6.こういう、恋人や夫が戦死したと思い込み、女性が身を持ち崩してしまう悲劇は、この日本でもいっぱいいっぱいあったらしい。この「哀愁」の、日本での翻案もの「君の名は」が、ここまでのド悲劇にしなかったのは、日本だとあまりにリアルになり過ぎてしまうからだったんではないか。<br> この「哀愁」では、登場する男性陣はみな大甘で、ヒロインのことにあまりに寛容。これと対象的に、女性の眼は厳しい。まずはバレエ団を取り仕切る教師だかの存在。恋愛にうつつをぬかし規則を守らないヒロインをバレエ団から放逐する。これは考えれば当然ではないかという面もある。相手の男も、彼女のことをもっと思いやるべきだ。次に、その男の母親の厳しい眼の前に、ヒロインは何も隠せないことを悟る。母親は彼女をとがめ立てたりはしていないのだけれども、ヒロインに、その過去を決して捨て去ることは出来ないと認識させる「現実性」を持っている。この母親の視点は、おそらくはこの映画を観ている、観客の視線ではないのか。観客も彼女の幸福を願うけれども、過去の過誤は彼女をこれからもずっと責め苛むのではないのか、男もいつか彼女の過去を知ってしまうのではないのか、そう思いながら画面を見ているだろう。ヒロインは、そういう視線にさらされることで、忌わしい過去をごまかして生きていくことは出来ないと悟るのではないだろうか。その観客の眼の中にこそ、メロドラマを構成するひとつのポイントが、厳として光っている。そんな観客の加担ゆえに、このメロドラマはいっそうその悲劇性を観客に際立たせる。 【keiji】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-03-25 23:15:25) (良:3票) |
5.ヴィヴィアン・リーの伝記を読むと「風と共に去りぬ」は当然としても「欲望という名の電車」などに比べ、この作品についての言及があまりに少ないのには驚かされる。おそらくアメリカじゃこの映画はあまり高い評価を得ていないのが原因かとは思うが、それにしてもなあ・・・。公開当時「人工甘味料の甘さではなく白砂糖の甘さ」と評した方がいたそうだが正に言い得て妙、俺も同感です。だとすれば馬鹿デカいだけの、ただただ大味なケーキを好むアメリカ人より、繊細な味を好む日本人の方がこの映画に関しては正当な評価を与えているんじゃないかって自分は思ってしまうわけです。 |
4.昔、深夜放送で見て、ラストのロバート・テイラーの顔を見て、悲しくて悲しくて、深夜だってのに、オイオイ大声で泣いてしまった。ビビアン・リーは最高に美しくて、悲しい。昔の役者は、演技力より何より、顔!顔が命!美男美女の悲恋は最高に泣ける。 【パキサン】さん 10点(2002-09-23 08:21:37) (良:1票) |
3.駅でのシーンが忘れられません。男性を誘う目つきから一転して、本当に純粋に一人の人を愛する目に変わるヴィヴィアンの表情の変化に心打たれました。戦時下にありがちな悲しい物語ではありますが、ヴィヴィアンの美しさや、雰囲気にとろけてしまい、何度も見たくなった私はビデオも買いました。だからもちろん満点です。 【もちゃ】さん 10点(2001-08-01 13:22:27) (良:1票) |
2.個人的に「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーより、「哀愁」のヴィヴィアン・リーのほうが好きです。どの角度から見ても美しい顔に、思わずため息が出てしまう。高潔な女性を見事に演じていたと思います。キティとの友情も見ていて心温まるものがありました。哀愁に満ちたシーンやメロディが脳裏に焼きついた。 【まき】さん 10点(2001-06-14 01:05:23) (良:1票) |
1.原題は「ウォータールー橋」。ウォータールー橋ではじまりウォータールー橋で終わる。そう、私もマニアの人が良く言う、「ウォータールー橋」って言う原題に合わせるべきだと思う派なのです。 【☆】さん 7点(2001-03-16 00:07:36) (良:1票) |