6.《ネタバレ》 「ええ~?こんな映画に10点~?」という人がほとんどでしょうけれど、見終わってマジで10年に1本あるかないかの大傑作!って思ってしまったんだから仕方ないです(笑)。予告編を見た限りではB級ボンクラアクション映画?って思ってましたが、これがもうど真ん中ストレート真っ当な青春映画だったりして。チェーンソー男は誰にでもいる存在。そこにぶち当たってゆくか、逃げ出すか。実感のない生と甘美な死の二極に囚われた主人公が、人生に折り合いを付けてゆく物語は、誰にでもある苦悩を判りやすく象徴していて、主人公の迷いとは逆に映画の視点には全くブレがありません(絵理は本来死ななければならない筈だったのを必死に死から逃れている状態という事で、主人公とはチェーンソー男の意味するところが違ってきますが)。日本映画には珍しい、きっちり手をかけたカット割りや綺麗な画。メインタイトル部分のカッコいいこと! シネスコ画面いっぱいに飾られた映像の快楽運動が、やがて一編のシンプルで爽やかな青春映画へと昇華されてゆく、この幸福感。登場人物ひとりひとりがみんな愛すべき存在で(特に主人公と寮で同室の、何をやっても中途半端な芸術志向の同級生に強いシンパシーを感じたりして)、見ている間ずっと幸せな気分になれた最高の映画でした。生きてる限り、雪は降るのですなぁ。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 10点(2008-01-30 01:12:22) (良:3票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 非常に原作に忠実な、まじめに作られた作品だと思いました。 登場人物のキャラクターから話の筋まで「なぜここまで」と思うほど忠実な作品でした。主人公の彼が語り部となりながら物語が進行するところに忠実さが出ているのだと思いますが、特筆すべきはラストの決闘シーンでの関めぐみさんの演技です。絵里とチェーンソー男の決闘に駆けつけた彼は、「絵里ちゃん!」と叫びます。そこでチェーンソー男に追い詰められた絵里はなんともいえない「泣いたような笑ったような」表情をします。 このシーンは原作でも「泣いたような笑ったような」と記述されていました。絵里はチェーンソー男に殺されかけ絶体絶命の中で彼に再会します。彼に会えてうれしいけどもう私は死んでしまう、というような感情でしょうか。映画化されると聞いたときからこのシーンをどのように描くかと思いましたがまさか原作の活字のとおりに表現されるとは思いませんでした。関さんの演技はすばらしく、絶望の中の歓喜を演じた関さんの目にはまるで儚い希望の光を見たようにさえ思いました。 全体的に明るい雰囲気の作品ですが、彼と絵里の日常にはすぐそこに「死」が存在し、戦わなければ「生」を得ることができません。生きることを正面から訴えた作品だと思います。 彼の締めくくる「生きている俺が羨ましいだろ」という言葉がすべてを表しています。 【パンツァー・フォー】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-01-13 22:31:59) (良:2票) |
《改行表示》 4. なんかチェンソーを持った怪人と戦う美少女が居て、その美少女に一目惚れした少年が一緒に戦っていくという中二病全開ストーリー。 時代劇風の格好いいオープニングでいやがおうにもアクションに期待が高まるが、この映画にアクションを期待してはいけない。殆どCGとワイヤーで誤魔化されたそれはアクションと呼べる代物ではないからだ。そもそも、チェンソー男のあの現実感の無さはなんだ。戦う美少女もあんな大男と互角にやりあえるほどの強さは感じられず、両者の戦いに全くリアリティーは無い。 だがそれもそのはず、これはアクション映画ではなく青春映画というに正しい。ツンデレ女子高生に想い寄せる主人公のストレートすぎるアプローチは小っ恥ずかしくもあるが、そこは市原隼人なので違和感なく許せてしまうから不思議だ。その主人公と一緒に生活する友達は芸術志向で、常に絵を描いたり曲を作ったりしているのだが、主人公には何も取り柄がなくテストでも0点をとる落ちこぼれだ。そんな主人公の焦りや葛藤、そして恋を物語は描いていく。 そして、事あるごとに主人公を待ち構えているのがチェーンソー男だ。