7.ネタバレ アメリカにはミーガン法という法律がある。この法律によって住民は性犯罪歴のある人間の情報を簡単に手に入れることができる。極端なことをいえば、元性犯罪者は「わたしは性犯罪で逮捕されたことがあります」というプラカードを首にぶらさげてずっと生きていかなくてはいけない。これは性犯罪者の再犯率の高さを憂慮して作られた法律であり、住民は危険な人間がそばにいることを事前に知る権利があるというわけです。従ってこの映画は「元性犯罪者」は必ず性犯罪を繰り返すという前提がある。それは事実かもしれないし違うかもしれない。今回のリチャードギアは殴る、蹴る、怒鳴る、相棒の女に銃をつきつける、もうやりたい邦題です。「その男、凶暴につき」のタケシのようでした。彼の仕事は出所した元性犯罪者を監視する保護観察官です。これでも正義の味方なのです。アメリカでは2分のあいだに1人が必ず性犯罪の犠牲者になっているという。しかしこれは露見された性犯罪の人数であり、未遂や表に出ない性犯罪はもっと多いはずだ。性犯罪者の数が圧倒的に多いので、保護監察官はたった1人で1000人の元性犯罪者の監視をしなくてはいけない。これがアメリカの現状です。リチャードは神経をすり減らし、しだいにダークサイドに落ちていく。犯人は誰なのか?という謎解きの要素よりも、リチャードが最後にどうなるのか?ということに重点が置かれている。メーガン法は日本人の感覚からいえば少し厳しすぎる。この法律だと必ず集団ヒステリーが発生します。しかしアメリカ人の宗教観というのがミーガン法をつくらせたのだと思う。人は罪があるから神から罰を受ける。どんな大人にも必ず罪はある。しかし罪のない子供が罰(性的虐待)を受けているという事実がある。この事実だけはアメリカは到底受け入れられない。つまり神がいないということを認めてしまうことになるからです。沈黙を続ける神にふりまわされ、くたくたになってしまった主人公の保護監察官はアメリカそのもの。アメリカの病み具合を1人の香港人監督が巧く表現していたように思います。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-03-14 19:55:19) (良:2票) |
6.性犯罪専門の監察官が主人公のサイコ調サスペンス映画。 彼はどうやら性犯罪をひどく憎んでいて、公務員とは思えない無茶な行動ばかりするのだが、 その理由がわからないのでただ重苦しく、すんなりと物語に入っていけなかった。 映像演出がやたら凝っていて、これもストーリーに集中しづらい原因になっているのかも。 お話の核になっている事件の真相も、特別大きな捻りもなく、総体的に今ひとつの映画だった。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 3点(2011-07-26 06:35:03) (良:1票) |
5.ネタバレ とりあえずサスペンスが観たいという軽い気持ちから選んだタイトルが、観てみると相当重かった。。。 日本でも性犯罪者のリストを公開するとかしないとかいう報道が時々耳に入りますが、した場合どんなことが起こるかというのを具体的に映画として見せてくれたのは勉強になりました。リストを公開すれば周囲の人が警戒できるシステムくらいにしか思ってなかったのですが、リストに載ってる人同士が徒党を組むというのは「なるほど、そんなこともあるのか」と思いました。そういう意味ではこういったシステムを先駆けて導入した国の、その経験則から語ってくれたこの映画はとても貴重だと思います。
それにしてもバベッジ(=リチャード・ギアさん)の扱いはひどかったですね。あそこまで職務に忠実な素晴らしい公務員なのに、同僚から疎まれてクビだなんて。彼が悪者に徹してるおかげで周りはだいぶ助かってると思うのですが・・・。いいじゃないですか、性犯罪者たちから恐れられる公務員!!彼らになめられるよりはよっぽどいいと思いますし、リスト関係者以外の人間にはとてもありがたい存在だと思います。てか他の職員は仕事してんのか?? まあ同僚の家に侵入したりとかは確かにやりすぎですけどね。しかも女性の家ですから(汗)。一歩間違えばあなたが性犯罪者扱い受けますよってレベルの空気の読めなさで、そこは常識持ってくれって思いました。まあそれもずっと性犯罪者たちと関わっていく中で彼が失った人間性の一端なのかもしれません。なんか彼、退職後にバーンアウト症候群に陥らないだろうか、心配だ・・・。 【TANTO】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-02-09 11:41:54) (良:1票) |
4.ネタバレ 性犯罪の内容が内容だけに、見るのを拒否したくなるような気持ちの悪いドラマでした。確かに主人公の職員はやりすぎかも知れないけど、真剣に仕事に取り組んできた経験上から再犯するヤツラを見抜けるようになったんじゃないの。 彼の執念で天使も助かったんだから。ラストは彼の功績をメディアが称えたりして、クビ解除にしてほしかったな。それとも性犯罪専門の探偵事務所を開くとか・・・。報われないのはかわいそう。一種の職業病とみたので主人公には同情します。
【木村家の娘】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-10-19 23:55:38) (良:1票) |
3.ネタバレ 撮影監督出身の監督だけあって、視覚的に訴えてくる映画でした。アップの使い方やカスティスの潜伏場所での色の使い方、手ブレ映像の使い方などは、効果的だったと思う。(フラッシュ的なカットの切り替えはお腹いっぱいな感じ)リチャードは、静かに時に荒々しい怒りでこのギリギリの精神状態の主人公を演じていて、今まで知る事のなかった元犯罪者の監察官という激務を表現していた。一見悲しい被害者であるビオラの異常者への変貌ぶりも見事だった。そしてこの映画は、原題がThe Flock=群れ(犯罪者の)という通り、性犯罪歴のある人間の情報を市民に開示するこの法律が、逆に性犯罪者同士を結びつけているという側面も訴えている。目を背けたくなる映像表現は、決して遠い国のお話ではない、ある種の現実性をもって迫ってくる。 【ポテサラ頂戴】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-10-11 12:22:12) (良:1票) |
2.ネタバレ 監察官一人が担当する性犯罪者の数がなんと1000人だとか。当然のことながら、一人の人間が行える処理能力を軽く超えてるし、正義感の強い監察官なら尚の事、精神的負担は重くなるでしょう。それでリチャード・ギア扮するバベッジは度々「行き過ぎた行動」をするんですけど、そういうのが実に生っぽくて共感を覚えます。初めは普通のサスペンス映画だと思って観たんですけど、とんでもない、きちんと人間を描く骨太の作品でした。性犯罪者がどこに住んでるのか、というのが全部ネットで見れるようになってるんですけど、それが住民のためになるどころか、当の犯罪者たちのためになって利用されてたりと、影の部分も取り上げられてる。アンドリュー・ラウが初めてハリウッドで作品を撮る、その最初の作品が、エンターテイメント向きどころか、こういう社会の暗部を取り上げる硬派な作品であることに感心せずにはいられない。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-05-07 15:24:27) (良:1票) |
1.ネタバレ サスペンスとしてはイマイチ。犯人捜しがすぐ終わり、証拠を丹念にたぐっていくという面白さはなく、主人公の思い込みが当っていたという展開。米国に潜む性犯罪問題の闇を探るというには、深みもあまり感じられませんでした。 【カワウソの聞耳】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-03-23 13:29:24) (良:1票) |