4.《ネタバレ》 クルーゾーは「悪魔のような女」の方が好きだが、この作品も傑作。ねっとりした恐怖を味わうアンリ=ジョルジュ・クルーゾーの問題作。 ストーリーは至極単純、職にあぶれた男たちが「金のためならなんだってやる」という映画。 金も無く餓死するくらいなら、死んでもいいから一時の金と食事にありつける仕事を引き受ける。それがこの街の男たちだ。 ファーストシーンから素晴らしく汚い(褒め言葉)出だし。虫の群れにそれで遊ぶチ●コ丸出しの子供。 一瞬「これ別の映画?」と戸惑ってしばらくすると、おっぱいの飛び出そうな女の子が酒場の床を拭いているではないか! よかった!フランス映画だった!!(安心するところがおかしい)
最初1時間はひたすら登場人物の掘り下げ。 この丁寧すぎる掘り下げが後の恐怖を盛り立て、尚且つ酒場での緊迫したやり取りや燃え盛る油田の描写など退屈させてくれない。 毒蜘蛛?そんなもん足で殺っちまいな!
そして残り1時間30分に渡る恐怖の大仕事。 油田の火災にはニトログリセリンの大爆破が一番(どういう事なの) わずかな振動でも全てを吹き飛ばす悪魔の液体ニトログリセリン。 時限爆弾はまだ猶予があるが、今度の爆弾は何時でも運び屋を皆殺しに出来る。常に体にまとわりつくような粘っこい戦慄。 “橋”のスリリングな出来事からマリオとジョーのコミカルなやり取りで癒された。 もう完全にヒロインですジョーのおっちゃん。 仕事を受けた運び屋は二組、ニトログリセリンという爆弾は人の心も破壊するのか? しかしニトログリセリンは岩も破壊すれば、人の心の壁も破壊し、一時の安息も破壊する・・・恐怖を味わう間も与えずに。 爆風で吹き飛ぶ巻煙草、焼け焦げた爆発の跡の生々しさ、屍人の骸が眠る黒い沼、ぶらんぶらんの足、そして踏ん張る杭。 それでも男たちは仕事をやり遂げる。たとえ最後の一人になろうとも。 ただ一つ言えるのは、爆弾が人を殺すのでも、車が人を殺すのでもない。 それを扱う人間が一番の殺人者なのだから。 ・・・でも正直言わせてくれ。あんな終わり方したら恐怖を通り越して笑っちまうよ。だからこれだけは言わせて欲しい「クソワロタ」と。 何だったんだよ今までのカッコイイ主人公は。俺も思わず卒倒したくなったわ。俺の涙を返してくれ。 そんなワケで、俺はウィリアム・フリードキンの「恐怖の報酬」の方が好きです。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-06-07 23:48:18) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 最高に面白い!! 今年観た沢山の映画の中で、最も面白かった!
フランス映画としては、ジャック・ベッケルの『穴』、アンドレ・カイヤットの『眼には眼を』に匹敵する面白さ。
ハラハラドキドキ、粋な小細工たっぷり、人間と人間との駆け引きや友情、こういった題材を散りばめた面白い作品を創れるのはフランス映画だけだろう。
ロード・ムービーテイストもありながら、娯楽的な要素もあり、又、サスペンスでもあり、人情劇でもある。 色んな魅力がいっぱいに詰まった素晴らしい作品。
特に素晴らしかったのは、煙草を巻こうと思ったら、煙草がフッと吹き飛び、その瞬間にもう一台のトラックが、バァーン!!という演出。 爆発したトラックの爆風が、煙草を吹き飛ばす。 何気ない演出だけど、これ以上の演出もないといった感じの巧さ。
最近、なかなか面白い映画に出会えないとボヤき続けて、ここ2年。 久しぶりに凄い映画を観た。 これだからやっぱり映画はやめられない。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2010-07-18 01:54:10) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 何としても金を手にして、町を出たい男たちの物語です。最初、マフィアの幹部のようなジョーが次第に憐れな男に成り下がっていくのが印象的でした。それがマリオのギラギラしたというか、任務への焦燥感をうまく引き立てていました。適度なタイミングで魅せるスリルがたまりません。最後のあのオチは、分かっていてもショッキングです! 【どんぶり侍・剣道5級】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-07 09:34:23) (良:1票) |
1.なかなかニトロを運ぶ展開にいかなかったと言う感想もあるようですが、それはどれだけ登場人物が町から出たいかを表わしていたので、私はあれくらいは必要だと思いました。ニトロを運ぶことになった4人の個性が、ニトロを運ぶ最中で上手く描かれていて、緊張感のあるシーンの中にも、しっかり熱い人間ドラマが入っておりかなり良かったです。そして、ラストは、みなさんが経験されたのと同じ、とてつもない恐怖が私にも襲いかかりました(笑) 【はがっち】さん 9点(2003-04-02 16:26:50) (良:1票) |