7.《ネタバレ》 監督は一般にドラマ路線のイメージの強い人ですが、「エルム街の悪夢3」でデビューした、元はこっち方面の人。その時代の「ブロブ/宇宙からの不明物体」は出色の出来で、観客の先読みを読んでその裏をかいてきたり、静かなテンポからスペクタクルへの大転換をやってみせたりと、B級モンスター作品でありながらかなりの技量を見せた人物です。また「ザ・フライ2」や「フランケンシュタイン」では異形の者の悲しみを描いており、ホラーとドラマをこなす人物なのですが、その2つの才能が本作では見事に発揮されています。丁寧かつ周到な人間描写と、タイミングを心得たモンスター描写の巧さ。何も見えない霧という設定が非常に秀逸なのですが、外部の状況が読めない、解決策が見えない分、人々は答えをスーパー内部に求めようとします。最初は「変な人ね」とバカにされてたあのウザイおばちゃんが、人々の不安の中で多数派の指導者となっていきます。主人公のような具体的な行動は何ひとつしていないのですが、「悔い改めて神の意志に従うことで救われる」という解決策を唯一持っている人物なので、答えを求める人々が彼女の元に集まってくるのです。そして宗教的な熱狂と集団心理から、何の責任もない下っ端の軍人をリンチし、子どもを生贄として差し出そうとまで言い始めるあたりの怖さとリアルさ。主人公もまた、この事態から脱するための答えを求めています。彼の信じた答えはより現実的で、駐車場の車まではなんとか辿り着けるだろうから、車に乗ってともかく行けるところまで逃げようというものでした。観客にとってもマトモに思える答えでしたが、これを正解としなかったのがこの映画のニクいところ。エンドクレジットで響くヘリの音は軍による大規模な救援を意味し、スーパーに留まっていればじきに助けが来ていたことの暗示でしょう。「主人公のやることは最終的に正しい」という映画の定石を逆手にとり、とんでもなく絶望的な印象で映画を締めくくってしまいます。またモンスター描写も圧巻で、モンスターが登場するシーンはそれほど多くないのですが、圧倒的な恐怖演出と描写の不快感、タイミングのうまさで、終始とんでもないモンスターに取り囲まれているという緊張感が全編を貫いています。ここまで全身に力を入れながら見入った映画はここ数年なかったと言えるほどで、久しぶりに10点を献上できる作品に出会いました。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 10点(2008-06-02 02:46:37) (良:8票) |
6.《ネタバレ》 最初は、陳腐なB級テイストで、キングの映画化でダメなやつの匂いが出ていて、大丈夫かな~、って思って観てましたけど、巨大イナゴが出てきた時点から、のめりこみました。人間、怪物、それぞれの怖さが浮き彫りになっていき、なんだかいいようのない不安な気持ち。キモイだけのオバサンが怖い存在になっていき、ヒーッ、某カルト教団の教祖みたいだ。そして、色々登場しだす怪物だち。特に後半出てくる、巨大なやつ。単なる怖さを通り越して、畏怖だわ。そして賛否両論のラスト。もし、あれが国家の縮図なら、銃を手にしたことで、あきらめる選択を武器をえてしまったことで、最悪の結果へと早めてしまうのでは?とゆーことなのか?最初の救いを求めたおばさん、誰かに手をさしだせば(国家としても)、ひょっとして、あのおばさんのよーに助かったのでは?とゆー皮肉なのか?わかんない。まー、今の世界情勢も人々の将来もある意味、霧がかかって、先行き不安ではあるが。でも、なんにしろ、次の日まで嫌な余韻をひきずってしまいました。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 10点(2008-10-06 00:41:53) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 素晴らしい映画。●タイトルから勝手に「夏場の冷たい霧のサービス」をイメージ(俺ってバカだな)。爽やかな映画と勘違いして、ずっとDVDレンタル店で無視していた。テレビ放送で気に入った。好きなんだ、良く出来た「いざこざ」。●ダラボン監督の名前は、この『ミスト』で憶えた。バカボン、ウイスキーボンボン、モランボン。雑誌『スタジオボイス』でダラボン監督のインタビュー(2008年6月号、P68-69)を読み、ホラー好きを確認。映画の結末は原作と違うそうだが、原作者のキングは大絶賛したそうだ。●さて、この映画を嫌悪してる人が多いようだが、「善良を最大の美徳とするような人」は、ホラー映画は観ない方がいいのかも。■善良な家庭の食卓に並ぶ美味しい肉料理は、食肉工場で人が作る「家畜の死骸」を切り刻んだもの。美女も美少女も「死肉」を食べて成長する。「胸のふくらみ」もね。また牛乳も卵も、「自由」を奪われた家畜の体内から。嗚呼、人間は恐ろしい。毎日の大前提が恐ろしい。★この映画の最高に素晴らしい結末に「10点!」。あの巨大生物の映像はもちろん、主人公の行動が本当に素晴らしい。