7.《ネタバレ》 「レクター博士がバイクに乗って平原を疾走する」。本作について自分が持っていた知識はこの程度。でも鑑賞する動機には十分でした。風を切る爺さんの画が途方も無く魅力的に思えたから。ひとつのシチュエーション、一枚の画によってイマジネーションが広がりました。そういう空気を持っている映画は好きです。自分の夢を叶えるために、長旅を決める主人公。その決断までに劇中で要した時間は僅かです。しかし長い歳月、ずっと心に思い続けてきた夢。だから即断出来た。残された時間は長くない。今行動しなくては、夢は夢のまま終わってしまう。主人公の強い意志が伝わってきます。その決断には納得できました。彼と同じ境遇なら、誰もが同じような気持ちになると思います。でもほとんどの人は、現実の行動には至らないとも思います。失うものは目に見えるのに、得るものは定かではないから。勝ち目の薄い戦いに挑むのは、若者の専売特許だから。酸いも甘いも噛分けた老人が、自らの夢をまだ追える。それだけで元気が貰えます。羨ましいと思う。もっとも、残された時間の重みを知る老人だからこそ、決断できたのかもしれません。一歩間違えば死が待っている危険なレースに命を懸けられる理由も同じ。納得できる時間を使いたい。なるべく後悔が無いように。そういう時間を多く持てた人の人生は、きっと素晴らしい。良い結果が得られた人はベリーハッピー。そうでない人もハッピー。ですから、記録を塗り替えたこと以上に、あの場所までたどり着けたことに感動します。レースに参加できたことを喜びたい。沢山の良い出会い無くして、彼はあの場所に辿り着けなかった。インディアンに乗ることは叶わなかった。彼は人に恵まれました。半分は運です。でも、もう半分は彼の人徳ゆえ。主人公の人柄が幸運を呼び込んだのだと思います。人は一人で生きているのではない。多くの人の支えで生かされている。活かされている。旅は人生を端的に表しています。だから自分はロードムービーが好きなのだと思う。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-09-25 18:41:10) (良:2票) |
6.これもやはり、ひとつの人生の応援歌と呼べるものではないだろうか。人間、何か一つの事に一生を賭けるという事など、誰にでもその機会はあっても、なかなか実行に移す事は難しいもの。それも世間の常識を覆すようなものであるならば、尚更である。情熱や経験だけでは達成することなど到底不可能な事。しかし、それを自らの人生の生きている証しとし、目的として、ついに夢を実現させた男の生きざまを描いたのが本作。歯を食いしばり、いかにも頑張っている風には見えない主人公。その颯爽とした立ち居振る舞いの清々しさ。それが持病持ちの老人とならば、尚更際立つ。その気概の持ち主を、A・ホプキンスが自身とダブらせ、孤高の人物に成り切って、実に気持ち良さそうに演じている。軽妙洒脱な面を見せながら、人間味を滲ませていくという、彼の引き出しの多さには、今更ながら敬服する。幾つになっても夢を追い翔る少年のような気持ちを抱き続けられるのは、男の特権であろう。それを身をもって証明してくれているのだ。本作でとりわけ優れているのは、年老いてから旅に出て、様々な人々と出合うことで、一種のカルチャーショックを受けながらも、人の意見には素直に耳を傾け、人情の機微を感じていく彼を、単なる頑固一徹な老人といった画一的な人物としては描いていない点や、周囲の多くの暖かい眼差しが、彼の夢を実現させたという視点を巧みに描出できた事だろう。実話をベースにしているからこそ、一見すると奇想天外なストーリーにも、真実味が帯びてくるのであり、ポンコツ・バイクを引っ提げて、世界の名立たる強豪を相手に出し抜く姿には、もはや喝采を挙げるしかない。近年稀に見る、ロードムービー痛快篇の誕生である。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-07-29 17:11:52) (良:2票) |
5.「夢を追わないやつは野菜と同じだ」
耳も遠くて、前立腺が悪くて、狭心症もちの、そんなジイさんバートだが、何でも笑顔で吹き飛ばす、人生を心から楽しんでいる。 わずかな年金収入で、20年代のオールドバイクに改造に改造を重ね、いつか世界最高速度を出すという夢に向かって、全く老いをいいわけにせず、「心はいつだって18歳だ」
とにかく、そんな彼がたまらなくカッコイイ。
本当に少年のような彼に周りは振り回されるが、最終的にはみんな彼を大好きになる。
