《改行表示》 5.《ネタバレ》 見終わった時の素直な感想は、「どこまでも男に都合のいい話だなあ」である。 日本人の泣かせのツボを押さえきった浅田次郎(ホメているつもりではない)の原作ということは知っているが、こんなに男に都合のいい話なワケか、本当に。 それにしても大沢たかお。日本映画界は大沢に期待しすぎているように思う。いくらなんでも父親になった佐吉役は、他の老練で重厚な俳優にまかせるべきでしょう。ありえない、あの老けメイク。 で、冒頭からありえない老けメイクでDVという無茶な設定のせいで台無しになっているため、その後のほとんどの部分は「駄」の字を念頭に見ることに。 30年代、戦後闇市、共に、美術面ではトホホ状態だ。これでは、コントの書き割りと大して変わらないではないか。そんなに金が無かったのか。金をかけられないなら、ないなりに、時代設定を損なわない工夫はできなかったのか。トホホ。 演技…とにかく大沢が浮いている。舞台と間違えているような大仰さ。常盤も、持ち前の雰囲気を壊してまでアバズレになりきれていない。出番が少ないせいか、役柄を理解していないように感じる。 最悪だったのは岡本綾で、単なる湿っぽくてうっとうしい女で終わってしまった。生気が無い。生気が無いので、自らを抹殺するという行動に出てもそれほど意外性が感じられない。 この話はファンタジーなわけだけども、最初に言ったように、「ファンタジー」が「男に都合のいい方にだけ働く」のである。どういうことやねん。 別の男のタネによる長男が死んで、二号さんの子供が産まれなくなって、または近親相姦だった不倫相手がもともと存在しなかったことになって、佐吉親子は何か損をしただろうか。悲しかっただって?それどころか女たちは決定的なダメージを受けているというのに? あああああ、もうやんなっちゃうけど、男にだけ都合のいいファンタジーを公共の場でセンチメンタルに語るのはやめてもらいたい。とっくの昔に日本の女子はそれに同情するほどウブではなくなったのじゃ。 【パブロン中毒】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2007-11-25 17:53:45) (良:2票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 これほど手間がかかった映画もなかった。まずテレビ放映のカット版で見て腑に落ちず、図書館で原作を借りてきて読んでも一向に解決せず、最後に今日レンタルで借りてきて完全版を見たわけだが。 結局理解できたのは、映画が駄目だったのはすべて原作のせい、原作の意味不明、理不尽さがそのまま映画に残ってしまっただけの話。結局最後に残った最大の謎は、なぜこんな小説が映画化されるほどヒットしたかということにつきる。 主人公と父親の話は、とりわけ感動するほどでもないが、貶すほどでもない。一方的に嫌っていた父親と過去に出会うことによって父親の人間性や子供に対する思いに触れる。まあ新味には乏しいけどある種の感慨はあるでしょう。(ただ、他人の子供を妊娠した女性と結婚し、生まれた子供を愛情を持って育てるなんて、手垢が付きまくった流れで読者の感動をよべると考えるならば、浅田さんもそんな程度の小説家だったと、かなり落胆を感じる。それから人物設定、他にどんな美点があるにせよ、やたら女、子供に暴力をふるう人間に魅力を感じろと言われても。不倫することに全く後ろめたさを感じてないなんて点でそっくりな親子も嫌だな。) しかし、なんと言っても納得できないのが、他の多くの皆さんと同様ヒロインの行動と、ここまで書いて突然気がついてしまった。要は、近親相姦の恋愛に苦しむこと、あるいは近親相姦してしまった苦しみから主人公を完全に救うために、自分の存在を最初から完全に消すことを選んだのか。だから罪と罰ね。ただ、なんか生臭い話だし、自分の存在が引き起こす苦しみから救えばそれで幸せっていうのもちょっと。何よりも、ヒロインが自分の存在を根本から消し、ヒロインの母親が子供を産み育てる幸せを完全に奪われたわりには、結局ヒロインの記憶を徐々に無くしていった主人公は、実質的には何も失わない。なにかぼんやりした温かみを持ちながら平凡な人生を営むだけ。ほんと、どなたかが書かれたように、男性に都合のいい話ですね。 本当にたった今、この映画を理解できたわけだけれど、それで嬉しいとも全然思わない。二、三度映画を見直した時間。原作を読んだ時間。本当に無駄な時間を費やしてしまった。 【rhforever】さん [DVD(邦画)] 2点(2013-02-14 00:09:45) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 『三丁目の夕日』辺りから昭和ノスタルジーの流れが目に付く。 この作品も昭和の風情がたっぷり。 真次がタイムスリップで、嫌って縁を切った親父の若い頃に出会う。 その交流の中で親父の知らなかった面を見て、親父への見方が変わっていく。 かなり都合よく頻繁にタイムスリップで時代を行き来するなど、細かくみればおかしなところは幾つもある。 でも、それはファンタジーなので百歩譲ってサラリと流そう。 ただ、みちこのエピソードや佐吉のキャラにはついていけない。 長男を亡くして悲嘆にくれた佐吉が、その直後にお時のおなかをさすって目を輝かせている。 そんなにすぐに子供を亡くした感情が切れ替えられるのか? 