《改行表示》 9.《ネタバレ》 「歌っている時の自分が好き」だったナルシストな主人公が「歌う事が好き」になるまでを描いた一品。 恋の妄想に耽り、興奮で鼻血を出してしまう女子高生という、ベタベタな演出を受け入れられるかどうかで、評価も変わってきそうですね。 コメディ映画というジャンルとも少し違っていて、コント映画という印象を受けました。 ゴリや間寛平といった面子が出演している事も、そんな雰囲気を濃くする効果があったように思えます。 そして、この二人がまた良い役どころを演じていたりするのだから、心憎い。 「必死になっている顔に疑問を持つような奴は、一生ダセェまんまだ」 という一言は、特に素晴らしくて、本作最大の名台詞でしょうね。 自らの歌う時の顔が、まるで鮭みたいだと悩む女子高生の孫娘に対し 「大きな口を開けて笑ったり、歌を唄ったりしている時の顔が、一番じゃ」 と話して、悩みを吹き飛ばしてくれる爺ちゃんも、これまた最高。 そんな具合に本作を「コント映画」として楽しんでいた自分としては、尾崎豊リスペクトである湯の川学院の合唱部を応援してしまう気持ちがあり、オオトリを飾るのが主人公達となる事を、残念に思っていたりもしたのですよね。 でも、クライマックスの「あなたに」を聴いた瞬間に、不満も吹き飛んじゃいました。 客席の皆も次々に立ち上がって歌い出す演出は、凄まじくベタで、観ていて恥ずかしいような気持ちになってくる。 それでも、そんなベタな王道演出を、しっかり正面から描いてみせたという作り手の熱意、勇気も伝わってきたりするものだから、自然に感動へと繋がってくれました。 あえて欠点を挙げるとすれば、ストーリーが王道の「部活もの」といった感じで、合唱を題材に選んでいるのに、特に目新しさは感じられない事。 主人公が恋している生徒会長の男子に、魅力というか、恋するに足る説得力を感じられなかった事。 そして、女性ディレクターに、生徒会副会長である恋敵の少女など、今一つ存在意義の薄い人物がいたりする事でしょうか。 全体的に、完成度が高いとは言い難いのですが、皆が楽しそうに合唱する姿を見れば、細かい点は気にならなくなりますね。 「必死になるのは、恥ずかしい事かも知れない」「でも、必死になる姿は間違いなく美しい」というメッセージが込められた、良い映画でした。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-07-01 05:46:05) (良:2票) |
8.自意識過剰少女の成長と、学ラン合唱隊のおかしさが両輪となって、程よく楽しくまとまっている青春映画でした。夏帆はいいですね。表情の作り方が秀逸です。彼女の世代の女優は2つに大別できる。早く大人になってシビアな役に挑戦してもらいたいと思う人と、今のまましばらく青春ものをやって欲しいと思う人。彼女は圧倒的に後者です。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-04-22 06:59:52) (良:2票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 ポイントといたしましては あいあむふるちん ここは大事なところですので けして忘れないよう赤線引いておきましょう。 しかしもっと大事なポイントとしてそれは薬師丸ひろ子が唄う オーマイリルガぁー♪ (あたためて あげよ~♪) ですね 。 まさかこんなところで薬師丸の美声で尾崎豊が聴けるとは。たぶんここでしか聞くことできなかったすごくお宝。鳥肌立つほど素敵な歌声でした そこ 本編の合唱隊より感動。 しかしもっともっと大事なポイントとしてそれは、あの木彫りの熊です いいや 正確には熊にかぶりついたシャケの木彫り(しかも手乗りサイズのミニサイズ) あれってどこかで売っているのならばぜひとも欲しい かなりお宝 気に入った! とか、つまりあんまし本編の大事な部分とはあまり関係のない感想ww 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-06-22 22:20:13) (笑:1票) |
《改行表示》 6.《ネタバレ》 主演女優は普通の美少女かと思っていたが、この映画では変顔を惜しみなく見せており(これを見るのが鑑賞動機)、それでいてちゃんと美少女としての印象も出している。何よりこの女優の表情が見どころの映画である。 また序盤のコメディ部分がかなり笑える。主人公の我田引水的な妄想が実体化して飛んでいくのも可笑しいが、フェロモンに誘引されて鱗翅目の昆虫(大型!)が飛来したのは爆笑した。 ところで個人的に合唱にはいい思い出がない。熱心な音楽教員が児童に歌わせたい理想の歌を、学年全員に歌わせたことで一体その何割が合唱嫌いになったことかと思う。合唱部なり合唱団に属していれば、どんな曲でもいわば“業務”としてやらなければならないだろうが、それでも個人の嗜好に関わらず「自然な笑顔」を強いられるのでは多少なりとも自己洗脳が必要になり、「将軍様を讃えてる」と揶揄されるのも無理はない。 しかし逆に人間であるからには感情が顔に出てしまうのは仕方ないわけで、劇中でも「私の青空」を即興的に歌ったときの楽しそうな表情は見ている側も嬉しくなる。一連の事件の経過を受けて主人公の心境にも変化が生じていたらしく、アンコールの段階になればもう、写真愛好家の馬鹿に見せつけてやるに十分な最上の笑顔を見せていた。ソロ部分の歌い出しは主人公のドラマに即して聞くと心に染みるものがある。 ここで指揮者が反対向きになっていたのは実際あることなので珍しくはないだろうが、アンコールとはいえ“業務”だったはずの合唱が、最後は全員が心から共感できる歌に変わっていたのは本当に感動的だった。独りで歌えばいいと思っていた主人公がこういう場面に居合わせることができたのも、やはり初めから「みんなと歌う」ことを志向していればこそのことだろう。自分としては今でも合唱など男のすることではないと思っているので他人事ではあるが、この映画を見ていると、改めてそういう人々がうらやましいと思わなくもない。 