それは夢幻かもしれない。しかし、それを乗り越えようとする事で少年は一層成長していくのだ。チェーンソー男は誰の人生にも潜んでいるのかもしれない。 【ヴレア】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-11-13 17:45:49) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 もちろん冷静に観ればいろんなチープさに気がつくんでしょうが、そんな余裕がないほど感情移入して観てしまいました。 「ごめんなさい」と謝れば、あるいは刑務所に行って「罪を償えば」、全てが許されると思うような粗雑な考えに染まらずに、絵理の持って行き所のない悲しみ、怒りに感情移入できるような人間であり続けたいと思います。 キャスト的にも最高でしたね、最近ドラマでよく見る浅利君のふにゃふにゃした、それでいてどこか芯が通った雰囲気好きですし、三浦春馬が切れたときに出す声も好きです。 それに何といっても関めぐみ! 長身、広い肩幅、ブレザー、チェックのマフラー、戦闘シーンのきつい眼差し!! 少なくとも、この映画の彼女は自分の理想を具現化したような。 ただ、大人二人の語りがいささか陳腐だったのでその分だけマイナスです。 【rhforever】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-05-03 12:24:06) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 チェーンソー男との戦いは、絵理と陽介の心の中の出来事。共に大切な人を亡くしたばかりの憔悴した心が作り出した幻。しかし顔に傷は残っていた。チェーンソーに割られた水筒も消えてなかった。先生のバイクは黒焦げです。妄想オチでお茶を濁していません。このファンタジー処理がとても気に入りました。チェーンソー男は実在したということです。少なくとも2人にとっては。関めぐみが市原に冒頭で言う「誰も信じてくれない事は実際には無かったことと同じ」の裏返しとも言えます。「信じてくれる人がいればそれは真実になる」。2人は確かに戦った。それが現実の世界か空想の世界かを問う事に意味はありません。重要なのは戦った事実。生き残った結果。だから今、だらだらと幸せを味わえる。それで十分です。家族も親友も、ある日突然居なくなる。地球もいつか消えてなくなる。そして自分も。命あるものが死ぬのは必然です。誰も逃げられない。だから“どうする?”“どうしたい?”誰でも必ず自問自答する。その答えが本作には在ったと思います。愛しい人が傍にいる幸せ、自転車を2人乗りする楽しさ。それが生きる意味って答えじゃダメですか。本作は至極真っ当な恋物語でした。そういう意味で、本作のヒロインは主人公が一目惚れするくらいとびきりの美人じゃなきゃいけなかった。関めぐみちゃんには花丸を差し上げたい。もちろん市原くんも感情移入し易いキャラクターを創り上げてくれました。彼の相棒もイイ感じです。青春SF?ラブストーリーの佳作でした。追伸。防御力1.62倍の鎖帷子、あれ、欲しい。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-04-18 21:49:36) (良:1票) |
1.深い悲しみにぶちあたると、この世界の全てが無意味に思えてくる。人はいつか全てが死に果ててしまうのなら、僕らはなんの為に今を生きてるのか?まー、そんな思いなんてどーでもいーけど、そーゆうものを含めて、人生には疑問が多く、悲しみも多い。そして生きるて事に刹那を抱いた人にチェーンソー男はやってくる。何度も何度も戦い、倒しても死なない不死身の存在は、人生の不条理を矛盾を具現化した最大の敵。本気でぶつかれば、倒せるかもしれない。しかし、その向こうの世界も結局はかわらない。ただ、乗り越えたものだけが、深い悲しみから、無意味に思える人生から、また立ち上がって、やっていけるんだろう。ダラダラとそして力強く。そんな思いにふけりながら、ときおり、はさまれるチェーンソー男との派手なバトルを観ていましたが、これは誰もが経験するかもしれない青春映画です。 【なにわ君】さん [DVD(邦画)] 5点(2008-09-19 14:56:24) (良:1票) |