15.《ネタバレ》 死にゆく太陽を復活させるというあらすじ、おまけに主要キャストに日本人俳優と聞けば映画の出来がクライシスだった「クライシス2050」を思い出しますが、こちらはハードSFとして相当レベルの高い仕上がりです。破壊的な太陽光と常に隣り合わせで宇宙をポツンと航行しているという、想像するだけで背筋が凍るようなシチュエーションを見事に映像で表現しており、特に前半などは「2001年宇宙の旅」や「エイリアン」などと比較してもまったく遜色ないほどの仕上がり。人間関係がひたすら淡々としていることも、かえって不気味さを煽ります。「地球を救うために絶望的なミッションを引き受けたクルーはどうなっていくのか?」ということを突き詰めて考えた結果がこれなのでしょうが、いちいち心情の説明をしてもらわないと話を理解できないような客層をはっきりと切り捨て、終始ドライに徹することで作品の味を保っていると言えます。また科学考証についても同様で、かなり厳密な科学考証に基づいて書かれた隙のない脚本ですが、説明的な描写が入らないので知的好奇心の高い人でないとついてくることは難しいのではと思います。このように明らかに客を選ぶ映画であり、娯楽という呪縛から解き放たれたおかげでハードSFとしては成功しているのです。そして、クールな前半から一転して後半は演出・脚本・編集のすべてが大暴走をはじめ、観念的な世界に突入します。監督&脚本家の前作「28日後…」同様ここで一気に作品が崩壊をはじめるのですが、本作ではより確信犯的に作り手たちが作品を破綻させています。要は「イベント・ホライゾン」とまったく同じ末路なのですが、「5人いる…」から一気にテンションを上げてこの見せ方というのが実にうまい。娯楽的なわかりやすさを徹底的に排除することで、作品が陳腐になることを回避できているのです。一応はミッションの成功という形で締めくくられますが、イカロス2号であれほどの事があったとは知らず太陽の恵みを受ける地球の人々を描くことで、見終わった後もいろいろ考えさせる映画になっているのも見事。SF好きは要チェックの映画だと思います。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-04-20 16:01:53) (良:7票) |
14.《ネタバレ》 この作品、やっぱり真の主役は太陽なんでしょうなぁ。わざわざサールや船長が、顔の皮がめくれるほど凄まじいまでの太陽光を浴びて、ある種のカタルシスを味わっている時、同様に観客もまた大スクリーンと迫力ある音響で「太陽」を味わうわけです。ストーリーは前半と後半で大きく異なります。前半は基本的なストーリーラインに乗った、わくわく感に満ちた展開で進んでいくんですけど、後半からは突如ホラー的展開になり、サブリミナルだのエフェクトだの、なんやらトリップムービーみたいなことになってきます。このお話の基本部分はギリシャ神話のイカロスから来ていて、そのイカロスに対しての「5人目の人」が、自然に逆らうな、運命に従え、と喚き立てる、要は単にそれだけの話なわけで、別に難解なところはなにもないと思います。この作品がやりたいことはつまりは「体感」なわけです。変な理屈うんぬんはおいといて、漆黒の宇宙に浮かぶ、生命の母と殺人的破壊力の2つの顔を持つ太陽を体感する、そういう作品です。その体感の中で、観客が感じとったものから何かしらの意味づけが出来ればそれでいいわけです。ダニー・ボイルさんが、もはやどうしても過去の傑作から逸脱出来ない現在のSF映画の中で、いかに新しい事が出来るかということで挑戦をしたのが本作なんですね。間違いなく一般受けはしない、大半の人はたぶん駄作というに違いないこの作品、僕は駄作というより意欲作って言いたいですね。 【あろえりーな】さん [映画館(字幕)] 6点(2007-05-04 20:25:35) (良:4票) |
13.《ネタバレ》 いわゆる「SF超大作」という娯楽大作にここのところ“当たり”が少なく、もはやネタ切れ状態なのか、“よくあるパターン”の作品が多い。 この「サンシャイン2057」にも、そういう不安はあった。真田広之が宇宙船の船長役で出演していることはとても興味深かったが。観ようか観まいかウロウロと悩みつつ、ふとポスターを見ると重要な要素を見落としていた。 「監督 ダニー・ボイル」。 さすがに一筋縄ではいかない作品に仕上がっていると思う。
脆弱化した太陽を再活性化するための決死のミッションに臨む多国籍編成の8人のクルー。ストーリーとしては何となくよくある感じもするが、出演陣の誰もが“主人公面”していないことが、この映画に用意されている“混沌”を暗示していた。 日本人としてはどうしても船長役の真田広之に注視してしまう。が、存在感と責任感のある日系船長に用意されるプロットはわりと容易に想像できるだろう。
「アルマゲドン」系の地球セービング映画でないことは、冒頭から地球でのシーンを廃し、密室の宇宙船内のみで展開されることからも明らか。映画はふとすればミッションの内容すら忘れてしまうほどに、クルーたちの“精神的”なサバイバルへと突入する。「使命」と「希望」、「生」と「死」の間で混乱していく人間模様に、主題である「太陽」に対する観念的な要素も入り混じり、殊更に映画は混沌としていく。
SF娯楽超大作を期待して観に行くと面食らってしまうことは間違いないが、宇宙での極限状態における人間たちのインサイドをさらけ出そうとした試みは面白かったと思う。 タイトルが示すとおり、ひたすらに太陽の熱に“焼かれる”映画である。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-04-15 17:33:51) (良:4票) |