そのように一般人にも歌う喜びを感じさせる一方、合唱側の人々にも一定の注文を付けたように見えるところがあり、合唱人と一般人の間の越えられない深い溝に何とか橋をかけようとした映画のように感じられた。コメディ部分はともかくとして、合唱というものを真正面から真摯に扱った映画として評価したい。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-11-25 18:58:41) (良:1票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 合唱の時の『変なカオ』たしかに気になりますよね。国語の時間の音読、英語の時間の発音、体育の時間の気張った顔、いろいろなシチュエーションにも言えることでしょうけど、ほんの入り口でウジウジしてることやバカにしてることのなんと多いことか! 『一生懸命やってりゃ変なカオにもなる!』清原選手の野球カードを片手にそう言い切ったゴリさんのなんとカッコのいいことか! どーせやるなら見かけのカッコよさより、中身のカッコよさですよね! あと、周りも揚げ足とったり、冷やかしたりってのも考え直さないと、どんどん閉塞していきそうですからね。 しかし夏帆さんはかわいくて、あれで変ガオだなんて言っちゃったら、そりゃキビしーですよね…って揚げ足とっちゃった。ごめんなさい、万人に観てもらえるいい映画だと思います。 【ろにまさ】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-04-03 17:37:48) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 すっごく感動しました。「フラガール」みたいな安い映画なのかと思って、しばらく敬遠していたのですが、今回見て、本当によかったです!出だしではコテコテのコメディと思わせておいて、なんという感動!!中盤からラストまで泣きっぱなしでした。映画を観てこんなに泣いたのはめずらしいです。 【コウモリ】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-10-16 17:01:03) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 公開時以来久しぶりですが、二度目のためか安心して見られました。ゴリが高校生役だったり、前半はCGも使ってオーバーなギャグを飛ばすなど、漫画チックな作り。しかしそのおかげで、主人公であるかすみの自意識過剰ぶりも笑いの要素となり、嫌みなく描かれています。中盤以降のシリアス路線へも、違和感なく移っていけました。やはり権藤の存在は大きいですね。 合唱に関わっている人間としてありがたいのは、「歌うというのは自分の内部にあるものを表現することだ」ということを、明確に語ってくれたこと。実際、指導者の言うとおりに歌っていても、コンクールで上位入賞すればいいじゃないか、という考えもあるわけです。おそらく監督が合唱にあまり詳しくなかったためでしょうが、そういう方向に行かなかったのは幸いでした。 そういう意味では、喫茶店で「私の青空」を歌う場面が、この映画の白眉でしょう。ここでのかすみたちは、誰かに言われたわけではなく、自発的に、自分のためでなく他人のために歌っている。そして歌うことを楽しんでいる。このことを台詞らしい台詞もなく描いたこのシーンは、まさに値千金でした。 ともさかりえ以下の取材クルーが必要ないとか、いろいろとマイナスの要素もあるのですが、この「私の青空」だけでも高評価です。 【アングロファイル】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-10-16 13:43:52) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 歌ってるコーラスを見ると、たしかに感情表現がオーバーな人が必ずいて、そこから自信過剰・自己陶酔のヒロイン像を生み出したってのは、うまいところを突いた。陶酔のあまりいつもポカーンと口をあけているヒロイン。これに男性合唱団が絡んでくるとなると、恋愛ドラマも絡んできそうなところだが、この男性合唱団がとんでもないキャラクターで、そこでこの映画は膨らんで成功した。恋愛はどうってことない生徒会長との脇筋に押しやり、この副主人公格の男性合唱団長とは、子弟の関係になるところがいい。なんとこれは、求道の映画なのだ。港で訓戒を垂れるところはさながら秘伝伝授の場で、大事なところで後ろの連中がハミングを入れだすのには笑った、このセンスは貴重だ。真剣になっているとき、顔なんか気にしちゃいけない、って訓戒。そういえば浅田真央だって三回転半跳んでるときは凄い顔してる。合唱大会、ヒロインのとこのコーラスより、前の男子校(ケチャがはいるやつ)のほうがうまく聞こえたが、ここはヒロインのとこのほうがうまいんだ、と思って聞くのが映画の観客としての礼儀だ。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-12-27 12:20:00) (良:1票) |
1.「俺、これから永遠に語り継がれることしか言わねえから。」という前フリ自体が、実際に映画の中でその後に続いた台詞よりも永遠に語り継がれるに値するだろう。しかし個人的には、この作品の真の価値は、加勢大周(女子高生にキャーキャー言われる生物教師役)と石黒英雄(女子高生にキャーキャー言われる生徒会長役)が『中身スカスカな二枚目』というキャラクターをバトンリレーした作品として、そして、間寛平が夏帆の祖父役だったというすばらしいキャスティングを実現した作品として記憶されるのではないかとにらんでいるが、いかに?? 【wunderlich】さん [映画館(邦画)] 8点(2008-05-12 19:18:29) (良:1票) |