《改行表示》 11.《ネタバレ》 名匠トニー・スコットの勇猛果敢な手腕の光る一本。冒頭の船爆発に至るシークエンスからして迫力あって掴みは万全。鍵を握る女の水死体や留守電に残された自身の声といった謎要素は一級のクライム・サスペンス展開を予想させ、ぞくぞくします。 ところが、トニー・スコットのタクトは凡百が予想する「D・ワシントン探偵のサスペンスフルドラマ」という構図を振り切り、突如SFタッチな‶AI過去モニタリング”をぶち込み、勢いに乗ってタイムマシン(!)にデンゼルを送り込むというおよそ予測不可能な力技を披露するのでした。いや監督アンタ凄いよ。 一言でいえば「荒唐無稽」で余すところなく表現可能なのですが、そんなつっこみは野暮に感じられるほどに監督は自信にあふれ堂々と揺ぎ無くタイムワープで話を完結させました。 「どうだい面白いだろう?あの4日前とのカーチェイスは自信作でね」と熱く語られているような、創作魂がごうごうと燃えさかっている本作。SFよりもサスペンスの方が好きな客(=わたし)にも、とても面白かったです。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-05-16 23:10:40) (良:2票) |
10.なぜ「2回目」だったのか。主観であるし、多分だが、1回目のタイムトラベルにおいて、デンゼルは事件を未然に防ぐことに失敗しているはずなのである。アクションもさることながら、タイムトラベルを扱ったシーンでのセリフ「2回目だろ?」ここが全ての焦点である。残念ながら100%の謎解きを脚本上はしていないが、実はとても深い、気付きにくい謎(遊び心)を秘めた、謎解きとしては最高クラスの作品である。ことの成り行きをもう1度確認したいと思うタイムスパイラルムービーは多々あるが、これほど深いものはないだろう。意味のわからない人はもう1度見て欲しい。これはただ単に未来からヒーローが登場する映画ではない。秀作。 【Andrej】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-12-10 04:28:59) (良:2票) |
9.やはりトニー・スコットのサスペンスは凄い。それそれが長くても数秒に満たないシーンを重ね合わせる職人芸。主観カットもあれば、超望遠レンズで狙撃手や放送映像のようなのような視点も組み合わせ、グイグイと作品に引きずりこんでいく。それゆえヒロインとの心のやり取りの切ないシーンもかえって際立つ。BGMも実に効果的だ。タイムリミットや追跡シーンは秒針を刻むごとく、ヒロインとは兄の作品「ブレードランナー」のデッガードとレイチェルに流れるような切ないメロディで実にわかりやすい。この「わかりやすい」というのはとても重要だ。これがあるから観客は戸惑うことなくもっと深い心情にまでたどり着けるのだ。タイムマシーンという荒唐無稽な発想も彼だからこそここまで仕上げられたのだ。考えれば考えるほどトニーの死は残念でならない。 【やしき】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-12-07 13:31:11) (良:1票) |
《改行表示》 8.《ネタバレ》 高揚感を覚えながら、この映画を観終えて、二つの「悔恨」を感じずにはいられなかった。 一つは、これほど映画的なエンターテイメント性に溢れた秀作を今の今まで鑑賞できていなかったこと。 そしてもう一つは、今作を描き出したトニー・スコットという映画監督の新作をもう観ることが出来ないということだ。 タイトルが指し示すもの以上に、ストーリーそのものは荒唐無稽であり得ない。下手をすれば相当に陳腐な映画に成り下がっていてもおかしくはないだろう。 でもこの映画は、与えられたすべての要素を最大限まで高め、上質で忘れ難い娯楽映画に仕上がっている。 これぞ長年に渡りハリウッドのエンターテイメントを牽引してきたトニー・スコットの真骨頂だと思えた。 悲劇的な爆破事件において、主人公は一人の女性の亡骸と“出逢う”。 その瞬間、妙な既視感と共に確実に生まれた恋心。この映画のすべては、この時の主人公の感情に端を発する。 即ちこれは紛れもない“ラブ・ストーリー”であり、まだ見ぬ自分が愛した人を、道理も常識もぶっ飛ばして「死」という事実から救い出そうとする破天荒なエンターテイメントだ。 無理もあるし、矛盾もあろう。けれど、そんなことはどうでも良いと心から思わせる映画としての「面白味」に溢れている。 「死体」としての姿がファーストカットとなるヒロインが、主人公に恋心を抱かせたシーンに、観客が「納得」した時点でこの映画の成功は約束されたとも言える。 そういう意味では、殆ど無名のポーラ・パットンという女優を抜擢し、彼女の魅力を引き出したことも、監督のファインプレーだったと思う。 