16.《ネタバレ》 「お父さんはお父さんを辞めようと思う。」予告編でもシンボル的に使われる、この衝撃的な台詞から物語は始まります。最初は違和感がありました。夫婦は辞められても、親子は辞められない。何言ってるんだろ?という感じ。さらに不思議だったのが家族の反応。怒るわけでも、悲しむわけでもない。かといって諦めてもいない。ただ受け入れています。その理由は後々明かされます。母の言葉が分かり易い。「父さんは父さんの立場に拘らず家族を見守り、私は家を離れたけれどみんなを愛している。」お父さんが辞めると言ったのは、一般的な父親キャラのことでした。それは長男や母親にも言えること。理想的な家族の姿では無いのかもしれません。でも居心地は悪くない。みんなが笑顔を見せることが出来ます。それで十分だと思いました。「君はみんなに守られている」と言った彼氏の言葉は正しい。誰もが支えられて生きている。見えるサポートもあれば、見えない助力もあるということ。それにしても、この家族はホントにいい人ばかり。それに真面目なのだと思う。だから追い込まれてしまうのでしょう。自己防衛の手段として、それぞれが身の振り方を考えた結果、お母さんは家を出て、お兄さんは進学ルートを離れ、お父さんはお父さんを辞めた。やがて主人公にも危機が訪れます。彼女史上、未曾有の大ピンチ。そんな時、彼女に避難場所を教えてくれたのが小林ヨシコでした。これはとっても有難いこと。他人の言葉だから素直に聞けることもあります。家族でも、恋人でも、趣味でもいい。自分の緊急避難場所を確保しておくことは重要です。それこそ生死にかかわる。いつも不機嫌そうで手先が不器用な女は、この家族にとっても救いの女神でした。ラスト、お父さんはやっぱりお父さんを続けると言います。お兄さんは真剣に彼女と向き合い、お母さんは家に戻ってきます。みんな避難場所から帰ってきました。歩く力を取り戻したら、また歩き出せばいい。主人公も前を向いて歩き出せました。もっとも、実際はこんなに上手くいかないと思います。キレイにまとめ過ぎです。でもそれは本作の優しさだと思いました。人生は長い。危機は必ずあります。そんな時、この映画はきっとヒントをくれる。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-11-07 18:21:10) (良:2票) |
15.終盤、娘が父親に投げかける厳しい言葉を、その場で流して欲しくなかった。抑揚のない演技が続くなか、大浦くんがいいアクセントになっている。 【noji】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2013-09-17 23:42:37) (良:1票) |
14.《ネタバレ》 逆説的だけど、自ら「父親を辞める」と宣言するところがこの父親の思慮と優しさで、無言で破綻してゆく家庭よりはよほどマシだと思う。母親も同様で、家を出て暮らしているけれど、家族のことは常に気遣っていました。この映画が希望を醸し出しているのは、主人公の精神がとても健康的だからでしょう。恋人の死は少女の中に消えることのない傷を残したと思うけれど、彼女の心には折れない芯がある。その健全な強さは、身近な絆によって育まれたのだと感じました。今作の家族形態はそのことを際立たせるための演出とも思う。北乃きいは良いですね。美人過ぎず、一見とても平凡に見えるところがこの映画のテーマにジャストフィットしていました。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-11-25 01:49:52) (良:1票) |
《改行表示》 13.《ネタバレ》 平凡じゃない一家の、平凡な日常をスケッチしたような映画でした。中原家の人たちはバラバラなようでいて、肝心なところでは強い絆で結ばれている。ただ、お互いをあまり束縛しないだけ。 だから、大事な末娘が大きな心の傷を負ったら、娘のためにみんなでふたたび集まるのです。そのきっかけが「人の死」というのは、わかりやすいけど裏を返せば安易。この辺をひとひねりしてほしかった。 あと、最後に歌が流れる場面は、モロに宣伝のようで好ましくないです。あれでいくばくかのお金が入るのかもしれませんが、映画の流れとしては唐突だし、曲も内容に合っているとは思えません。 とはいえ、淡々としていながらも引き込まれる魅力を持った映画。きっと、主役二人の貢献が大きいと思います。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-10-13 19:31:11) (良:1票) |
12.《ネタバレ》 ここでの評価が高かったので見てみましたが、ほのぼのとしてすごく癒されました。若い頃の純な恋愛っていいですね。確かに、家族の絆を描いたにしろ、高校生の恋愛を描いたにしろどちらも中途半端で、家族の崩壊と再生がテーマであるならある意味では失敗作であるかもしれません。中原家もそんなに壊れているように見えないし。でもまあこれはこれでいいんじゃないんでしょうか。いい人ばかりの登場人物の中で、さくらは異質な存在でしたが、重要な役割を演じていましたね。彼女はこの頃からそれまでの可愛こちゃんキャラから転換していったのでしょうか。ちょっと不謹慎ではありますけど、ここの評の中で誰かが大浦君が早いタイミングで突然死んでしまうとか書かれていたので、いつ死ぬのか、いつ死ぬのか、ドキドキしながら見てしまいました。 