あれがあの状況でのベストの選択だったと思う。 【激辛カレーライス】さん [DVD(字幕)] 10点(2015-06-20 09:47:07) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 せっかちすぎて失敗ばかりしてきた人にとっては、へたな感動映画よりポジティブになれる作品だ。 【日下部みさおは俺の嫁】さん [DVD(吹替)] 10点(2011-07-09 17:21:36) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 CGのちゃらさになんじゃこりゃとがっかり。・・・が、そんなの吹き飛ばす勢いの怒涛の展開が待っている。まさかこんな展開になるなんて誰が予想できようか?目が離せませんでした。動悸も止まらず。これほどまで衝撃を受けた映画はそう無いです。ラストの戦慄めいたオチも個人的には大ヒットで、エンドロールのヘリの音がたまらなく寂しい。極限状況下におかれた人間の狂気っぷりがぐさっと心に突き刺さります。下手にBGMを入れない感じもグッド。おそらく彼らはスーパーから脱出した後、霧の中に神聖めいた巨大なビートルの存在を見、この世の終わりを悟ったんでしょう。故の決断だったと思うんですが、まさかあんなオチが待っているとは。これほど後味の悪い作品はそうお目にかかれない気がする。記憶を消して何度も何度も観てみたい。完全なる名作。 【ピンフ】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-03-09 04:33:34) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 2008年公開の最高傑作、ダークナイトさえなければ、間違いなく1位をさらっていた。ここまで引き込まれるサスペンス/ホラーがあるだろうか。「異次元の怪物」という一見してチープなモチーフとは裏腹に、この人間がもちうる狂気は何だ!集団心理、極限の状態に追い込まれた者が理性から狂った宗教へ転落する様、すべてがリアルすぎる!まるで自分があのスーパーに閉じ込められたような気になる、まるごと劇場ごと。そんな空気さえ形成させるほどの撮り方、これはうますぎる。キング作品のもつ雰囲気・特徴を見事、撮影に実現させしめた。DVDでは半減、劇場で見なければ意味がない。何よりもこのラストよ、驚愕、衝撃、唖然、言語を絶するとはこのことよ。鳥肌がたって劇場を去ることができなかった。とにかく何よりもまず観てほしい、部屋を暗くして、液晶テレビで、大型32型以上で、5.1CHサラウンドで! 【JUKE】さん [映画館(字幕)] 10点(2008-08-10 23:08:36) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 まず。 「パニッシャー」に引き続き、愛する家族を守れなかったトーマスジェーン(主役)に 合掌―――。次は良いことあるさ(次回作はなんだ??)
「ミスト」面白かった笑えた。リアルさは極力音楽を流さなかった演出ぐらいで、 何故かマジメに見れなかった。その中で印象に残ったシーンは―――。
まず、無邪気に光で虫みたいのを呼び寄せ観察してる君達。 好奇心旺盛なのはいいが、サイズを見ようねサイズを。 これじゃあゴムボートでカジキマグロを釣ろうと餌まいてるのと一緒だよ。 あと、少しは見た目で判断しようね。とても獰猛そうだよコイツら。 ほれ言わんこっちゃない。前線で「ライト消せー!」後方で「ライト点けろー!」 結局は映画スタッフが「クリチャーの撮影には照明必要だから、そのまま点けてていいよん♪」てな声が聞こえてきそうな展開で、最悪の事態に突入。 敵が来たゾ!さーモップに勇ましく火をつけて→宣戦布告「俺も男だ!いざ!勝負!!うぉぉぉぉ」で、バナナの皮を踏みつけたかのように、見事にスッテンっ炎上→戦線離脱・・・まさに勇み足(笑)店内は滑りますから。
メガ陰鬱~あのカルト教祖オバサン嫌だよ~演技と分かっててもやだよ~。 最後はおぞましいクリチャーに変態するんじゃないかと、 ビクビクしてたら、ずどんっ!!ずどんっ!!って、ありがとうピストルさん。 何故か銃を手放せない国の人達の気持ちが分かったような気がする。 だってあの危機的状況を打破するには、ピストルさんの力が無ければ子供は危険だったよ。
最後。トーマスジェーンがクルマから降りて、ボンネットを叩き 「ばっちこーーい!!ばっちこーーい!!」(かかってこいの意) で覚悟を決めて、全身に闘魂を注入してたのに、タンクがキャラキャラ来てぷしゅぅ~・・ 彼のぽかーん顔に大爆笑中に、フェードアウトして 「え!?あれがオチ?」て気が付かなかった私・・・
『映画史上かつて無い衝撃のラスト』は「望みは捨てるな」ってことかよ。イジワルゥゥゥ 【シロちゃん】さん [映画館(字幕)] 10点(2008-05-30 22:27:53) (良:1票) |