6.《ネタバレ》 なんか…まだ「死」というものがなんなのかさえわかっていないような(両親の死さえよく理解できないような)幼い子供の人生が戦争によって狂っていく過程が、本人が状況を理解できず無邪気なままだからこそ余計に…悲しい? 切ない? なんかアタシの語彙力では表現しきれないわ。 とにかく、なんか心臓を素手でつかまれたみたいに苦しくって…見事にやられました。 でもね、アタシはそんなにイカニモな「反戦映画」って感じはしなかったわ。 きっと二人のホントに淡ーい恋(ともまだ呼べないわね、きっと)の様子とか、なんか微笑ましい要素も若干あったせいね。 ミッシェルなんてポーレットの気をひこうと必死だし、ポーレットもなんか妙な色気さえ感じさせる名演よ(不謹慎かしら)。 それにしてもこの二人は、ホントに演技なの!?ってくらい、スゴイわね。 名優だわ。 …アタシ戦争映画ってどっちかっていうと苦手なんだけど(反戦映画も、もちろん戦争を美化してるような映画も)、この子供二人のおかげでイヤにならずに見れたわ。 皆さんもおっしゃってるように、銃撃戦の様子とか延々見せられるよりこっちのほうがはるかに戦争について考えさせられるし。 それにしても、ポーレットのような身よりのない子供が一体どれくらい戦争によって生みだされるのかしら? それだけ考えても、「戦争=悪」ってわかりそうなもんだけど…人間ってバカね。 【梅桃】さん [地上波(字幕)] 8点(2003-12-18 21:17:10) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 両親を亡くして戦争孤児となった幼女が拾われた家の少年と動物の墓を作る物語。1940年6月、パリ陥落時の南仏の田舎の農家はこんなにも暢気だったのかと驚く。戦争などどこ吹く風だ。その暮しの貧しさにも驚く。服も食事も粗末で、家の中を蝿と蛾が飛び回る。都会っ子の少女との格差が大きい。この格差と貧困が戦争の遠因となっている。暢気そうに見えるが、戦争の影は確実に忍び寄ってくる。長男は馬に蹴られて亡くなるが、その馬は疎開途中のはぐれ馬だった。間接的に戦争の犠牲者だ。隣家には逃亡兵が帰還する。両家は昔からいがみあい、憎しみ合っている。隣人同士でも仲良くできない愚かさは、戦争する人間の縮図といえる。農家の長女と帰還兵は愛し合っているが、家の事情で結婚できないという悲劇がある。戦争孤児となった幼女が川に捨てられた犬の亡骸を追って迷子になり、この家の少年と出会い、共に暮らすようになる。幼女は犬の穴を掘るが、死や埋葬や神の概念は知らない。少年は十字架を立てて犬の墓を作ってやるが、幼女が「一人ぼっちゃじゃかわいそう」というので友達の墓を作ることにした。これが過激化し、教会や墓の十字架を盗む事件に進展していく。子供達の十字架窃盗が原因で、両家の関係は悪化するが、主人同士が墓穴に落ちても喧嘩を止めないのは、人類の愚かさの象徴だ。そうしている間にも戦争で大量の墓が必要になっているという皮肉がある。少年は盗みがばれて折檻を受けても墓の場所は言わない。が、幼女が警察に連れて行かれそうになると、幼女を家に置くことを条件に教えるが、父親は幼女を警察に渡してしまう。自暴自棄になった少年は十字架を川に投げ捨てて鬱憤を晴らす。駅に連れてこられて一人ぼっちになった幼女は、たまらなくなって雑踏の中を少年を探しに駈けだし、ママの名を呼ぶ。幼いながらも死と離別についての概念を悟ったのだ。知らなくてもよい歳なのに強制的に大人にされていく。「禁じられた遊び」の墓は、子供達の魂の墓だ。楽しい筈の子供時代を戦争によって奪われたのだ。親という後ろ盾を失くした子供達の運命は過酷だ。ましてや戦争中だ。雑踏に消える幼女の姿は彼女の将来を暗示する。戦争の犠牲は最も弱い人間に重くのしかかる。禁じられるべきは「遊び」ではなく「戦争」なのだ。哀しくも美しいギターは、虐殺された子供達の魂を鎮めるかのように響き渡る。愚かな戦争を繰り返す人類に憐みを! 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-01-31 15:53:57) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 まだ幼い女の子が犬の死体を持って走り回り、ワンちゃん一匹じゃ可愛そうだからと他の死体を探し始める…。ポーレットとミシェルが作り上げた墓地の美しさも相まって、なんかもの凄く悲しくなってきました。ポーレットが目を輝かせながら十字架を欲しがるところなんて、悲しみを通り越して狂気すら感じてしまう。この二人の禁じられた遊びと並行して、隣り合う家々の醜いいがみ合いがコメディタッチで描かれますが、監督は戦争なんてしょせんこのレベルのものなのだと言いたかったのかもしれません。しかし、その次元の低い争いが何万人もの命を奪い、ポーレットのような孤児をたくさん生み出していく。そう思うと本当に寒気がします。 【とかげ12号】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-02-20 22:06:12) (良:1票) |
3.戦争さえなければポーレットは少なくとも幸せに暮らせたのに。ポーレットのこれからの人生を思うとかなり切ない。 【ゆきむら】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-06-30 16:11:41) (良:1票) |
2.淡い恋に始まった2人の奇行。幼い女の子にも魔性は棲んでいる。幾度となく映される笑顔のアップ、すごいでしょ?でもあれは演技ではなく彼女の天性で、あの幼い瞬間にしか存在し得なかったものだということが作品の魅力を掻きたててるような気がしてなりません。駅について初めて「ママ…」と声に漏らす彼女。ラストもばっちり私の心をつかんで離さない、良作です。 【SAEKO】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-06-21 21:28:30) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 ナナ・ムスクーリのアルバムを聴いていたら、この主題曲も入っていて、これがなかなかよく、本作のことも久々に思い出しました。初めて観たのはまだ小学生のときでした。冒頭の空襲のシーン、ラストの駅頭での別れのシーンは、子ども心にも衝撃でした。大人になってから見直したとき、「禁じられた」「遊び」がどういうものだったのか改めて認識し、とても不思議な感覚にとらわれました。「え? 遊びってこのことだったの?」。映画は、子どもたちが死を理解できないことを、それが自然だとも、戦争の被害でこうなのだとも、わかったふうに解説はしていません。混沌としています。子どもがときに残酷な一面を持っていることも、戦争が知らず知らずのうちに人の心を麻痺させることがあるのも、私たちは漠然とですが、知っています。どこまでが子どもの無邪気さで、どこまでが戦争被害なのかなどと、答えなんか出さなくてよいのでしょうね。ポーレットという少女は本当はスクリーン上にしか生きていない存在だけれど、確かにあそこにいたし、今でも圧倒的なリアリティで私の心の中に残っています。みんながラストに衝撃を受けたのは、あの子がこれから迎えるに違いないもっと残酷な運命を思ってのこと。だけどそこは描かずに、重たい感動を与えた、あの描き方はやはり見事だったと思います。 【おばちゃん】さん 8点(2004-01-19 23:41:26) (良:1票) |