《改行表示》 6.《ネタバレ》 舞台はオーストラリアのとある高校。映画の冒頭で誰かの死が予測されるシーンがあり、その後はその死が引き起こされるまでの過程を描く。 この映画は、月並みに言えば、思春期の危うさを映した映画ということになるが、それに止まらない不思議な迫力を持っている。監督の年齢がまさに思春期を終えた19歳と言うこともあるのだろうが、そのことを差し引いても、役者陣が素人だらけの中で、この緊張感とリアリティを90分にわたって維持できたというのは恐るべき才能だと感じられた。監督自身、友人を自殺で失っているということだが、それを阻止できなかったことに対する後悔や亡くなった友人に対する哀惜の情がこの作品の根底に渦巻いている点もこの映画の訴求力の増加に大きく貢献している。 この作品の結論は何ともやるせないのだが、思春期に限らず、人間の生死というのは意外と分からないものであるとは、常日頃感じており、そういう意味で私としては監督の考え方を肯定し、同調することができた。この映画のラストには、人によって様々な受け止め方や意見もあるだろう。だが、人間の命は脆く儚いものであるということはいつも心に留めておくべきだと私は思っている。この映画はそれをきちんと捉えていた。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-07-31 15:25:51) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 『エレファント』が素晴らしいのはある一点に向かう時間の流れの中にそのある一点を必然にしてしまうものを映し出しているから。この『明日、君がいない』が面白いのはガス・ヴァン・サントのやったことを逆手にとっているところ。つまりある一点に向かう時間の流れの中にそのある一点へと導く映像が映されているはずという観客の予想を裏切るところにある。しかしそのある一点というのが一人の人間の自殺らしいというところにこのゲーム感覚の「騙し」に対して少なからぬ不快感を持ってしまう。それはラストまで隠されるのが「なぜ?」ということだけでなく「誰が?」も隠されているからでもある。どうしたって我々は誰が自殺するのかなというところに興味を抱いてしまう。そこに興味を持って見ている事になんとなく不謹慎さを感じてしまう。繰り返すが、淡々と映される映像に答えがあるのではなく答えがないことで「自殺者の苦悩を誰も知らない、誰も気付けない、だから止められなかった」という結論に持ってくるあたりは上手いとは思う。でもまたこの上手さがなんかイヤなんだ。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 5点(2009-04-27 15:47:00) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 「とても幸せそうな女の子に見えたよ 助けを求めたことなんか一度もなかったし 自殺の気配も見せなかった 話してくれたら助けられたのに わからない なぜ彼女が こんなことに・・・ わからない・・・わからない」 友人を突然自殺で失うその喪失感、そのあまりにも唐突な感じ。 どうして・・・何故なんだ・・・分からない・・・という想い。 結局ケリーが何故自殺を図ったのかは分からない。 重大な悩みを抱えていたのか、それともちっぽけな理由なのかすら分からない。 描写としてあるのは恐らくは彼女は孤独だったのだろうという事のみだ。 いつ自殺してもおかしくないような苦悩がそれぞれ詳細に語られた6人の登場人物とは非常に対照的だ。 このコントラストが友人を突然自殺で失うという不条理感を強烈に出していると思う。 長年の友人を突然自殺で失ったという経験を持つこの監督だから作れるのかもしれない。 あまりにもリアルで疑似体験みたいだ。 ムラーリ・K・タルリ監督も友人を失ったとき考えに考え抜いたに違いない。 しかし結局分かったのは友人が孤独だったのだろうという事だけだったのかもしれない。 そしてその友人はケリー同様優しくていい人だったのだろう。 そういった監督の心情に思いを巡らせながら最後のケリーのインタビューを見ると涙が出てくる。 