7.《ネタバレ》 (ネタバレ含みます。未見の方はご注意ください。なお原作は未読です。)石神の行動が理解できません。彼のアリバイプランは、DV夫の遺体隠滅が絶対条件。それなら最初からDV夫の遺体の始末だけで済む話ではないかと。殺人そのものを無かった事にするのが、最も合理的な遣り方です。石神が要らぬトリックを弄しているように見えるのはマイナス。彼の自己犠牲の価値も失われます。謎解きミステリーに過度なリアリティを求める気はありませんが、犯人の行動に理由付けは欲しい。より大切なのはトリックの実行性ではなく、必然性と考えます。ミステリーとしては物足りないです。ただし石神と花岡靖子のドラマ部分は見応えがありました。堤も松雪も流石の熱演。とくに靖子の心情が興味深かった。石神への感謝と謝罪の念は当然のこと。彼の好意に甘えて罪を逃れようとした気持ちも理解できます。自分はともかく、娘だけは守らなくてはいけないから。でもそれが、本当の意味で娘を救うことになるのか。何度も自問自答を繰り返したはずです。その間も主導権は石神に握られている。負い目は人を動けなくします。彼女たちは刑罰の免除と引換えに、生き方を決める権利を失いました。極めつけは石神の身代わり出頭。しかも彼は自分たちの為に新たな罪を重ねたという。もう娘云々ではなく、靖子自身の心が耐えられない。だから彼女は出頭した。石神の献身は一切の見返りを求めていません。でも純粋であるが故に花岡親子を苦しめた。もし石神が靖子の恋人だったら、あるいは娘の父親だったら。彼の“好意”は受け入れられたかもしれない。彼女らは献身の見返りに、石神へ愛情を注ぐことが出来るのだから。結局、靖子は石神の想いを拒みました。その謝罪の言葉は、石神の耳にこう聞こえたのではないか。「あなたと私たちは他人です」。これが石神の嗚咽の正体だと感じました。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-02-06 19:27:15) (良:4票) |
6.《ネタバレ》 何しろ原作は大ベストセラーですから、当然原作既読でこの映画を観る人も多いわけですが、そういう観客からすると原作の魅力をあまり損ねていない映画だったかと思います。 主演陣の演技には引き込まれるものがありましたし(特に石神役の堤真一)、個人的に「???」と思ったのは映画オリジナルの山登りシーンくらい。あれって必要性あったんでしょうか?
さてこの映画、内容以前に好き嫌いで語られる事がときどきあり、それは「愛する女性を守るために何の罪もない人を殺す」事の是非が理由です。 「どんなにかっこつけてても、その行為自体がそもそも許せないし嫌悪感しか抱かない」という意見ですね。
ここで面白いのは「同じことをしているにも関わらず原作小説においてはそういう批評はほとんどなかった」という点です。
これは原作はミステリというジャンルであり、ベストセラーとは言え、読んでいるのは主にそのジャンルを好きな人。 そういう人にとってはその行為自体には特に問題には感じないわけです。 なにしろこのジャンルにはこれよりひどい内容の小説なんかごまんとあるわけで、この程度でとやかく言っていてはミステリは読めないですから。
しかし映画化される事で、より広い客層の人が映画を観る事になり、結果としてミステリ慣れしてない人がそこに嫌悪感を抱くのではないかと思います。 特にこれは人気ドラマとなったガリレオシリーズの劇場版ですし、ガリレオシリーズはわりと軽めの話が多くこの原作が異質ですから、まぁ、これはなるべくしてそうなったと言えるでしょう。
さて私のこの映画に対する点数は低めなのですが、これは先に小説を読んでいてトリックとかを知っていたからです。 この映画、「替え玉殺人トリックだと思わせておいて実は時間差トリック」だという深い構成になっていて、そこがミステリとして高く評価されているゆえんなんですが、すでに小説を読んでいる人間からすると一番のキモであるそのトリックはすでに知っているわけで、映画で観ても「一番キモの部分に何の驚きもない」わけです。 これはある意味構造的な欠陥で、どうにも回避しようがない問題。 この映画には罪がない事ですし役者陣の演技も素晴らしかったのですが、しかし「オチを知ってて謎解きミステリを観る」以上、どうしても一定以上の面白さを得る事ができません。