そして、全編通して心理も言動もフル回転を余儀なくされる主人公をデンゼル・ワシントンがドスンと安定感たっぷりに演じている。これも中途半端な俳優が演じていたら、ただただ落ち着きの無いキャラクターになっていたことだろう。 レンタルショップにて、それこそデジャヴを感じる程に何度も何度もこの映画のパッケージを手に取っては、結局棚に戻し続けていた記憶が思い起こされる。 その時の自分に「さっさと観ろ!」とメモでも送ってやりたい。 最後に、愛すべき娯楽映画を生み出し続けたトニー・スコット監督の冥福を祈る。 【鉄腕麗人】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-07 14:26:25) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 4日6時間前の世界を再現できる装置、しかも、その世界へ物質転送可。この荒唐無稽なアイディア、邦画ならコメディを絡めないではやれないでしょう、照れくさくて。これを直球勝負で、大金使って撮ってしまう。ワタシ、邦画びいきなんですけど、やっぱりアメリカ映画界はすごいと思う。面白かったですよ。もう一度みたい。 【なたね】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-07-21 17:55:49) (良:1票) |
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6.デンゼル・ワシントンの乗るタイムマシンの中に、もしも蝿が入っていたら、激しくデジャ・ヴ感のある筋書きになっていたことだろう。 【高橋幸二】さん [地上波(吹替)] 8点(2012-07-21 17:36:13) (笑:1票) |
5.《ネタバレ》 僕はこの作品をSFとサスペンスとアクションを盛り込んだラヴ・ストーリーだと思っている。ダグは初めて死体であるクレアに会ったときに既視感を感じるがそれは一目惚れと似たようなものだったのではないか。だからこそモニター越しの彼女に惹かれ、彼女がタイム・ウィンドウの向こう側で”生きている”ことを知ったときにあそこまで感情的になり最終的には命がけで向こう側に飛び込んだのではないか。爆発を止めるのではなく、クレアを助け出すことが事件を未然に防ぐことになるという発想がダグという人間を表している。脚本だけではわからない部分のキャラクターの肉付けをエモーショナルに繊細に表現したデンゼルの演技は本当に素晴らしい。ヴァル・キルマー、エルデン・ヘンソン、アダム・ゴールドバーグも好演しておりこのような娯楽作の中でも演技が確実に活きている。またこの作品の見所であるタイムリミットのある緊迫感に満ちたアクションも迫力十分。盛り上げ方、見せ方が非常にうまい。中でも過去と現在のカーチェイスは秀逸だ。ロマンス面で流れるとてもムーディな曲をはじめ音楽も非常に良かった。 【サムサッカー・サム】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-03-22 21:22:47) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 タイムパラドックス・タイムマシーンモノに矛盾ばかり突こうとしなければ、本当に面白い作品です。最後にデンゼルが生きていたという展開も、この矛盾をOKと思えれば素直に「良かった」と思えます。中盤までに蒔いておいた謎を、タイムマシーンで過去にたどり着く事で解消していく見せ方も非常に面白いです。単純にデンゼルが身体を張ったトニー・スコットのアクション映画として観たら、展開にグイグイ引き込まれるし間違いなく傑作だと思います。車のシーンで、左のゴーグル内に4日前、右目で現在を観ながら運転するってシーン、俺だったら絶対に脳内分裂してゲロしそうです(>_<)ただ犯人の犯行動機の方がよく分からなかったかな? 【まさかずきゅーぶりっく】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-11-19 11:59:18) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 前半はテロの犯人を見つけ出すといった犯罪サスペンスで後半はタイムスリップして過去を変えようとするSFものになってます。 前半からダグの痕跡があちこちにあったことからダグが過去に戻ることは必然だったことになりますね。一度目?はクレアを助ける事もテロを止めることも出来なかった訳で、死体袋からダグの着信音が鳴るシーンで、もし中を見ていたらそれはダグ自身であったかもしれないです。 