6.《ネタバレ》 静止する人々、髪留めをおもむろに抜く読書中の女性、建設現場で次々と飛び降りてくる作業員たち、木に突進する車、芝刈機を動かす男…などなど自殺者のシーンがとても痛々しくて目を背けたくなります。その自殺を引き起こす前兆が、吹いてくる風、車のルーフにある切れこみ、ブランコでしなる木などで演出されるのですが、シャマラン監督はこういうのがとっても巧いと思います。最後に逃げ込む家の異様さもたまりません。・・・ただストーリーテラーとしてのシャマランのアイディアは枯渇してしまったのかと心配になってしまいます。例えば彼らが守るものはなぜ親友の子供なのかなど十分に機能しているとは思えません。「サイン」と同じように正体不明?の恐怖に襲われる…あるいは「ヴィレッジ」と同じように愛する者のために安全な空間から危険な外へ出て行く…のですが、「サイン」のように神の啓示で、「ヴィレッジ」のように愛の力で乗り切るわけでもありません。まさかシャマラン監督が地球の環境問題を題材にしているとは思えませんので、人知の及ばぬ圧倒的な力を前にした時、ただただ愛する者のそばにいたいということなんだと思います。スピルバーグ監督の「宇宙戦争」では人類は協力してトライポッドを撃破しましたが、本作では集団はダメだと言います。最後には男と女と子どもだけ、純粋に立ち返った時に助かります。だからこそ最後の妊娠関連のシーンがいずれも印象的で良いのです。 【ミスター・グレイ】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-08-15 18:30:03) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 基本的には「ツイスター」「デイ・アフター・トゥモロー」のような ディザスター・パニック・ムービー。 ただしシャマラン監督という事で普通の災害映画とはやや毛色が違います。
とにかく、冒頭から目をそむけたくなるほどのショッキングな自殺シーンのオンパレード。 群衆が一様に立ち止まり、後ろ歩きを始め、次々に命を絶っていく様は さながらレミングの集団自殺のよう(←都市伝説ですが)。 その狂気と絶望と悲壮感に満ちた光景は 見る者に一種の破滅的カタルシスを感じさせてしまう程です。
もちろん衝撃的な映像だけが見所ではなく 主人公達の心の葛藤や人間ドラマなどもちゃんと描いており 最後まで飽きることなく見ることができます。 「連絡管を使って話すシーン」 「人工の観葉植物に話しかけるシーン」 「数学教師らしい方法で女性を鎮めようとするシーン」 などは、好きなタイプの演出です。
不満もあり「見えない物の恐怖」と「自然の人間への逆襲」を同時に描こうとして 結果として映画としての鋭さを失ってしまったように感じられました。
特に気になった部分は
●「攻撃」自体が見えなくても「敵」の正体がおぼろげながら 分かってしまった=未知でなくなった時点で、以降の恐怖が大幅に緩和されてしまった点 ●物語中盤でただの農場主が行った推理が、結局そのまま真相だったという点 ●全てを「自然の事は完全には分からない」=「”ハプニング”だから」で丸投げしている点
…などです。
極めつけはあの「ミセス・ジョーンズ」の存在であり、あまりに強烈な彼女のサイコっぷりは 「真に恐ろしく理不尽なるは、幽霊でも災害でもなく、人間そのもの」という 監督が表現したいものとはまったく違う印象を我々に与えてしまっている所でしょう。
さらに言うなら、ラストシーンのあまりに「優等生」的な作り方は、らしくない。 ホラーやスプラッターによくある定番の”オチ”を付けるのではなく 「シックスセンス」や「ヴィレッジ」のような”大どんでん返し”をして欲しかったです。
ま、自分は「作品の意味」「説得力ある筋書き」等はあまり気にしないタチなので 事前に見たレビューサイトの酷評に反して、結構楽しめちゃったんですけどね。
「宇宙戦争」とよく比べられる本作ですが 家族愛がしつこすぎない点と、ズーイー・ デシャネルがエロカワイイのでこっちに軍配! 【渡部シンイチ】さん [映画館(吹替)] 7点(2008-08-12 03:28:01) |
4.《ネタバレ》 ここでの評価がイマイチなので、観に行くべきかどうか迷ったけど、マーク・ウォールバーグ見たさに行ってきました。期待していなかったのが良かったのか、思ってたより面白かった。でも最後主人公3人が死んでた方が面白かったかも。ついさっきあのサイコばあさんが死んだばっかりなのに、「異変はおさまっていた」なんてオチ、説得力に欠けます。私自身、自分が親になるまであまり気にもとめていなかったけど、子供が出来たらこの地球の末期的な状況を危惧するようになりました。こんな世の中でも、人は必死に生きていて、これからの地球を生きる子供がいて、さらに生まれてくる命もある。物語終わりの妊娠発覚シーンはそんな意味合いが込められていたのでしょう。一人一人が人ごとではなく、今が良ければ何でもいいっていうんじゃなく、真剣に自分たちが生きた後の時代のことまで考えなくちゃダメですよね。 【あやりん】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-08-08 11:23:10) (良:1票) |
3.得体の知れないものから逃げる恐怖を描くというものとしては最近のものだと「クローバーフィールド」とか「宇宙戦争」を思わせるが、VFXに頼らずその恐怖感を描ききっているというのはすごい。 見ている間は引き込まれた、これだけで十分。結局何を言いたいのかは見る人それぞれ想像すればいいと思う。 【とと】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-08-03 18:40:45) |
2.《ネタバレ》 ハプニング=何か、なのだ。あの超常現象はこの映画では「何か」と言われるに過ぎない。人々が自らを殺め続ける、苦しく毒気の強い画はやはり隠れ蓑で、今回は人間という生きもの、その芯にあるものを捉えようと監督は頑張ったように思える。非常事態をまずテロと報道し、原発やCIAを疑い、邪魔者は撃ち殺す。身内を疑う猜疑心にまみれた人類と、未曾有の恐怖の只中でそれを何とかはね除けた主人公の話。人物アップの多用や、人間以外の動物がほぼ出てこないことも気になる。そういえば自らを殺す行為は、数ある生きもののなかで人間だけが行う行為だと聞いたことがある。と、こう書くと深そうな感じもするけれど、相変わらずヘタクソだし、まあそこはシャマランだし。それでも物語に人を引き込むエンターテイメント性は充分持ち合わせた映画だと思う。ジョン・レグイザモのキッパリとした美しさに恋をし、点数は大幅アップしそうだったけれど、やはり心に厳しいシーンの打撃が強く、ギリギリ合格点。 【のはら】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-07-31 21:32:33) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 味わいのある映画。監督がシャマランなので、ホラーやスリラーじゃない。
人がいちばん怯えていたのは、大切な人が死んでしまうことや逢えなくなってしまうことで、その状況下でのドラマが主題でした。こういうの好きです。シャマラン的には、サインの別企画なんでしょうか。この映画も宇宙戦争のオマージュがちりばめられています。
サインにはなかった納屋の男的なエピソードがこちらにはきちんと入っています。観ていてだんだんハハァ、とわかってくる作りが秀逸でしたがテーマ性とシャマラン性のバランスがやや良くない感じも。新しい方向を模索してるのかもしれないですね。
それから邦題が良くない。素直に直訳の熟語で良かったと思うんですよね。日常を破壊する「出来事」を体験する映画として見ると楽しめます。オチとかどんでん返しの突飛さにばかりフォーカスされますがそういう映画はもう撮らないのかも。 【黒猫クック】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-07-27 20:29:45) |