7.冒頭から驚きました。独特のメイクにケツ丸出しファッション、女性方はおっぱい丸出し(エキストラのみならず、ジャガーパウの奥さんのような重要な役柄に至るまで)、NHKスペシャルで見るようなジャングルの村がまんま再現されているではありませんか。これを演じているのはプロの役者さんなのですが、ジャングルで生活している人たちにしか見えません。映画であるからにはある程度綺麗に撮ろうとするものですよ、普通。おっぱいぐらいは隠すだろうし、少なくとも主人公にはかっこいいメイクをさせるものです。しかし本作はそのような映画的な修正を可能な限り排除し、徹底的にリアルに作り込んでいます。ここまで再現してくるとは思いませんでした。マヤの都市の作り込みも凄まじいものがあります。実物大セットとCGを見事に組み合わせた(実写とCGの継ぎ目がまったく分からないという完璧な完成度)都市の再現力は、私が見てきた時代劇の中でもトップクラスです。そこに生きる人々の描写も丁寧で、エキストラひとりひとりに至るまで衣装やメイクに手抜きがなく、画面に映る全員に対してきちんと演出が施されています。これ見よがしに巨大建造物を映し出す時代劇は多くありますが、そこに生活する人々を含め、都市の全体像を提示する映画はほとんど見たことがありません。しかも本作の舞台はマヤ文明。古代エジプトやローマのようにしばしば映画の題材になるような時代ならともかく、満足に映像化されたのは恐らく本作がはじめてです。そんな、参照すべき過去の作品もロクにない状態で、ここまでの完成度で過去の文明を描写してみせたことは驚異的と言えます。メル・ギブソンの監督としての才能と、優秀なスタッフを山ほど動員してきたプロデューサーとしての能力、どちらも大いに評価すべきでしょう。こうしてマヤの世界にどっぷり馴染んだところでいよいよ猛烈なアクションがスタートしますが、ここからはメル・ギブソンの才能がフルスロットル。ジャガーパウがゼロウルフの息子を殺した瞬間、「マジかよ」と場の空気が一瞬止まり、一呼吸置いてから追跡部隊が猛スピードで走り出すところからして燃えます。槍を持ってジャングルを走り回るだけのアクションをここまで面白く撮れるものかと、燃えっぱなし、驚きっぱなしでした。追跡者の動きを俯瞰で見せるカメラワーク等、ここでも優秀なスタッフに支えられていることがわかります。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-12-26 18:51:52) (良:2票) |
6.メル監督はもっともっと大評価されてもいい監督だと思う。残酷な描写も徹底したリアリズム。これをグロと単純に非難することは浅薄ではないのでしょうか。
この作品も素晴らしい!話は非常に単純だがハラハラドキドキ。「いったいどうなっちゃうの感」は相当なもんです。カメラワークも美しい。ウイキペディアによれば アステカとマヤがゴッチャになってるよという批判が載っていたが、こんな聞きかじったような知識をそのまま信用してはいけないと思う。ほんと歴史なんてもんはちょくちょく、実は定説は違っていたなどと書き換えられる事例がいっぱいなんです。
いや、そんなことはどうでもいい。映画とは過去の歴史にインスピレーションを得て、そこから自由にイメージの翼を幅羽ばたかせる。これが映画の神髄だと思うんです。歴史の教科書じゃないんだから。
ラストは呆然。さしずめ井の中の蛙、大海を知らずみたいなもんでしょう。傲慢に堕落しきったあの王国もジャガー・パウやその妻の命をかけた頑張りも、 もはやむなしく、一気に新しい神の名をもって、侵略され滅亡していくんです。
ああ・・・これが歴史というものナノダ。 【うさぎ】さん [地上波(字幕)] 8点(2008-09-28 13:52:47) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 すごいなぁ、、メル・ギブソンって、、、。 文句とか言うとこがないです。 いいもの見せていただきました。 主人公たちが青い塗料を塗られるあたりで マヤの有名な「翡翠の仮面」を見る目も変わってしまいました。 [生贄]を求めて熱狂する民衆のおぞましさは「パッション」とも共通するものですが 現在の社会でも「運が悪かった」として社会の「生贄」としての役割を担わされる人もいる。 数年前にあった東海村の臨界事故で亡くなった技術者たちなんて 便利な「オール電化社会」の生贄だったのかもしれないもんな・・・。 熱狂はしないけど「便利な社会の為に仕方ない」なんて思ったりするわけで。 当時の民衆も「作物を収穫する為に仕方ない」と思っていたのであって・・。 人間の社会という「文明の冷酷さ」を表現させたら、メルギブソンが一番だ。 感服いたしました。 【グレース】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-11-27 00:55:23) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 とても面白かった。冒頭のは野豚ではなくバクで馬に近いそうです。 シャイだが懐くと非常に甘えたで可愛い。狩って食う程その辺にいたであろう 動物を今では見るのも珍しい絶滅危機品種にまでにしてしまった現代。ジャガーもですね。 冒頭に誰か有名人?の、文明は外から壊される前に、既に内から崩壊しているものである という意味の言葉。監督は現代に言いたいのはまるわかりです。村人が火を囲んでの 老人の話。「人は色んな動物にあらゆる可能性の贈り物を貰ったにもかかわらず 心の空虚を埋める為、欲し続ける・・世界がもう何も残ってないというまで。」 監督のコメントを最初だけちょっと聞いてみましたが(DVD)、 「伝染する恐れ、恐れるなーこれは大事なメッセージだな」と強調してました。 主人公は第六感みたいな物を持っていて、だからサバイバルに有利だ、と。 なんて言って、父と子が恐れの話をして去る場面に「おお、そして2つのケツが並ぶ。」 とか、小学生みたいなとりあえずお尻、○ンコみたいなギャグ満載で メルさんていつもあんなんなんでしょうかw結構マジなシーンでもそんなんばっかだった ので疲れてコメントは始めだけで止めました。