1.《ネタバレ》 クレイグ・ボンドの新作「Quantum of Solace」。「Casino Royale」の一時間後から始まるという、完全なる続編で期待も高まる。冒頭からアクションシーンの連続!スケール感と予算のかけかたは前作を上回っているように見える。しかし見終わってみると、残念ながらそれがネガティブに感じられるのだ。ボンドの行く先々で起こるアクションシーン。ヨーロッパや南米の景色は美しいけど、点と点でつながっていたり、ロケーションの必然性の薄さから、ストーリーに深みが感じられない。またストーリー自体も見えない敵(世界的規模の秘密組織)、ボンドの復讐劇、そしてその組織が支援するボリビア革命と、短い尺の中に(2時間弱)要素がてんこ盛りで、フォーカスが絞りにくい。なによりも問題なのが、ボンドが知力で勝負していないのだ。戦略を持たずに、いつも出たとこ勝負。取り巻く状況は悪化していくのに、打つ手もなく、多くの犠牲を出しながらも、結果論的に解決していく(最後まで説明されない状況もある)。ああ、あのル・シッフルをブラックジャックで破産させた知的で勝負強いジェームズ・ボンドは何処へ。。。ということで、個人的にはいまひとつ納得いかない出来。ただし、トム・フォードのクロージングを着こなすクレイグ・ボンドは、今作でも半端なくかっこいい。