若干腑に落ちない部分もありますが、ストーリー的には面白かったです。 【nishiken】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-05-02 10:51:56) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 【予備知識一切なしで見るべき映画なので、未見の方がレビューを読まれる際にはご注意を】ブラッカイマー&トニー・スコット&デンゼル・ワシントンとくれば「いつもの無難なアクション大作だろ」と思いきや、史上空前のとんでもない仕掛けがぶち込まれた異様な映画となっていました。タイムスリップを題材としたSF映画は数あれど、アクション映画のメインアイテムとして大真面目にタイムマシンを登場させる大胆不敵さには驚きました。誰も思いつかなかったこの一発芸は、実に巧みな脚本と卓越した演出センスによって、映画として十分成立するレベルにまで到達しています。多くのヒット作の脚本を手がけてきたテリー・ロッシオは、このすさまじい題材がどうすれば観客に受け入れられるかを見事に計算してきます。いきなり「これはタイムマシンです」と言うのではなく、デンゼル・ワシントンが謎のマシンの正体を暴くという展開を入れることで説得力をぐっと増しているのです。また、トニー・スコットのハイテク描写の巧みさにも舌を巻きます。「好きな場所に入り込んで過去を覗き見ることができるが、膨大な情報処理には4日を要するため常に4日前の映像しか見ることができず、しかも一度に見られるのは一つのアングルだけで巻き戻しはできない」という煩雑な基本設定を観客に受け入れさせるというウルトラCに挑み、言葉と視覚を交えることで見事それに成功しているのです。装置がタイムマシンであることが暴かれる一連の描写も、脚本レベルの驚きのみに留まらず映像的な面白みも十分。右目で現在を、左目で過去を見ながらのカーチェイスという荒唐無稽な見せ場では、知的な面白さと映像的な興奮でテンション上がりっぱなし。ここまで煩雑な設定を映像で饒舌に語れる監督は他にいないでしょう。確かに細かいアラはいくつか目に入ります。タイムパラドックスの処理に矛盾があったり(爆発した救急車や血のタオルのくだりは時系列上明らかに矛盾が…)、犯人の扱いがやたら適当だったり(目的が最後まで不明、人物像も適当、爆弾魔なのになんでマシンガン持ってんだ…)、ヒロインがデンゼルを受け入れる過程の葛藤が単純だったり。こうした細部の甘さにより傑作となる詰めを外しているような気もしますが、このとんでもないアイデアを実行し、成功させたこと自体を評価しようではありませんか。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-04-03 12:49:42) (良:1票) |
1.(ネタバレなしで書きます。なお予備知識は無いほうが、間違いなく楽しめます。公式サイトもテレビCMも、ネタバレしていると思います。注意して書いたつもりですが、自分の書き込みも読まずに映画館に足を運ばれることをオススメします。)まずとんでもない設定に惹きつけられます。簡単に以下説明。複数の衛星を駆使した、凄い監視システムがある。ただし衛星から送られてくるデータが膨大過ぎて、処理に4日かかる。ゆえにリアルタイムでは画像を見られず、4日前の画像しか見られない。でもこのシステムが凄いのは、監視エリア内であれば何処でも瞬時に視点を移動し、アングルを自在に変えられ、室内も見通せるということ。しかも音声つき。例えるなら“4日前のあるエリア内に、瞬間移動のできる透明監視カメラがある”ようなもの。ただしカメラは一台しかいないので、何処にカメラを向けるか指示しなくてはならない。そして過ぎ去った場面を別アングルで見直すことは“不可”。超ハイテクシステムなのに、有効活用するには人間の勘が必要。このシステムを使って、爆破テロの犯人探しをするのが主人公の役目です。つまり4日前“犯人が立ち回ったであろう場所を推理”するのです。「このシステムすげえなあ」と「犯人は特定できるのか?」で自分の頭はいっぱい。と、ここまでは序の口です。ここからの怒涛の展開が本作の見せ場です。結構荒っぽい。でも観客に考える隙を与えず、力ずくでストーリーに引き込みます。手に汗を握り画面に釘付け。そして最後には「なるほど」と膝を打ちました。伏線の張り方もお見事ですが、多少粗くても勢いで“魅せる”作品だと思います。余韻は絶品です。先に述べたように、公式サイトもパンフレットも視野を狭めてしまうので、鑑賞後の楽しみにとっておいてください。 【目隠シスト】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-03-19 18:21:40) (良:1票) |