改造にかけられる金は僅かなので、日用品をバイクのパーツに代替している、超ハンドメイドバイク。ブレーキもない。
彼の夢であった大塩原を見渡している時の表情に、胸が熱くなった。
映画として特筆すべきところは、全体的な映像の美しさもあるのだが、何よりレース中の画面から伝わってくるスピード感!!凄いです。
この作品を作った監督は、主役の元となった実在の人物バートのドキュメンタリーを制作しており、30年間この映画のアイディアを練っていたらしい。
アンソニー・ホプキンスのキャスティングはとにかく完璧で、本当に素晴らしい演技。誰もが感情移入できると思う。
人生の楽しみ方を忘れかけてしまっている人ほど、この映画の素晴らしさが身に染みるはず。久しぶりの個人的大ヒット映画です。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-07-18 09:31:58) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 惹きつける力を持ったシーンが数々ある。ニュージーランドの海岸で、バイク野郎どもをぶっちぎるシーン、出発する際にバイク野郎たちが応援にくるシーン、中古屋がバーとをなんて天才だというシーン…。 途中、ロードムービーっぽくなるが、モーテルやら砂漠っぽい野原やら、まっすぐな道路、塩原、ガラガラヘビなどアメリカの風景が出てくる。映像だけでも楽しめた。 ネバダの一般車道を走って警官に止められるシーンもセリフがしゃれていて、面白い。「何キロ出してた?」「大体250キロぐらいかな」。ベトナム戦争の休暇兵士とともに、広告を読んでいくシーンや、スポーツマンオブザイヤーに選ばれ、バートが踊るシーンも感動的。最後のレースシーンの爽快さは言うまでもない。 アンソニーホプキンスの出演作は、ハンニバルで「気持ち悪い」という印象を得て以来、意図的に見るのを避けてきたが、今回、評価が高かったのでチャレンジしてトラウマを払しょくできた。彼のすごさがわかった。いい作品に出合えた。 【MARTEL1906】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-05-16 08:17:07) (良:1票) |
3.かっこいい。凄くかっこいい。夢を追い続ける生き様ってやつを魅せてもらいました。道中色んな人に出会うのですが噂どおり皆良い人。殆どの登場人物は出演シーンが少ないのですが出会った人それぞれと交わすちょっとしたドラマがなんだかあたたかい映画でした。展開的にもわりとご都合主義的な感じもあり、それらが合わないって人もいるでしょうが映画の中でぐらいこういう世界を味わいたいではありませんか。後味も最高に清々しい万人に進められる映画ですね。 【ケ66軍曹】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-05-04 04:41:03) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 みんな良い人ばっかりだったなあ・・・。悪い人間が1人も出てこない、ラストは観ている僕たちも含めてみんなが幸せになる。こんな映画が大好きです。バートじいさんを素敵に、魅力あふれる好人物に演じたアンソニー・ホプキンスが素晴らしかったです。彼の「脚が黒焦げだ」といいながらも充実感に満ちた表情が忘れられません。また、登場人物がみんな素朴な魅力にあふれ、鑑賞後は何ともいえない爽快感と共にとてもあたたかい気持ちに心地よく浸らせてもらいました。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-02-24 22:25:53) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 十分楽しめました。 「ストレートストーリー」「スペースカウボーイ」といった元気爺さん映画が大好きな私にとっては。 青年たちのバイクをぶち抜いていく前半のシーン、テストラン計測の車を置き去りにする後半シーン、どちらも見ていて快哉を叫びたくなる気持ちよさ。 男の子はいくつになっても、バカな夢を見ていたいものです。 はた迷惑でも。 【シグ】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-08-08 03:05:10) (良:1票) |