【キムリン】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-10-11 21:14:27) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 「父さんは今日で父さんをやめようと思う」というセリフに興味を持ち鑑賞しました。家族中心の物語を期待していたのですが、前半の2人のシーンがベタすぎて、そこで一気に冷めてしまいました。最終的には家族の話になるのですが、やはり前半の恋愛のシーンは抑えめにして、もう少し家族同士のシーンをメインにしてほしかった。北野きいの演技自体は良かったし、ラストシーンも良かった。映画と合うようにわざわざレコーディングし直したという「くるみ」も映画とリンクしていて良かったです。 【N.Y.L.L】さん [DVD(邦画)] 4点(2008-09-09 22:10:45) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 不思議な映画でした。地味なストーリーですが独特な世界観で、見ているうちにいつしか物語にひきこまれます。北乃きいが、とてもよいです。どちらかというと、前半が好きです。ラストの長回しは、僕は飽きちゃいました。 【コウモリ】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-08-21 11:21:53) (良:1票) |
《改行表示》 9.《ネタバレ》 恋人が不慮の事故で亡くなるという悲劇を含みながら、なかなかうまくまとまった良い話だと思います。 恋人の死というものを事実として受け止めながら、過去を自分の中での綺麗な想い出として残し、その後の人生を生きていく。 出会いというものがそこにあれば、やがて別離というものが必ずやってきます。 その時、人は死というものにどう向き合っていけばいいのか。 そのヒントがこの作品には込められていると思います。 忘れるのではなく、心の奥底にかけがえのない記憶として残しながら、今の人生を精一杯生きて、前へ進んでいく。 ただ単に哀しい話で終わらせず、こういったメッセージを観る者に残した本作は、なかなかの作品なんじゃないでしょうか。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-06-08 23:16:51) (良:1票) |
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《改行表示》 8.《ネタバレ》 あの二人が爽やかすぎる。 「この映画とは別に、もう一本映画をつくってもいいのでは?」 と思えるほどの雰囲気を作っています。それだけに、あの後半の展開は…悪いとは言いませんが、僕的に望ましい展開ではありませんでした。まさに約束された幸福が悪夢への凄まじい転落。が、こうすることで家族についてのテーマを掘り下げて行く流れを作ったのは、見事だとは思います。 【ふくちゃん】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-04-06 20:03:42) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 原作読んでないんですけど、きっと原作の方が面白いんだろうな~と思いながら観ました。「お父さんを辞める」発言も、活字として読むと違和感ないと思うんだけど、生身の役者が声に出して言うと、かなり異様。彼氏が死ぬのもいささか唐突で、無理矢理な感じがした。無論、そこから物語が結末に向けて動いていくんだけど、何というか、彼は死ぬ必要がなかったような。物語的には必要なのかもしれないけど、作為的な臭いがしてちょっと受けつけなかった。ただ、ラスト、歩き続ける北乃きいの姿は良かったです。 【フライボーイ】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-03-07 00:06:05) (良:1票) |
《改行表示》 6.《ネタバレ》 「恋人も友達も何とかなる。努力しだいでさ。」という小林ヨシコの台詞が、この映画の全てを物語っている。いや、確かにそれが堪えきれないほどつらい人もいるだろう。でも、それは長続きはしない。しかし、家族を失っては取り返しがつかない。この映画は、淡々とした描写の中にも、そのテーマを色濃く浮かび上がらせられた点が素晴らしい。 ストーリー上、確かに大浦くんを死なせる必要は無い。それによって、何か劇的な変化がこの家族に起きたわけではない。彼の死と家族の再生はトレードオフの関係には無い。だが、周囲の優しさをあぶりだすためには、彼の死は非常に効果的に扱われている。冒頭に書いたヨシコの台詞も生まれないし、佐和子が父にぶつける叫びも出てこない。また、大浦くんは家族に恵まれない(?)佐和子にとって、大きな支えになっていた。大浦くんのちょっと場違いな台詞「君はみんなに守られている」は彼の死によって、皮肉にも大きなリアリティを持つこととなった。支えが一つ消えたときには、別の何かが支えになる。人生とはそういうものだし、そうでないとみんな自殺してしまうと思う。 キャストの話になるが、何と言っても良かったのは大浦くん。ちょっと間違えるとすべりがちで難しいキャラクターだと思うが、嫌味無く演じきれていたと思う。佐和子も良かった。笑顔が特に良かった。 最後に、ラストシーンの「くるみ」は、僕は要らないと思う。