《改行表示》 4.《ネタバレ》 アニメで、このような表現ができるとは驚いた。アニメファン以外にも観ていただきたい作品である。 ・・・ 淡々とした冒頭のナレーションが、重々しい雰囲気を醸し出す。 荒廃した時代背景。下水道で作戦を企てるテロリスト達。高度な技術で描画されるトコトン暗いシチュエーションは、 これから起ころうとする何かを予感させ、緊張感を高めてゆく。その緊張感を突き破るように現れる特機隊、 この迫力は凄いとしか言いようがない。 アクションシーンは、これでもかとばかりに押し付けがましく見せられると辟易する。 また、同じアクションシーンでも見せ方によっては陳腐なものになってしまうだろう。 しかし、この「人狼」は違う。少ないアクションシーンを、静けさの中に見事に際立たせている。 静と動のコントラストが、迫力を増すのに素晴らしい効果を生んでいると思う。 登場人物の表情についても、同じことが言える。主人公の伏をはじめ、無表情なシーンが多いが、 だからこそ悲痛な叫びを表す表情に迫力が出るのだと思う。 終始喜怒哀楽を表していたのでは、大切なシーンでの表情が埋もれてしまったであろう。 ストーリーに童話の赤頭巾をオーバーラップさせ、悲恋の物語としているところも、絶品である。 多少難解とも思えるストーリー、さらに細かい説明を省略する手法は、観る者を検閲するかのように集中力と洞察力を要求する。 たが、ひとたび物語りに引き込まれると、自らの力で展開を解読してゆく快感から逃れられなくなる。 それゆえ、伏が雨宮を撃ち殺すラストシーンは、悲しいとか悔しいとか一言で表現できるものではなかった。そこには、 頭を何かで殴られたように、ただ呆然としている私がいた。 【Gang10】さん 10点(2004-07-20 00:41:15) (良:1票) |
3.暗く、重い映画ですし、絵も技術力は高いんでしょうけど、一般的に好まれるものではありません。ただ映画としての出来大変素晴らしいです。伏線の張り方、ストーリー、キャラクター設定の不備の無さなど文句の付け所が無いです。この作品はアニメファンではなく、映画ファンが見るべきですね。 【Я】さん 10点(2004-02-21 18:35:29) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 なぜこの結末なのか・・・ほかの道はなかったのか・・・ 見るたびに雨宮圭というキャラクターに引き込まれ、彼女が幸せになれるエンディングを期待してしまい、そして裏切られる。 もし異なる結末が二人の間にあったなら それは押井守の作品ではなくなってしまい駄作になってしまうのかも知れないけれど、やっぱり私は異なる結末を期待してしまう・・・ 人狼は私にとって最も感動した作品ではないし、最も笑えたのでも最もなけたものでもないが、最も心に残る作品である。 【Enid】さん 10点(2003-10-13 01:13:51) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 丹念に、そして控え目に織り込まれた伏線がこの作品の深い理解に複数回の鑑賞を強制するが、童話「赤ずきん」をモチーフに出来るだけ虚飾を廃したラブストーリーを丁寧に描き切ることによって、これだけ重い内容でありながら決して食傷しない作品に仕上げることに成功していると思う。そして、この作品の最大の見せ場は、やはりラストシーン。男の心に留まりたいと欲した少女自身の意志が、男に引き金を引かせた残酷な結末。それでも美しいと感じるのは、決して感情を表に出さなかった男が剥き出しの苦悶の声を上げ、少女は精一杯の想いを込めて彼の胸にしがみつき懇願することで、眩しい程の愛の煌めきを見せてくれるからだろう。私にとってベストアニメではなく、ベストシネマ。 【スナフキン】さん 10点(2003-08-08 00:59:35) (良:1票) |