不倫関係にあった真次とみちこは、実は異母兄弟だったということが判明。 その後、みちこがお時を階段から落として、おなかにいた自分自身を殺す。 これがまったく理解できない。 愛する真次のためには自分は生まれてこなければよかったってこと? だったら、生まれてくることを喜んでたお時と佐吉はどうなる? そして、その姿を見てみちこが流した感動の涙はいったいなんだったのか? 前後の流れが違っているので、いきなり逆噴射を食らったよう。 より悲劇的に、よりドラマティックにしようとして、意味不明なことになっている。 【飛鳥】さん [映画館(邦画)] 4点(2013-01-06 01:13:09) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 評価が芳しくないのも納得。タイムスリップはルール無用だし、時代設定も変。そして何より岡本が最後に取った行動の酷いこと。「人生を無しにしたいから、今のうちにあなた死んで」未来の自分にそう言われて納得する人はいない。お前が経験した楽しいことも嬉しいことも私には経験させない気?死にたきゃ、勝手に死んでくれと思う。それに父や母の気持ちはどうなるの。正直ガッカリしました。ただ、そんな作品を面白く解釈するのが自分の趣味。誤読の場合はご容赦ください。堤が体験した一連のファンタジーは、彼の恩師との出会いを起点終点としています。この老人が全ての鍵。彼の背景を推測することで、見えてくるものがありました。冒頭、堤とのやり取りを思い出してみましょう。教え子をよく覚えている先生はいます。でも彼の記憶の確かさは尋常じゃない。堤の旧姓のみならず、現在の姓まで知っていた。それに堤の兄の命日に想うところがある様子。老人は長谷部家に相当執着している。次に大沢。千人針をくれた娘とのささやかな幸せを願っていた彼が、家庭を顧みなくなったのは何故か。終戦後の荒廃が彼を変えたのでしょうか。でも闇市でバーを営んでいた頃と、その後とではまるで別人。大沢の中で決定的な何かが崩れたとしか思えない。そこで思い当たったのが母の告白でした。もともと彼女が好いていたのは大沢ではなく、書生だったという事実…。長男の父親は、大沢ではないと仮定してみます。この時代にはよくある話。そう考えると納得がいく。大沢が変わってしまった理由も、長男の死に涙を流さなかった訳も。ここまで来れば、行き着く答えは一つ。長男の本当の父親は書生。後に堤の恩師になる男。妻になるはずの女を奪われ、さらに息子まで殺されてしまった。そう彼は考えたのではないか。復讐のために堤と岡本を利用した。実の子を失う痛みを大沢にも与えてやった。彼らの間にどのような経緯がったのかは分かりません。でもみんな生きるために必死だったのだと思う。そういう時代でした。だからこそ、この復讐は惨過ぎると思う。書生よりも、母よりも、大沢と常盤に同情します。ちなみに末っ子も大沢の子じゃない気がする。ますます悲惨です。面白く解釈しようとしたら、もっと気分が悪くなってしまいました。失敗。いずれにしても、感動とは程遠いお話だと思います。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 4点(2008-03-06 18:52:34) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 地下鉄と書いてメトロと読ませるのですか。 読めません。話はけっこう面白かったけど、でもご都合主義の塊。 地下鉄に乗った時だけタイムトリップするのかと思ったらそうでもない。 自宅からや愛人宅で寝ただけで飛んでた。 じゃぁなんで地下鉄なんだ。 原作を読めばわかるのだろうか。 しかしこの終わり方はすっきりしない。 これはタイムトラベル物のタブーだろう。 愛人は実は妹だったわけ?(母親違うけど)。 それって近親相姦? いけないとは言わない。 知らなかったわけだし。 この映画での現代っていったいいつなんだろう。 主人公が1964年、東京オリンピックの年に中学生だったということは少なくとも13歳だったわけで、現代が2006年だったりしたら55歳か。 ちょっと年取りすぎだよな。 不倫相手の子も1965年生まれってことで41歳。 ありえない。 少なくともそれより15年くらいは前だろうか。 すると1991年か。 でもその頃ってまだ携帯電話は普及してなかった。 だいたいあんなに小さくない。どうも考証に問題あり。 ストーリーだけではなく設定もご都合主義でしたか。 親が子を思う気持ち、なんていうのはあんな風に説明するようなものじゃないなと思う。 子に親の気持ちは理解できないよ。 その子が親になって初めて感じることができるんだ。 自分の子に対する愛情を通して自分の親のことを想像できるだけだ。 あくまで想像。 本当の気持ちなんてわからない。 だけど、泣ける。 恐らく映画のストーリーそのものに泣いてるのではなくて自分の想いと重なっているのだろう。常盤貴子は相変わらずの演技。 格別下手ではないが、変わり映えしない。 くせが強すぎる。 岡本綾は普通の感じで良かった。 6点というのはちょっと甘すぎるかな。 でもたくさん文句は書いたけど冒頭にも書いたとおりけっこう面白かった。 【称えよ鉄兜】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-08-26 15:40:19) (良:1票) |