12.これは反戦映画ではない。むしろ、その対極を指向するバイオレンス映画だ。 どのように否定してみたところで、暴力は、人間の関係性の中に、確実に、恒常的に存在する。ペキンパーはそのことを認識しているから、虚飾的な戦闘場面は撮らない。戦場本来の、ありのままの凄惨、ありのままのグロテスク、ありのままの滑稽、そしてありのままの美を描く。 それにしても、ジェームズ・コバーンはカッコ良すぎる。ラストシーンのあの哄笑を覚えているかい? ―― 男として生まれた以上、一度はああいうふうに笑ってみたいものだ。でも、たぶん、それは無理。
追記1 化石時代の話であるが。。。。。 何という映画雑誌だったか忘れたが、サム・ペキンパーが前代未聞の戦争映画を撮っているという記事が特集された。『ワイルドバンチ』以来の Bloody Sam 崇拝者である私は、心が震えた。 この特集には監督自身のインタビュー記事が掲載されていて、その中で、劇作家であり、人類学者でもあるロバート・アードレイの著作に、最近の自分は影響を受けていると語っていた。そこで私も、この映画の封切を待つあいだ、アードレイを一冊読んでみた。おもしろかった。本の題名は、『アフリカ創世記 ― 殺戮と闘争の人類史』。
追記2 『戦争のはらわた』という邦題は、実に「言い得て妙」である。皆さま方には評判が悪いようだが、私は好きだ。 【火蛾】さん [映画館(字幕)] 10点(2015-12-06 11:11:21) (良:1票) |
11.物凄い映画だ
【pillows】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-04-19 03:17:44) |
10.もう既に何回見ただろうか・・・ ペキンパー監督の「滅亡への美学」とでも言おうか・・・
考え方は、ワイルドバンチを第二次大戦に置き換えれば判るかもしれない。
ただ、なんとなくシュタイナーは永遠に行き続けそうなくらい、生き方が静かに燃えている気がした・・・ 【ほ~り~ぐれいる】さん [レーザーディスク(字幕)] 10点(2010-10-29 12:44:23) |
9.ラストがとても印象的でした。 【frhun】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2008-04-09 10:59:53) |
8.死線をくぐり抜けて来た者は常に自分の身を危険にさらし争いに身を投じなければ生きている心地がしないのだろうか。兵士に戦争の大義など必要無い。ただ前にいる”敵”を撃ち倒し続けることでしか己が道を切り開く手段が無い。それほど自分の心情を極限までに昇華して大量殺人者を生産する戦争とはあるべきものではないと思う。ここに描かれているものこそ真の”修羅の道”ではないだろうか。私はこのレビューの全ての行に”無い”もしくは”ない”をつけている。これほど戦争に対して”無”を唱えている作品は無いと思っているから 【tetsu78】さん 10点(2004-06-04 20:43:47) |
7.邦題はぬきとして、この映画はやっぱりすごいものがあると思う。なんか血なまぐさいし、みんな壊れてるし。だけども、スローモーションを大胆に使った美しくも残酷な映像は一見の価値ありです。 【あつお】さん 10点(2003-12-31 10:49:58) |
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6.ここのレビューを見て、レンタルビデオで初めて観ました。すんごい 作品です。コバーンが軍曹という設定がいい。リー・マービンと双璧。 それと小隊のメンバーがいい。体臭と硝煙の匂いがしてきそうな連中 達。なにしろ垢が溜まりすぎて防水仕様になっているという歴戦の つわものです。また捕虜のロシア少年兵が可愛い。未だ声変わりも してない子供。小道具のハーモニカ。やはり戦場にはハーモニカでしょ 。こういう現場の丁寧な描写があとで効いてきます。 捕虜という選択さえ存在しない地獄の東部戦線で、苦難の末敵中 突破し帰還した末に待っていたものは・・あのホモの将校に短機関銃 を腰だめでぶち込むのに、一瞬間を置いたところが、カタルシスを 高めました。でもなぜマイヤー中尉をぶち殺さない?!あのフランスで 楽をこいてアビニョンの橋でなんて歌っている俗物になぜ怒りの銃弾を ぶち込まないんだ!と思ったらラストシーンでもっと酷薄な状況が 用意されていました。リロードはどうするんだ?リロード?ハハハ みたいな。この映画を観たら敵味方みたいな二元的な捕らえ方の 他の戦争映画が薄っぺらく感じてしまいます。 【iris】さん 10点(2003-11-07 11:37:08) (良:1票) |
5.男の生き様死に様を描かせたら比類なき映画作家であるペキンパーの第2次世界大戦を舞台とした戦場映画。「プラトーン」のレビューでも書いたが、実際のところ「プラトーン」も戦場映画なら、「ワイルドバンチ」も戦場映画なのだ。戦場映画とは、戦場という状況そのものを描くものではなく、戦場という<不条理な>状況の中で人がどう生き死んでいったかを描くべきものであり、そこに描かれるリアリティとは、狂気のリアリティとでもいうべきものである。そういう意味において、「戦争のはらわた」は、凡百の大戦映画とは一線を画す、まさにペキンパー色に染められた大戦時のワイルドバンチなのである。戦闘の達人たるコバーンに影を落とす自らの生き様への冷徹な透視。そして彼は静かに狂気と正気の狭間へ足を踏み入れる。凡そ近代戦の似合わぬ個性を持ちながら、自ら狂わんばかりに進まざるをえないのは、己の性(さが)なんだと。戦場に真実などありはしない。ただ己の生き様への信があるのみ。頑強たる男を描きながらも、つねに時代遅れの哀しさを漂わせるその節回しにはいつもながら胸を打たれる。 【onomichi】さん 10点(2003-10-17 00:32:19) (良:1票) |
4.男ペキンパーは東部戦線を選ぶ。暗く不気味で無慈悲なロシアの大地を選ぶ。泥沼の独ソ戦を選ぶ。そこで表出する人間の凶暴さを選ぶ。決して西部戦線ではないのだなぁ。戦争ドラマ・ナンバーワン! 【モートルの玉】さん 10点(2003-06-18 04:37:54) |
3.ドイツ軍なのに米軍っぽいのりがとても気になるが、問題なくおもしろいし、古さを感じない不朽の名作。邦題が最悪だが、偏見を取り払って見るべき。赤軍がゴミ同然に死んでいく様は見ていて爽快。スタイナーの男臭さが最高。 【aaa】さん 10点(2003-04-18 18:20:46) |
2.ちゃんとDVD化されてるよ。バンダイビジュアルから4800円。LDも持ってたけど、DVDは劇場公開時のオリジナルバージョン・完全版で、ラストがちょいと違う。 【小判】さん 10点(2003-04-05 17:55:03) |
1.独ソ戦というのが泣ける。戦車とか銃、小道具もおろそかにせず、悲惨、不条理、醜さ、それと対比される男の美学。そして最後の暗示。戦争モノではベストでしょう。コレに比べればプラトーンは、まだ感傷的過ぎます。 【三十郎】さん 10点(2002-06-25 19:22:00) (良:1票) |