5.《ネタバレ》 あの前時代的な純喫茶が閉店するのは運命だったような気がする。しかし、ベニア板を打ち付けられた元店舗を前に涙を流す仲里依紗。あぁ、この涙がテーマなんだな、と思いました。あれは過ぎ去ったものへの郷愁ではなく、悔恨の涙だと感じました。主人公は父親に対する漠然とした反抗心のままに、父親が雇ったヤリマン姉ちゃんを嫌い、高校の友人には恥じて店の存在を隠し、来店するお客さんもどこか馬鹿にしていたように思える。そんな状態でも、時間の経過がもたらすコミュニティに馴染み、いつしか依存している部分もあったのでしょう。人間関係があった場所が無くなるのは、自分の母校が廃校になるような寂しさじゃないかな。彼女が喫茶店経営に協力的だったところで、閉店を免れたとは思えない。しかし彼女にとっては喫茶店に対して取っていた態度そのものが後悔の対象で「こんなことになるなら、あの時もっと…」って想いが見えました。それは多くの青春が抱える決まり文句だけど、彼女の中で周囲の人に対する認識が変わったことが分かる。あの涙は彼女の成長の証明です。女子高生を真ん中において、さして特別でもない人間模様をコメディタッチで描いた作品ですが、描くべき本質を外していないのが好感でした。仲里依紗の女子高生は絶品のフツーさですね。麻生久美子のナマ足より評価します。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-04-02 18:53:16) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 「さんかく」を観て、思いがけない傑作ぶりに感動し、本作を鑑賞。正直に言うと、「さんかく」には少し劣る。芸人を多く使ったせいか、映画というよりも少しコントみたいになってしまった印象がある。宮迫の演技はうまいのだが、少しわざとらしい(わざとかもしれないが)。喫茶店の一癖ある常連達も全般的にマンガチックすぎて、ちょっといただけなかった。まあ、確かに斉藤洋介みたいな人、ああいう喫茶店にいそうだけど。仲里依紗はまあまあ。麻生久美子は相変わらず上手。すんごくリアルなヤリマンだった。ヤリマンなのにヤリマンって言っちゃうところは脚本が拙いなと思ったけど。ふつう、ヤリマンはヤリマンと認めないと思う。ちなみに僕は愛想尽かしではない派です。敢えて言ったという面はあれど、あれは事実でしょう。ラストの展開もそれを物語っているような気がする。とても優れた映画ではないと思うけれど、決して不愉快にもならない映画。仲里依紗の涙にやられました。 【枕流】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-10-18 19:45:51) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 あの居酒屋のシーンが古典的な愛想尽かしだと、はっきり言ってくださる方がいて嬉しく思いました。父、娘、若い女、別れた母、みんな特に善良でないけど、何故か憎めない。喫茶店のみならず、映画全体に広がるダラっとした雰囲気が好きです。 麻生久美子さん目当てで見たわけだけど、娘役のリーサもなかなか、ちょっと緩めの体形とか愛想の無さとかリアル女子高生っぽい雰囲気の中で、ほんの1瞬か2瞬、間違いなく美少女っぽい表情もあって良かった。 【rhforever】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-03-22 10:18:49) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 この作品は、はっきり言って吉田監督の前作「机のなかみ」ほど“何か”がある作品ではありません。「机のなかみ」には痛みがあります。青春の痛みです。誰もが少なからず経験する痛みを鑑賞中はしっかり共感し、共有し、主人公の少女に自分をダブらせ観る事ができます。でも、今作はそれが難しいです。 一貫してあるのは、ギャグというか、「机のなかみ」でもありましたが、吉田監督がやりたいことをやっているというのはわかります。例えば、主演の仲里依紗さんに不細工なイビキをかかせたり、宮迫さんに輪ゴムをぶつけたり、麻生さんが片足素足だったり、コスプレであったり、まぁ、とにかく女の人を好き勝手に扱いたいのだと思います。ある種の理想を描いているのでしょう。ですが、この作品ではそれがあまり上手くいっていないと思います。「机のなかみ」ではラストに向かうに連れて怒涛の理想像が爆発しています。可愛い女子高生が(大量の鼻血&オケツ丸出し→可愛らしく抱きしめたくなるような号泣→豪快に、爽快にホームラン!)という流れです。理想(あるいは妄想?)がちゃんと連なって感情を乗っけています。でも、この作品ではそういった連結した感情のシーンがありませんでした。麻生さんはその存在だけで魅力的だけど、問題は娘を演じた仲里依紗さんです。彼女の人物像だけが妙にキチッとしすぎていて、あまり奥行きがないというか、とにかく面白くないのです。イビキや自分の足の臭いを気にして引っ繰り返ったり、危うく盗撮されかけたりするのはいいんですが、もっと感情で連なっていて、尚且つ面白くて魅了的であって欲しかったのです。ナレーションとか微妙な回想とか使うのではなく、「机のなかみ」のように強引でもいいので引っ張っていて欲しかったです。結局、面白みも魅力もないので、彼女が父と仲良くなるってだけの話で終わっているので、「机のなかみ」の少女ほど面白くも魅力的にも感じれなかったのだと思います。期待してしまっただけに残念です。次作の女性に期待致します。 【ボビー】さん [映画館(邦画)] 6点(2008-08-13 18:10:33) (良:1票) |
1.開店直後の小ネタの連続(「おいにいコーヒー」とかビラ配りとか)あたりまでは面白かったんですが、ラストはちょっと強引というか尻切れトンボというかアレというか…。原因は色々とあると思いますけど、やはり最大の要因は本作のジョーカー的存在・麻生久美子演じる素子を作者自身がコントロールしきれなかった事ではないかと。最後の最後まで確信犯的な悪女なのか究極の天然なのかアレなのか分からずじまいだし、あのアパートの生活感のなさも相まってまるで幽霊のようにすら感じます。まさにこの物語を動かすためだけに存在する一種のマクガフィン。決してつまらなくはないとは思うんですが…、まぁアレです。 【とかげ12号】さん [映画館(邦画)] 6点(2008-08-06 22:58:03) (良:1票) |