敵怪獣が出てきたあたりから、映画の芯が段々グダグダになり、登場人物の言動も陳腐化してくる。特に、一番の感動ポイントであるはずの、赤い石の子どもリレーが私にとっては意味不明。恐らく4~5歳ぐらいであろう幼女が、なんで「トト」っていう名前がガメラのことって分かったの?テレパシー?超古代文明のパワー?マナの力?それと、最後の子ども版人間の盾もなんだかなあ。あんな、最前線の危険地帯に、あれだけの数の子どもがいるということがありえないし、振り付けじみた「STOP」のポーズもわざとらしい。一緒に観ていた息子はこのシーンを観て、「運動会の踊りみたいや~」と言っておりました。マニアの単なるつまらない突っ込みと侮るなかれ。子どもというのは案外こうしたとこはチェックしています。「子ども向けだからこんなもんっしょ」という気持ちでは、子供はだませませんよ。 【東京サンダ】さん [映画館(吹替)] 4点(2006-04-30 14:57:46) (良:2票) |
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6.《ネタバレ》 ギャオスとの自爆シーンは前作の続きっぽくてつかみはOKでした。また子供が育てたカメがガメラになるというアイディアは最高です。(昭和ガメラのなぜかガメラは子供の味方というのが嫌いでしたが、これならガメラが子供の味方になるのも理解できる) 調理場のいろんなシーンも笑えます。戦いが昼間というのもいいですね。一生懸命全力疾走で逃げるエキストラのかたもいい仕事をされています。その中でやはり子供のリレーだけは感心しません。もうちょっと説明がないとなぜ子供が引き寄せられてきてあの石を運ぶのかわかりません。最後にあの赤い石を得た時点でかわいい顔のトトから精悍な顔のガメラになると思っていたのに、かわらず残念。平成3部作(特に1.2)は好きですが、これもそこそこありかなと思います。 【pokobun】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-08-18 23:25:30) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 平成ガメラの子供向けスピンオフ物 イリスの後日談に近いか?まぁ時代が違うけど 三重県志摩市の美しい風景の中で子供に育てられるガメラのジュブナイル 大人の視聴にも十分耐えうる出来 VFXも方向は違うが本家ガメラに引けはとらない 作品イメージはテレビシリーズの戦隊物に近いかな 敵のジーダスはUSゴジラそっくり ジーダスという名前はゴジラの親戚のエリマキ怪獣ジラースにも似ているので、ゴジラ対ガメラのパロディを作り手が意識しなかったはずはない ラストの子供達によるリレーはそれなりに感動した わかりやすい泣かせシーンだが子供向けなので十分許せる しかし最後の主人公の独白はちょっと長過ぎるかなタメすぎだ ヒロインの夏帆は本家ガメラのヒロインよりもずっとよかった 本家の中山忍よりも五万倍ぐらい芝居もうまい 本家にキャスティングするべきだろう 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2013-12-24 12:36:15) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 まず特撮。敵怪獣のジーダスに魅力が感じられません。単にトカゲを大きくしただけでは……。まあ作劇上、ガメラの敵怪獣は何でもいいとはいえ(なんならまたギャオスでも可)、見た目が地味だし、攻撃方法も芸がない。それ以外は、昨今の特撮ものならこんなものでしょう。回転ジェットの描き方はよかったと思う。 ドラマの方ですが、前半はなかなかいい。ただ、クライマックスの赤い石をリレーする場面、あれは唐突すぎます。なんらかの伏線(ガメラがあの石を通じて子供と通じ合えるとか-)があればともかく、いきなりあんなことをやってもついていけません。制作側の「ここで感動させてやれ~」というのがミエミエで、かえって白けてしまいます。赤い石でパワーアップ → 回転ジェットという流れはよかったのですが。ここは「トトが宙に浮かぶ」という描写が生きていました。 もう少しうまくやれば、素直に感動できる映画になったかと思うのですが、残念ながら手を抜いたという印象がぬぐえません。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-10-02 19:27:21) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 夏帆ちゃんかわいい。それが一番の見所。それに食指が動かなければ見なくてもいい映画。かも。■うーん、他の方も書いてますが、亀怪獣のデザインはもう少しなんとかならなかったのでしょうか。本物の亀から縫いぐるみになったとたんにコントのように滑稽に見えました。■冒頭のシーンはよかったと思うんですよ。期待が膨らみました。少年少女と不思議な亀とのやり取りもほのぼのしました。それを活かしきれなかったのがなんだか残念。■ラストの盛り上がりはかなり強引。でも、好きです。強引でもあれを納得させるだけの複線が欲しかったと思う。■ダメな部分は多いものの、それも含めて大映ガメラを髣髴とさせてくれました。昔のガメラはもっと大雑把な脚本でしたものね。■いかにも続編がありそうな作りだったのですが、第二段は無いのかな? 【まめ】さん [映画館(邦画)] 4点(2008-05-21 22:19:35) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 ガメラ外伝というつもりで観たので違和感なく楽しめました。
ストーリー、特撮(CG)共に、ごく単純でしたが、後期(末期)の昭和怪獣映画に比べれば素晴らしい出来栄えです。 子供達の演技も不自然でなく良かった。
隣に異性の幼友達が住んでいて、窓越しにコミュニケーション出来る。なんていうのは自分が子供の頃観ていたら、すごく憧れたであろうシチュエーションでした。
トトが調理場を歩いていて包丁が落ちてくるシーン。昭和ガメラの包丁怪獣知ってる人なら笑えましたよね。
この時点では演技力に多少疑問が残るものの、とっても魅力的な女の子、夏帆ちゃんに1点献上します。 【ボロミ】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-01-31 17:00:24) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 ストーリーはシンプルながら王道を行く流れ。先を予想しつつ心地よくその流れに身を任せられるというもの。これといった欠点もなく過ごした時間なりの満足感はある。子供達のリレーシーンに不覚にも涙ぐんでしまったので+1点で6点という評価。ベタでも子供ががんばるシーンに素直に感動できる人なら一度は見てみたら。 【Sean】さん [映画館(邦画)] 6点(2007-08-13 16:06:55) (良:1票) |