5.《ネタバレ》 心の中で何度主人公に“耐えろ!”“踏ん張れ!”と叫んだことでしょうか。魔が差すとは、まさしくこういう事を言うのでしょう。しかし、だからといって主人公を擁護する気にはなれません。彼自身が盗みを働いてしまったら、窃盗自体を肯定する事になってしまうのですから。辛い思いをした“自分自身”に申し訳が立たない。理不尽さの中にある因果応報と道理が、痛心地よい不思議な感覚でした。子供に見せられない事はしてはいけないのです。60年以上前に製作された所謂『名作映画』に、これほど心を掻き乱されるとは予想だにしませんでした。いや『名作映画』というカテゴリー自体が陳腐と感じてしまう程“良いものは良い”としか言いようがありません。素材と調理法はシンプルながら、随所に監督の技量を感じさせる奥深い一品でした。『素晴らしき哉、人生!』も勿論素晴らしいですが、本作と『ミスト』は反面教師として、全ての大人が親になる前に観て欲しい映画だと思います。粘り強さは最強の武器。迷ったとき、落ち込んだときには、子供の笑顔の中に答えがあるはずです。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2013-07-13 22:20:02) (良:1票) |
4.つげ義春さんが「これ以上の傑作は絶対にない」と書いていました。父が捕らえられたときの息子の表情はいまだに忘れられません。 【藤堂直己】さん 10点(2004-01-31 15:18:57) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 こういう名作中の名作に、今さらながら満点献上することの野暮をあえて承知で…。ネオリアリズムうんぬんを言うより、あの当時のイタリアでは日常茶飯事だったろうような庶民のささやかな哀歓を、オールロケで、ここまで見事な「人情ドラマ」に仕立て上げたデ・シーカ監督の人間味溢れる眼差しがまず素晴らしい。父親と一緒に盗まれた自転車を探し回るあの男の子の使い方など、多分にチャップリンの『キッド』を意識しているんだろうけれど、本当に巧いし。特にあのラストで、自転車を盗もうとして人々に捕まり、小突き回される父親に男の子がすがりつくシーンは、今こうして書いていてもナミダが…。父と子にとってつらい1日となったけれど、きっとこの家族なら何とか生きていくだろう、といった願いとも希望ともつかない感情(感傷?)を抱かせる幕切れまで、人の子であり親なら生涯に一度は見ておきたい映画ではありますまいか。 【やましんの巻】さん 10点(2003-10-17 15:46:32) (良:1票) |
2.現実とは、なんと残酷なのでしょう。日本人はもっとこういう映画をみたほうがいいと思います。映画は、観て、楽しんで、カタルシスを得ることが本来の目的ではないはず。現実とはかくも散文的なんですね。 |
1.一番好きな作品。どうしようもなく落ち込んだ時には必ず観てます。仕事をして家族が食べていくということがどうしてこんなに大変なのか!!当時大不況であったイタリアでなければ出来なかった作品でしょうね。自転車を盗んでつかまるところを息子に見られてしまう、明日の仕事も出来ない、それでも「うちへ帰ろう」と歩く後姿にはそれでも生きていくという姿勢が見えます(その前にあんだけもがいてるんだもんね)。息子ブルーノの演技が光ってます。10年前にはじめてみて感動して当時付き合ってた彼女に勧めたら「自転車盗まれて盗み返したら捕まったって話でしょ?つまんなそう」と言われ別れを決意しました。いい映画ほどストーリーは単純なんだというのが私の持論です。 【こう】さん 10点(2002-01-07 23:30:24) (良:1票) |