そういう意味で謎解き主体のミステリ映画の映画化は難しいのかな、と思います。 【あばれて万歳】さん [地上波(邦画)] 6点(2016-11-08 11:17:39) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 アイデアはホームレスから作り上げたのでは?原作の東野圭吾さんは、ある日、陸橋を歩いていて、河川敷に住むホームレスを見て、「こいつら殺しても誰も気が付かないだろうなぁ」と思いついたのではないでしょうか。ホームレスなんて輩は税金も払ってないし、誰も同情しないだろう。アイツら、どうせ俺の本なんて読むわけないし、まさか自分たちが映画の中でネタにされているなんて絶対気づかないだろう。この映画はそこから膨らませていったに違いありません。そう考えると福山なんてのは客寄せの餌みたいなもので、正直、筋にほとんど絡んでいってないことも納得できます。テレビは観たことないけど、そこそこ面白かったです。 【クロエ】さん [地上波(邦画)] 6点(2013-03-05 19:40:21) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 人を殺しても自首しない女と、好きな女のために関係ない人間を殺す男、自分とその手の届く処までしか考えられない愚かな人々、世の中恐ろしい。 【こねこねこ】さん [地上波(邦画)] 6点(2011-01-14 00:09:46) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 確かに面白いプロットでした。2日の夜に何をしていましたかと問われて、実際に母子で映画を見ていたならば、真実を疑われることもなく証言できますからね。堤さんも好演でした。但し、この映画の最大の欠点は、果たして石神さんは第二の殺人を犯す必要があったのだろうか、という点です。石神さんのアリバイ工作のためには第一の殺人の遺体が簡単に見つかってはいけないわけで、それゆえ死体を巧妙に隠しました。ならばそれで終わりではないのでしょうか。富樫はホームレス同然でしかも多額の借金を抱えて逃げ回っていたわけで、そういう男が消えてしまったからといって誰も捜索願などは出さないし、警察も死体がでなければ捜査を始めないでしょう。現に警察が殺人事件として捜査を開始したのは死体があったからです。石神さんが母子に恩を売りたかったのであれば、何も第二の殺人など犯さずにに、富樫の死体の隠滅をすれば目的は達せられたはずです。この点は映画が封切られた際に指摘はなかったのでしょうか? 【キムリン】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2009-12-30 16:03:32) (良:1票) |
2.原作既読+ドラマはたまに見ていた程度で飛行機で鑑賞しました。冒頭の爆破と実験シーンで「ああ、テレビの延長なのね」と思いましたが、本編が始まれば、もう別の「映画」になってました。全体を通してみて、堤&松雪がつくる「映画」の世界と、福山&柴咲の「テレビ」の世界が最後までかみ合っていなかったように感じて、うまく物語に入れませんでした。ただ、過酷なシチュエーションを感情移入を廃して淡々と描く東野作品の雰囲気はうまく出せていたのではないかなと思います。ベタベタになりそうなところをうまくコントロールしていたのでは。それだけに、二つの世界の不整合が残念。他のベストセラー原作邦画のように、いっそのこと別モノにしたほうがよかったんじゃないのかなあ・・・。 【ころりさん】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2009-03-31 13:28:25) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 原作未読、TV未見で観賞しましたが、楽しめました。松雪泰子は薄幸な母親に見事にハマっていたし、石神役の堤真一も抑えた感情表現で天才数学者を表現していて好演でした。本編との絡みのないクルーザーを爆破するくらいなら、石神の背景をどこかで少し見せて欲しかった。冒頭での爆破シーンは、ハリウッド映画の常套手段だが、今作の場合静かな印象の本編に対して変に浮いていた。福山雅治のお芝居はなんというか相棒の水谷豊とダブってしまい、キャラ作り過ぎで気になりました。言葉は悪いけどTV的な感じ。とはいえ、全体的には脚本がしっかりしていて、うまくまとまっていたと思います。改めて原作を読んでみたい作品です。ラストの私なりの解釈は、すべて計算通りだった石神の筋書きが「一緒に償います」という一言で覆されてしまった絶望。でも、そんな形でしか愛情を表現できない石神が、おそらく初めて触れた人の体温なのでしょう。 【ポテサラ頂戴】さん [映画館(邦画)] 6点(2008-10-07 06:25:10) (良:1票) |