4.これは裏サウンドオブミュージックでしょう。 あちらは音楽を通して人々を幸せにして、多くの人々を結び付けていく世界が描かれているが、しかしこちらは、唯一の趣味のミュージカルに興じても、脳内ミュージカルで現実逃避を図ったとしても、結局は逃避でしかなく、現実を解決できるわけでもなく、その現実という救いのない世界が襲い掛かってくる。 現実逃避しか出来なくて、病気が遺伝すると分かってても子供を産んでしまった弱い主人公だが、その責めに対して、逃げることなく自分を賭して、最後まで自己犠牲的な愛を貫いている、それが唯一の救いと言えようか。 ドヌーブの「必要なのは母」というセリフに対して、「必要なのは眼」と主張している。手術をしなければ自分と同じ道を辿るであろう運命に対して、母(現実での逃げ)よりも眼(未来)という結論こそ、セルマの見出した答えじゃないのか。 映画としては、つらい内容なので評価は別れるだろうが、他の映画とは一線を画すセンス、衝撃的なラスト、線路や稽古場で警官に連れられていくシーンなど評価すべき点は多い。 この映画を見て嫌な気分になった人は「サウンドオブミュージック」でも見て中和することを薦める。 【六本木ソルジャー】さん 9点(2004-02-22 02:44:58) (良:1票) |
3.こんなにやり切れない思いを感じた映画は久々です。友達がこの映画は暗くてしばらく立ち直れなくなるから絶対オススメできない、観ないほうがいいと念を押され続けたので、気になってはいましたがずっと避けてきました。でも好奇心が募って覚悟して夕べ観ました。現実感を出すために家庭用ビデオで撮影されたらしいですね。本当にめちゃくちゃ現実感出てました。多少酔ってしまうほどでしたが・・・ビョークの空想のミュージカルシーンではカメラワークが替わるので酔いはなくなりました(苦笑)ビョークがとにかく表情豊かで演技も上手く、歌い踊るシーンも楽しそうでそれが余計観ていて苦しく切ない。。もうとにかくセルマに感情移入してしまって、同情心と悔しさが入り混じった気持ちが爆発寸前のところで涙になって発散された感じです。しばらく涙は止まることなく流れていましたが、あの衝撃のラストの瞬間ビックリしたのと、あまりの残酷な結末に唖然となり涙はピタリと止まりました。後味の悪さと言ったら天下一品です。これ以上ないと言ってもいいでしょう。しかしこの悪い後味がいい余韻となって、ずっと私の中に残り続けると思います。ハッピーエンドの気持ちのよい終わり方をする映画には到底起こらない現象です。あれっあの映画のラストってどうだったっけ?ということがよくあると思いますが、この作品の場合はそれがなく、むしろそれが一番強烈で忘れることが難しいくらいでしょう。セルマのあのみじめな人生を私はこれからもずっと忘れることができないと思います。もう1度観たいという気持ちにはなれませんが、観て本当に良かった作品です。貴重な映画に出会いました。 【未歩】さん 9点(2004-02-13 01:24:25) (良:1票) |
2.基本的に悲劇は好きじゃないんだけど、この映画は別格でしょうな。ビョークが歌い踊るあの世界に引き込まれずにはいられなかった。「悲劇」という観点を越えて、この作品は人間の営みの中での最も高潔な「幸福」のひとつの形を描いている。 【スマイル・ペコ】さん 9点(2003-05-23 22:38:00) (良:1票) |
1.強硬裁判がアメリカで常識になっていないことを祈る。その不愉快を引きずったので-1点。他は満点。賛否あるラストも私的には最上。主人公の行動の異常さをとやかく言うのはナンセンスでしょう。 【電灯】さん 9点(2003-05-17 00:43:16) (良:1票) |