【NIN】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-02-02 10:54:42) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 てっきり各々の秘密が連鎖して自殺の引き金を引くこととなる内容なのかと思い、そうだとすれば確かに結構な芸当だな、と興味津々で観ていると・・・ ある意味でそういった内容であったものの、蚊帳の外にいたというのが引き金では生徒達の諸々は何だってよかったわけですから、大した芸当ではない。 これでは、単なる自殺する人物探しの趣向しか持ち合わせていない。しかも、その方向で観ていても報われない内容ですし(ミステリーで本編に関わりなく、人物紹介さえされなかった人物が犯人でした、と言うようなもの)。 19歳が書いたというのがマイナスの意味で納得する結果になってしまい、残念。 しかし、テーマ(無関心への警鐘)は伝えられていると思います。こんなにも堂々と反則技を利用して表現している気になれるのは若さのおかげでしょうね。 とりあえず、脚本としては明らかな失敗作。若さに3点献上。 でも、自分がこの人はわかっていると一目置くような巨匠が同じ内容をやったならば、「敢えて」なのだろうと評価して、もう1、2点プラスしてしまうかもしれない・・・(恥)。 【カラバ侯爵】さん [DVD(吹替)] 3点(2008-01-28 00:55:38) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 いやぁ~★ なんてこったいK・タルリ。 恐るべしnineteen。 いや、19だから作れたんだよね。 好きです。 痛くて、しみてたまらんかったケド。 そうなんだよ。 思春期って、発情期って、どんなちっぽけな理由でも死ねるんだよね。 ガッコって。高校までは、それが世界のすべてだと思い込んじゃったりするんだよね。 だから苦しい。 だから眩しい。 だれもが「死」へのハードルをいとも簡単に越えてしまう危うさ。 だれが死んでもおかしくない中で、最も死にそうにない&出番の少ない端役のケリーが死ぬことで、なおさらそれが強調されたね。 白黒&独白シーンがないけん、すぐ「ピン!!」ときたケド。 静のガス・ヴァン 動のK・タルリ それぞれの感情があからさまに言動に表される中、 ケリーの「大丈夫?」と声をかける場面、首が座らないカンヂで最期に校舎を歩き回る「世を捨てた」演技。 ゾクッときました。 自分が傷ついてる時、つらい時って… 他人に優しくしたくなるんだよね。 ってことで、“永遠の思春期”のあたしから9点ゲト!! 【★K★】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-08-17 00:32:34) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 監督が19歳のときに製作はじめた映画ってことで やっぱりすごかったっす・・こりゃカンヌでスタンディングオベーションも・・・・わかるな。 つくりは、みなさんいうように「エレファント」にそっくりだね。こうゆう撮りかたはすき。 でも お も い 。 ひたすら重かったです。 ひとりでみたからなんかもう・・ ダンサーインザダークぶりかなこの暗さは。笑 まったく救いないじゃん! 自殺するとことか、、 目そむけたかったよもう。 つらすぎるよ。 でもね、、なんか、なんか うまくいえないけど すごく大事なことを訴えてる映画だとおもう。 で も 重い重い重い重い。 ほんと重い 。 でもなぜか号泣。 でも しばらく観たくない。自殺したひとりの心の闇はまったくわからないままだけど、 ひとによって痛みをかんじる度合いも、それに耐えられるちからの大きさも、事情も、ぜんぶ違うから、それを理解することはできないとおもう。 いじめ、障害、同性愛、恋愛、、とか差別、とかそういうテーマはもちろんだけど、 人間の社会の、、構造っていうのかな。 そうゆう深いとこまで考えさせられました。 学校だけじゃなくていろんなばしょでいろんなひとをみるけど 表面ではみえないとこでみんなそれぞれ孤独、葛藤をかかえててそれでも生きていかなきゃいけない辛さ、、というか 一番自殺なんてしなそうにみえたひとが、、でも悩みの大きい小さいは、他人にきめられることじゃないしね。 最後は死とゆうものがあまりにもあっけなくて 本当哀しいというか虚無感が・・・ でも、必見だよ、この映画。 けっこう、展開よめた部分はあったけどねぇツライっす 【ギニュー隊長★】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-05-28 22:29:39) (良:1票) |