少し長いし、あの歌詞だけではこの映画が伝えたいことを表現しきれていない気がする。何度か振り返った後、前を向いて歩いていく佐和子。そして「幸福な食卓」。それで十分だったのではないか? 8点か9点かでかなり迷ったけど、若手のこれからの活躍に期待して9点にします。いい映画でした。 【枕流】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-02-05 00:25:48) (良:1票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 父親として妻として優等生としてクラス委員として、家族はそれぞれの役割に真面目に取り組もうとする。そしてこの家族にとっての優しさとは踏み込むことではなく気遣い見守ること。彼らにはその知性と器用さがある。しかし歯車は狂い始めた。現れた兄の恋人はぶっきらぼうに、転校生は愚直なほどに、思いを口に出し行動する。家族にとってはその異質な思いやりの表現に兄も主人公も強く惹かれる。そして徐々にこの家族を再生させていく。つまるところ人の生き方とか価値観とかいうものは、もしかすると世間や相手との距離感のことかも知れない。「家族にはもっと甘えていい」「君は知らないところで誰かに守られている」主人公が彼らから教えられたこと。ラスト、「きっと背が高くなってこのマフラーが似合うようになる」亡き兄の為に編まれたマフラーをして追いかけてくる弟も愚直な思いやりを口にする。エンドロールに至る主人公の力強い歩みが希望に満ちていて、爽やかな思いが残る一本でした。 【ParaP】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-08-02 00:34:30) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 父さんが父さんを辞める、という意味が最後までよくわからなかったし(辞めたのにずっと家にいるということが)、いきなり主要登場人物が死んでしまうのにも納得いかないところがあるが、最後はうまくまとまっていてよかった。『くるみ』の使われ方も意外ではあったが納得できた。 【HK】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-07-14 22:16:24) (良:1票) |
《改行表示》 3.この映画の全てはラストの北乃きいが歩くシーンにある。真摯。 【魚】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-04-20 03:26:52) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 大浦くんが新聞配達していて、佐和子が二階からその姿を観ているシーンでは、「耳をすませば」みたいだなと思い、大浦くんがいきなり死んでしまうとこなんかは「パッチギ!」みたいだなと思った。無理やり死なせて、感動を誘おうとするのはずるいよ。北乃きいの魅力がよくわからなかった。芝居がうまいとも思えなかったし。ラストに佐和子が歩いている長いシーンで、アイドル映画みたいになっちゃったなと思った。 【Syuhei】さん [映画館(邦画)] 4点(2007-02-03 15:49:33) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 この作品を観終わってから、じっくりと時間を掛けてこの作品が何を伝えたかったのか考えてみた。自分なりにではあるけれど、うっすらと見えてきたものが一つあった。それは、“家族の再生”、あるいは、“人生の再出発”ではないでしょうか。中原家の少し異質で感情の欠落したようなファーストシーンからそれらは始まっていたように思います。遺書まで残し、家族を捨ててまでこの世を去ろうとした父は「父さん、父さんを辞めようと思うんだ」なんていいだし、それに対してお兄ちゃんは「あらまぁ」で軽く流すような発言をしている。これがふつうな筈がない。正しい家族のあり方や間違いのない人間になる為に、それぞれがそれぞれのやり方で修正しようとするけれど、それは簡単な事ではなかった。過去を忘れようとしても、忘れられるものではない。でも、振り返ってばかりいては前に進めない。さまざまな苦しみを受け入れて進まなければならない。しかし、中原家の中で、彼女以外のみんながそれから逃げていた。ラストシーン、主演の北乃きいさんが、土手の道を歩く長いシーンがある。僕の記憶にはなぜかあのシーンばかりが鮮明に残っている。この作品の中で中原家だけでなく、多くの登場人物が悩み、苦しんでいるその葛藤があのワンシーンに集約されていると感じた。何度も後ろを振り返り、何かにすがるような目をする。そこには彼女の心の内にある忘れらない想いと忘れたくない想いがあるのがわかった。そして、一つのカットを挟んだ後、彼女はもう後ろを振り返ることなく、前だけを見て歩いていた。彼女の中でどういう心境が働き、変化したのか、その全てを理解することは僕にはできなかった。ただ誰かに支えられ、また時には支え、そして彼女は向かったように思います。彼女をいつも見守っていてくれる家族の待つ食卓へ。 すばらしいラストシーンだったと思います。 【ボビー】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-01-29 07:53:38) (良:1票) |