8.《ネタバレ》 気持ち悪くて気持ちいい。 リアル系のキャラクターデザインにどこか違和感が混ざり合うように、 夢と現実との境目がなくなって、混沌が肥大化していくさまが面白くアニメでしか表現できない。 夢は言語化できないもので、その願望がまとまらないからこそ、具現化するためにもがく姿が現実とリンクする。 敦子が時田を救うために、理想の自分であるパプリカから独立して現実を勝ち取るように。
ハリウッドにも影響を与え、細田や新海を超えるだろう監督の早世が惜しまれる。 【Cinecdocke】さん [地上波(邦画)] 8点(2022-02-09 13:45:02) (良:1票) |
7.公開時は見逃したけど、ビデオで見ていつか大スクリーンで見たいと思っていた。さいわい、少し前に爆音上映があり映画館で見た。 筒井の原作と平沢進の音楽に今監督の想像力が加わり奇跡的な作品。おもちゃ箱をひっくり返したような白昼夢が画面に展開する。万人向けでなく、合わない人にはとことん合わないだろうけど(多分アニメはジブリに限るといった人など)大人向けのアニメとしては最高峰と思う。 【mtx】さん [映画館(邦画)] 10点(2021-11-13 21:38:09) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 夢の中の描写がリアル過ぎて驚きました。凄い映像の連続で見る側を飽きさせません。今敏監督って、見た夢をはっきりと覚えているタイプの方だったのでしょうか?DCミニを盗み、人の夢を自在に操り悪用する輩を追っていくストーリー。ヒロインのセラピストの千葉敦子の夢には、自身の内面に潜むパプリカが現れます。パプリカは、スフィンクスやティンカーベルに変身しながら活発に行動します。物事もハッキリ言います。一方、敦子は我を内に秘める女性で常にパプリカの後ろをついて行きます。ある意味、パプリカは憧れの存在です。そんな敦子がクライマックス、パプリカの命令を無視し、我を貫き想いを寄せる時田を助けに行く姿は印象に残りました。ストーリーのわかりにくさは、夢の中のストーリーなので気になりませんでした。また、全編を通して音楽が素晴らしかったです。 【スノーモンキー】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-12-03 00:01:19) (良:1票) |
5.ドラマが次の物語を引き起こすのではなく、ひたすらシーンが次のシーンを呼び、あるいは発散し、あるいは循環する。アニメに不可能なし、とばかり、悪乗りの極致、エネルギーの奔流にただただ圧倒される、のだけど・・・あまりに濃過ぎて、少々胸焼けが。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-12-28 23:06:53) (良:1票) |
4.他人同士の夢が混じりあい、夢と現実が交差する妄想120%アニメ。夢の世界を使うとなると、一切の制約がなくなってしまうわけで、描き手が描きたいものは全て脈絡なく登場することが許されてしまうと同時に、受け手を置いてけぼりにする可能性が生じてしまう訳です。だからといって、夢の世界を描いてるのにあんまりわかりやすい世界でちじこまってしまってもつまらない。 で、この映画は、暴走具合がわかりやすくて豪快で気持ち良い。無茶苦茶な話ではあるのにシンプルな冒険活劇としても意外と成立していて面白い。この絶妙(もしくは微妙)なバランスはやはり、観る人を選ぶのかな。僕は好きです。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-05-31 17:04:54) (良:1票) |
3.「夢」という実に興味深い題材を、芸術性の高い今敏がどう料理するか期待していたのだが、完全に私の趣味と違った。「夢」という何でもありの世界を描くに、刑事のトラウマを描くのは理解できるし、分かりやすい。ヒーローに変身するのも分からないでも無いが、全く理解出来ないのは、人形がゴチャゴチャ行進するシーン。なんと単純な想像力、無意味な行動であろうか。私は、こんなくだらない夢を一度も見た事がないし、何度も見せられて本当にイライラした。ストーリーは犯人究明までは良く出来たサスペンスで面白かったが、分かってからがヤケクソの何でもありで全く楽しめない。そもそも犯人の目的て何よ? 単に、見たい夢を見れる装置を開発して儲ければいいのに。 【まさサイトー】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-02-23 15:41:00) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 うーん、原作は未読なのですが、ハチャメチャな意味なしセリフから察するに、これ、元はもっと馬鹿馬鹿しい不条理物語、毎度の筒井節の世界だったんじゃないでしょうか。なんか妙に真面目に作られていて、どうも物語と今監督との馴染みが悪い気がして仕方ありませんでした。説明的不条理という、創作においてあんまり面白くない状態になってしまっているんですよね。『千年女優』のような、全てが1つの芯の上に存在する不条理と、この物語の不条理とは全くの別物なのですが、同じ様な感覚で作られてしまっているような。逆に説明的に作るのならば、敦子が時田に抱いていた感情に何らかの説得力ある描写が欲しかったです。あれだって本来はどう考えても不条理なお笑いネタなんじゃありません? あと、林原めぐみの声がパプリカには合っていても、敦子には合っていない感じ。しかし一方でアニメーションとしてはかなり面白い出来だったと思います。映像を見ているだけで存分に楽しめてしまう状態。物語は懸命に意味を求めていたけれど、結局は映像の快楽にこそ本質があった、そんな映画でした。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-04-08 16:49:02) (良:1票) |
1.ま、典型的なマッドハウス・アニメです。「『スチームボーイ』はカッチンコッチンなアニメだったから、今度はグニョ〜〜ンなアニメ作ってみようか」っていうノリで原作セレクトした感じですね。なのでストーリー展開もスチボーの時の反省の色がなく、猛烈にステレオ。敵に精神をヤラレちゃったキャラたちの筒井節丸出しトークもあんまし壊れた迫力がなくて「前衛劇ならまあ普通かナ」って程度。この落ち着きの良さは何とかならんのか? ただ、演出は狂気としか思えないです。夢と現実が交錯する話なワケで、モーフィングやらホワイトアウトやら何やらかんやらとにかくもう3桁では足りない程の効果の嵐です。アニメーション視覚効果大全集みたいなマニアックな凄さはありますね。マッドハウスは今回でまた一皮剥けて、いろいろノウハウを手にしたんじゃないかな。次こそは、次の大作アニメこそは期待だ(笑)。
…でも正直に言うと、トルンカスタジオならもっと低予算で、もっと驚かされる効果を使って、徹底して抽象化した絵作りで『パプリカ』を製作できたと思う。この映画に足りないのは、まさにそういうスパイスだと思うんだな。 なのでオイラ的には、劇中のセリフの通り「パプリカの不足した」ぬるアニメでした。 【エスねこ】さん [映画館(邦画)] 6点(2006-12-11 23:29:17) (良:1票) |