あ、そうだ、確かにたった30分かそこらの 描写で村の人々に感情移入出来るようにしてるのは本当に良く出来てる。いじられキャラ の兄さん?が死に際に助けてくれたのも泣かせた。泣くといったら、村人が奴隷として引 き摺られて行くのを子供達が追い掛けられないとこまで来て、大きいお姉ちゃん(でも8歳 くらい)が「私がみんなを面倒見るから!」と子供ながらに決心して叫ぶ所は一番泣けた。 世界に何もなくなるまで搾取しまくって、これから終わるかもしれない腐敗しきった現代 しかし何が起こっても、恐れないでいよう。伝染する恐怖に飲み込まれるな。 【梅干御飯】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-07-30 01:40:21) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 「映画秘宝」で掲載されてからというもの長い間待ち侘びていた作品です。端っからこの作品に対して、史実に基づいたマヤ文明の宗教くさいリアリティーなどは求めていなかったで、純粋に娯楽映画として楽しめました。メル・ギブソン監督自身も「ブレイブハート」や「パッション」で養った演出手腕を如何なく発揮し、彼独自のエッセンスが詰め込まれた見事な血みどろ映画へと仕上がったのではないでしょうか。最初のカットから最後まで一瞬たりとも気の抜けない、ある意味爽快なアクション映画です。 【シネマブルク】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-07-24 11:15:03) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 ★これは宗教エッセンスをちりばめたホラーサスペンスアクションの変形映画というべきでしょうか。栄華を誇ったマヤ文明も、末期の頃には人心や政治の荒廃・農業の衰退・疫病の流行・他部族との争いなどの諸原因でズタボロの瓦解寸前だったのでしょう。★マヤについての描写はいろいろ批判もあるようですが、僕はメル・ギブソンはマヤについての諸説を吟味した上、自分の主張に合致するものをチョイスしただけと解釈します。少なくとも文明はある日突然興って1,000年間同状態で続き、突然消えうせるものではありません。誤解を生みやすい描写とは言え、ああいう人狩りや首切りがありえなかったと断定は出来ないと思うのです。★後半、ジャガー・パウのわき腹を貫いた矢傷は、逃走の中いつの間にかほとんど回復!ハリウッド映画のお約束?そうではなく、あれはキリストの復活の再現と見るべきでしょう。しかし彼が「キリスト」だというなら、ラストに姿を現す白人たちは?★一見、「彼らが到着するまえから、マヤ文明は荒廃しきっていた。こんな野蛮人たちは滅びて当然だったのだ」とも読めます。しかし映画のタイトルは、例の「ヨハネ黙示録」をどうしても想起させます。単純に白人擁護であるはずがないのです。★復活した「キリスト」は、家族を守りつつ、森の中へ、自然へ=神の元へ去っていく。マヤ文明の最期に引導を渡す白人達。しかし文明に汚れた彼らにも既に神の加護はない、いつの日か同じことが繰り返され滅び去る時が来るのだ、と。・・・★この映画の主義主張を出来る限り好意的に解釈してみました。しかし知られる通り「人格大いに問題あり」の監督ですから、すべて間違ってて、ただのエログロ猟奇バイオレンス映画である可能性も高いです(笑)。★もっとも冒頭の、「宗教エッセンスをちりばめたホラーサスペンスアクションの変形映画」として、メル・ギブソンのテクニックは非常に秀逸だと思います。僕はこの映画の「上手さ」だけでもかなり満足して映画館を後にしたのですが・・・ 【wagasi】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-07-01 15:55:51) (良:1票) |
1.われわれの眼に飛び込んでくる、画、画、画、それはそれは、よく練られていて、たいへんすばらしいものだ。われわれは製作者の撮った画を次から次へと、湧き出る残酷な好奇心にどっぷりひたりながら、ながめているだけで良い。 この映画のはなしは単純明快だ。だからこそ、われわれ人間は考える。思考する。人間について、戦いについて。最後のほうで帆船に乗った人間(文明人)が登場し、すこしだけ安堵した。しかし、その感覚は間違いだった。ひとは昔も今も、歴史をつくり、宗教(オカルト)をつくり、哲学し、キリングフィールドを作り出し、いけにえを作り出し、兵器を創り、殺し殺される。しかし、なんてことはない、すべての行動は、ひまだから、おもしろいから、興味があるからやるだけのはなし。人間(動物)なんて全く変わってないのですねえ。マヤ文明と比べりゃ、そりゃーすこしは変わりましたよ。それでは、なにが変わったのか。そうです!殺し殺されの方法が洗練されてきたんですねえ。殺人と防御の方法が進化した。しかし、いまも昔もやってることはまるで同じ。ドッカーン!と一発ですよ。そう!弱肉強食。ただ、それだけのはなし。マヤ文明も、ナチスも、ポルポトも、どっかの原理主義も、元某帝国も、お米の国も、国取物語、すべておんなじですから。そして、永遠に、人間(動物)は戦うことをやめない。くりかえし、くりかえし。これはまちがいない。 しょうがない。でも、私がダイッキライなのは、この映画でもあったように、巨大な力のある組織(国)、グループに生命をおびやかされることですね。絶対に許したくない!いやですよ、ひとのために死ぬなんて。戦うなら、1対1ですね。これなら、やられてもあきらめがつく。わたしはマジョリティーが大嫌いだ!(でもそう言いながら、その平安のなかで、のうのうと生きている私。だから、性格が卑屈になる。卑屈になる必要なし!恐れる必要なし!うーん、なんだか元気がでてきたゾ!by植木等) 【男ザンパノ】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-06-19 01:10:55) (良:1票) |