12.《ネタバレ》 死に行く太陽に核爆弾を落すミッション。それは、地球の命運が掛けられた人類最後の賭け。筋立ては実にシンプルです。一つの計画変更から次々と歯車が狂っていく定番のパターン。これが実にいい。緊張感の途切れない展開でグイグイ物語に引き込まれました。テーマは神との語らい。海が母のイメージならば、太陽はもっと生命の根源に迫るもの。生を許さぬ灼熱の太陽の中に命を感じるのだから不思議です。陳腐な言い方ですが、生命はそれだけで奇跡だと痛感しました。生きるためにあまりにも多くのモノを必要とする人間。空気、水、食料、太陽。何が欠けても生きていられない。人間にとって太陽は何なのか?普段意識することすらありません。それほどに遠く、そして全てを超越した偉大な存在。その強大な力を目の当たりにしたイカロス1号のキャプテンが、錯乱したとしても全然オカシク無い。神に対する畏怖の念。それは生きるもの全てのDNAの中にも刷り込まれている“キマリ”だと思えます。ですから船長は殺人鬼でも怪物でもありません。彼の主張の方が正しいのかもしれない。ただ、神の前では“塵”に過ぎない無力な生き物だからこそ、生きるための抗いを許して欲しいと願います。哲学、宗教の要素を孕んだSFサスペンス。映像も美しい。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-01-01 11:29:59) (良:2票) |
11.ダニー・ボイル監督ときてキリアン・マーフィとくれば、俺の中では28日後なみの期待度が高まるんですけど、この映画、冒頭から、不安感と孤独感がヒタヒタと俺の心にせまってきて、結構はまってしまいました。あー、久しぶりのSF緊張感。その後は、危険であり美しくもある太陽の存在感を思いっきり体感させてくれて、太陽の近くにはいったい何が待っているのか?けしてまともな精神じゃいられない、その事で何かが起こるとゆー不安感と地球の映像はまったく写さないにもかかわらず、なぜか芽生える人類滅亡の終末観をはらんだまま映画は進行していきます。光のシャワーの映像は映画館で観たかったな~。そうこの映画はちっこい画面じゃ伝わらない迫力がありまして、映画館で観た人がほんとうらやましーです。それだけでも映画の評価は全然違ってくると思いますし。ただ、ちょっと残念なのが、わかりにくい映像や描写がちょくちょくある所。でも真田さんが出てるとゆー色眼鏡で観ちゃうともったいない、B級映画の中に掘り出し物をみつけた感覚がちょうどいい感じの閉鎖空間で数人が右往左往系映画であります 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 10点(2007-09-13 21:54:22) (良:2票) |
10.《ネタバレ》 筋はあるものの観念的なストーリーはあってないようなもので感覚で味わうという印象が強いです。ですからセンスの一致如何で見る人を選ぶと思います。個人的にはアジア人がクルーの中心であったりする未来的さや、それとは反対に宇宙服などが非常にレトロなデザインなのにクスっとなりつつ、雰囲気の盛り上げに一役も二役も買っているサウンドにクルーらと共に宇宙空間に居るような気分にさせられましたし、冷めた演出、イカロスの神話をなぞった結末は好きです。・・・ただしかし、本作では太陽光に限らず〝光〟がかなり重要な要素を担っていると思うのですが、どうもそれがしっくりこないのです。光というのは、例えば船長やサールが望んだように気分を高揚させたり恍惚とさせるものとして捉えているのに、多用される暗闇に懐中電灯の光一つとってもあまり刺激的に感じられず心動かされません。そのせいか物語は極めて深刻な状況であるのにちょくちょく退屈なシーンがありました。さらにサブリミナルは効果的としても忙しなく切り替わる画面は観難いです。もちろんダニー・ボイルのことですから確信犯で心理的揺さぶりをかけてきているのでしょうが、それが過ぎているので疲れてしまいます。・・・・・ところで、この退屈さどこかで味わったことあるなぁと考えてみたら私の苦手な「2001年宇宙の旅」でした。そう言えば手緩いHALが登場しますし、ラストシーンに映る黒いあれってモノリスでしょ? 【ミスター・グレイ】さん [映画館(字幕)] 5点(2007-04-23 18:15:38) (良:2票) |
9.《ネタバレ》 キリアン・マーフィいいですね。真田もいい。というか出演者みんな良かったです。内容は前半まで良かった。1号の船長が出てきてからつまらないというかもったいないというか。サスペンスでなくてもよかったと思います。コンタクトみたいな展開だったら良かったのにと個人的には思います。 【大谷イレブン】さん [地上波(吹替)] 4点(2011-06-25 20:37:58) (良:1票) |
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8.駄作。それっぽい作りにしただけな感じ。圧倒的に説明不足な場面が多々あり見ていて退屈。言わなくてもわかるでしょ?と高尚に見せようとする感性そのものがチープに感じた。視聴者に委ねて良いことと悪いことの取捨選択ができていない。使い古しのネタとはいえ普通に作ってもそれなりに面白くなるネタを調理してこれでは評価できない。 【ムッシュ★いち~ろ!!】さん [DVD(字幕)] 3点(2009-03-06 17:35:09) (良:1票) |
7.アルマゲドンの後半とイベントホライゾンを足してホラーテイストを抜いた後2で割ったような作品です。散漫な作品になってしまいました。 【ミッド】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-01-24 23:52:22) (良:1票) |
6.ハードなつくりで、腰を据えて見ればなかなか面白い。最後の太陽が昇るシーンは感動できた。ただ、一体何が行われているのかわからないシーンが多い。知らない間に、1号機とドッキングしていたし・・。最初の計画通りミッションを遂行すれば良かったのにね 【はりねずみ】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-09-12 14:01:33) (良:1票) |
5.サブリミナルのシーンが不気味で怖かった。 【Yoshi】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-04-19 20:57:27) (良:1票) |
4.題名にある「2057」って2057年っていうこと?ここ20年ぐらいSF映画の年代付けってなんでほんの数十年先にするんだろう?そんなすぐ先にそんな事になってる訳ないだろうに、ホント。そして昔から宇宙ものの映画は太陽系内の話になると「2001年宇宙の旅」みたいに観念的なものとなり、太陽系外の話になると「スターウォーズ」にたいにご陽気映画なる傾向がある。どうしてかなー?そしてこの「サンシャイン2057」は太陽系内の話なのでやはり観念的なストーリーになっている。観念的って言っても「太陽の寿命は自然の摂理に任せるべき」or「人類延命のためにはそれをも操作すべき」っていう昔からお決まりのようなお題目ではあるけれど・・・。イイ線行ってるとは思うがもう少々映像を分かり易くして欲しい。宇宙船の全体像とか宇宙船の今置かれている状況の映像とか分かり易い説明映像がもっと欲しい。でもね、日本人が船長なのはね、日本人として○です、笑。 【メロメロ】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-10-07 14:32:45) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 映像といい、話といい、一風変わった感じで、なるほどダニーボイル監督だなぁ という印象でした。
太陽に対する恐れと憧れ、宇宙船の中の閉塞感・外に出たときの圧倒的大空間への 恐怖など、映像的にはいいなぁと思えるシーンがたくさんありました。 でも、お話やキャラクターがそれについていってないというか、薄味すぎる 感じはありましたねぇ。なんでそんなに使命感に燃えてるのかがイマイチ伝わって こない為(地球のシーンがほとんどないため、地球滅亡が胸にせまってこないんですわね)任務の為仲間をすぐに「人減らしする計算」を始めたり、殺すことを決断できたりするこの人たちに、どうも違和感があるのは私が単にセンチメンタルなだけでしょうか??まあ、やらなくちゃ地球が滅亡するんだから、そりゃ、必死になるのは わかるんですけど、、その割にはうっかりミスが多かったり、危険予測が甘かったり のシーンが目立ちましたね。イカロス一号からの密航者がいることに気が付くのが 遅すぎませんかね・・・。というか、誰も見張ってなかったんかい!! 結局、みんな「死にたがり」なのかい?と思うくらい真田広之はじめあっさり自分の 命はあきらめるし、その辺がねぇ・・・・。地球を滅亡から本当に救おうとしている 人たちとしてはあまりにも、暗い人たちでしたねぇ・・・・。イカロス一号 の映像のフラッシュバックは本当に薄気味悪かったです。 【やわらか戦車】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-09-25 14:39:02) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 SF不振の中、日本人も絡めた近未来作ということで、期待してみましたが知ってる人が真田だけだったのと、早めに死んでしまうので後半は惰性で見ました。 2時間弱では話や人物まではこのくらいが限界なのでしょうけど、何が悪いって訳じゃないけど、盛り上がりに欠けました。 前半の宇宙船やミッションの紹介部では悪くなかったのですが、やっぱりアジア系3人は多かったような気がします。 一人多い犯人が1号の船長だったと言うのを、もう少し後で明かせば、後半も緊張出来たと思う。 タネ証の後は、どうしても映像効果でハラハラさせるしかないから。 最後の爆発の時もイメージ映像が逆に白けた。 【♯34】さん [映画館(字幕)] 5点(2007-05-13 14:50:44) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 日本では地味な宣伝も足を引っ張り、GW前には早々に上映館が無くなってしまいましたが、本作に興味があったのに劇場で観れなかった人は人生で大変な損をしました。この映画は視界全てがスクリーンになるような、そして地響きがする程重低音まで再現できる優れた音響のある劇場で観てこそこの世界を味わい、乗組員と一緒に旅が出来るのです。おそらく家庭のTVやパソコンの小窓から眺めても、暗黒の宇宙、太陽の灼熱や光、重責を担うクルーの焦燥感や孤独なども他人事にしか感じられないと思います。 【ロイ・ニアリー】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-04-28 14:12:13) (良:1票) |